記事一覧
第4話 マジカルミキサー
夏休みになると、祖父の本家がある、富山県黒部市入善町から巨大なスイカ(入善ジャンボスイカ)が送られてきた。
ダイラは、父親がつくってくれた、《《ヒャッホイ》》という名で呼んでいたジップラインで遊び疲れると、入道雲を見ながらスイカを食べるのがお気に入りのルーティンだった。
ヒャッホイをしにやってきた友だちからは、こんな奇妙にでかいスイカは見たことがないと言われ、ダイラにとってはどこか誇らしげに感
第3話 プラネタリア
ダイラは、美大の彫刻学科の課題には興味がもてなかった。
旧態依然として、裸婦のデッサンや塑像の写実性を競い合う雰囲気が苦手だった。
芸術論を語り、遊び歩いていた仲間たちも、課題になると予備校時代に培ったデッサン力を発揮していた。
ダイラは、目の前の課題に対する同期生の取り組み方は芸術の本質からずれていると直観的に感じていた。
でも、何が違うのかは明確に言葉にできなかった。
偏差値教育に嫌
第2話 屋根の上の秘密
両手にマスカケ線をもち誕生したダイラには利き手が無かった。
「今日はどっちで描いたでしょう。」と母親に見せる新幹線の絵は、どちらも差が無く、左右斜め45度からの描写力はかなりのものがあった。
両手に箸をもち「バルタン星人」と言いながら食事をするのは母に止めさせられた。
類稀なる集中力のある子どもで、一人で一つのことを徹底的にやり続けるため、近所の子どもとはあまり遊ばなかった。
段ボールや廃
第1話 ドームのないプラネタリウム
ダイラは小平にある美大の彫刻棟屋上にいた。
後輩からもらった三角チーズクッキーをかじりながら、半分しけっていると思いつつ、口の中にムリヤリ放り込んだ。
世の中はバブル全盛期。
芸術論に華を咲かせていた仲間たちは、制作することを忘れ、ふらふらと夜の街で遊んでいた。
ディスコで照明が落下し、若者が亡くなる痛ましい事故があった。
夏の昆虫はライトに集まり、自ら燃え盛る。
人も虫も本質的には違いは
みんなちがっていいは嘘?
Q 17歳 男子 学生
小学生のころ、「みんなちがってみんないい」と教わりました。
最近、この言葉は嘘じゃないけど、「ちがっていい」と思っているのは、金子みすゞさんだけじゃないかと思います。
金子みすゞさんの人生を調べると、かなりキツイです。
「みんなちがってみんないいけど、かなりきついよじんせいは」
これが正解なんじゃないかと思います。
僕は、忘れ物が多いし、片付けもできません。
勉強も