文献の読み方
医療関係者なら1度は見るはずの文献
文献検索の仕方はよくありますが
「読み方」というのはあまり見た事がありません
今回は文献を見る上でどこを見るべきか
その「解釈」と「現場での活かし方」
説明していきます
【国内か海外文献か】
これが1つ目のポイント
対象者が日本人なのか海外の方なのかで
解釈は大きく異なります
その違いは制度と骨格にあります
・海外は自費
・日本は全国民が保険を使える
・理学療法士は開業権を持つ
・日本の理学療法士に開業権はない
・日本は保険があるため予防に対しての意識が低い
・医療費が高いため予防への意識が高い
・国よって身長・筋量に差がある
このような差があります。
この事から良い結果が全て日本人に当てはまるとはなりません
現に
週3〜4回30分程度の有酸素運動を行うと
筋力維持、耐久性向上、脳機能低下予防
など多くの効果があることは誰もが理解していることです
では実際の現場ではどうでしょう?
まず病院に来て運動をしましょうと言われ行う人は殆どいません
そもそも日頃から運動習慣が無いこと自体が問題だという認識がないからです
海外であれば病院にかからず良い方向になるならしっかり行うでしょう
この様に国民性(脳機能)に違いがあるため必ずしも海外文献が日本人に当てはまるとは限りません
国民性より大きな要因となるのが骨格の差です
これは誰もが想像できるはずです。
ですがパーソナルトレーナーの方はよく海外文献を推してくるんですよね…
筋肉のサイズに関しては日本人は圧倒的に不利になります。黒人の腸腰筋が日本人の3倍大きいという話を聞いたことがあると思います。
この時点で差があるので海外文献を取捨選択をせず
「この文献では〜」というのは辞めた方がいいかと
【論文の解釈】
2つ目のポイントです
私は学生時代、読み方が分からず考察ばかり読んでいました…笑
考察は結果からわかる筆者の考え、今後の展望
といった内容が書かれています
あくまで1番大事なのは結果です
論文を見るポイント
・対象者(年齢,性別,既往etc)
・実験内容
・結果
ここだけ見ればOKです
1つ1つ解説していきます
【対象者】
例:60〜80代男性5人
のように大まかであれば適応する人は多い可能性があります。
逆に
例:80代男性過去に心疾患の既往がありタバコを吸う
のように指定が細かい場合は適応する人は少ないといえます
ですが細かければ細かい程悪いわけではなく、そのような人がいた場合効果が出る可能性が高いとも言えます
この事から論文を見る上で最も重要なのは対象者
だと言えます
対象者の分母が多いかどうかも重要ですが
そもそもこの項目をしっかり見ずに論文を見てるなら、どんな結果であれ見る意味はありません
そのくらい重要です
【実験内容】
例:大腿四頭筋の筋力訓練に有効なメニューはなにか
スクワット、レッグプレス、ジャンプ動作etc
この実験内容を覚えておくことで、他の論文を見る時に比較がしやすくなります
【結果】
ここは初めて見る人は間違えやすいのですが
有意差がある=効果がある
ではありません!
有意差とは
「結果が偶然ではない。たまたま起こった差では無く、意味の有る差という」
この事から効果があるとは言えず
ビジネスの世界であればミスをしても金の損失だけで済みますが
医学の世界では確率の高い方をとるのは当たり前、効果が無ければ怪我、最悪の場合は命に繋がります
この解釈の違いは自身の立場まで危うくなるので注意しましょう
例として
「100人に効果があったが、50人には効果がない」
これは有意差がありそうですが医学では対象者が重要です
対象者が
100人は子供50人は高齢者で有意差がある
となった場合
これは
『子供に効果があって高齢者には効果がない』
という解釈なのか
『この実験には効果がある』
という解釈になるのか。
必ずしも「有意差がある」ではなく
どんな結果で有意差があったのか中身をみましょう
【現場での活かし方】
ここは
今まで述べてきたポイントを全て組み合わせるだけ
・国内文献 or 海外文献
・対象者
・実験内容
・結果
この4つを確認し効果のあったものを使用するだけ
1歩進んだ論文の活かし方
大事なのは治療プログラムを1つだけではなく
最低3個は備えていく事
1つしか備えていないと適応でないことが殆どです
3つ備えていけば1つ違っていても他の2つが適応かもしれません
その場合、適応でない論文と適応の論文
何が異なっていたのかを比較することが出来ます
それが新しいデータになるのです
この新しいデータを集約し治療精度を高めていくと優秀な治療家になれると思います
まとめ
・国内文献 or 海外文献
・対象者
・実験内容
・結果
この4つを見ることが重要
対象者(国内or海外)は把握していないなら
論文を見る価値はありません。
時間を無駄にしないよう効率よく見ていきましょう