聖パウロ梶井

元税理士です。数年前に、65歳になったのを機会に、廃業。基本年金生活です。 気分的には…

聖パウロ梶井

元税理士です。数年前に、65歳になったのを機会に、廃業。基本年金生活です。 気分的には、学生に戻った感じ。「金はないけど時間はたっぷりある」。 所謂、一次資料を、読み直してゆきます。

最近の記事

裁判権と宗教団体の内紛

判例分解ノック 7本目 概要  (東京地方裁判所 昭和50年10月6日 判決) 原告らの寄付行為は、被告(宗教法人)が広宣流布達成の時に本尊「板曼荼羅」を安置するための「事の戒壇」(正本堂)建立費用に当てることを目的としての金銭の寄付であったが、本尊である「板曼荼羅」は偽物であり、正本堂は「事の戒壇」でもなく広宣流布達成の時でもないことが判明し、出捐の目的たる重要な要素に錯誤があり、その故に原告らが寄付金の返還請求を起こした。 争点 「宗教団体の内紛に、裁判権が及ぶかど

    • 「外れ馬券」と「一時所得」

      判例分解ノック 6本目  平成29年12月15日 最高裁第二小法廷判決 概要  本件は、自ら開発した、インターネット・パソコン・及びソフトウェアを用いた馬券の購入と払い戻しを自動的に行うシステムを運用した被上告人が、行った確定申告につき、上告人である課税庁が、上記確定申告において、被上告人の行った確定申告における所得を、雑所得としたのは間違いで一時所得であるとの課税処分をおこなったことに対する取消を求めた事案 争点 「当該所得が雑所得か、であるとすると外れ馬券の購入代金は

      • 6BQ5(T)PP 製作中 その1

        製作途中の6BQ5 三極管結合プッシュプルパワーアンプ。 約20数年にわたって、契約していたプロバイダーとの契約が終了したので こちらに引っ越し。 回路的には、12AX7の片側で、電圧増幅、残りの片側で、位相反転(PK分割)をおこない、6BQ5を三極管結合のプッシュプル電力増幅回路でスピーカーをドライブ。 途中というのは、アルミの平板をシャーシとしていたが、電源トランス・出力トランス・チョークコイル(未装着)の重みで、平板がたわむので、アルミで補強。 アルミ平板は、3

        • 「動物専用墓地」と「固定資産税」

          判例分解ノック 5本目  (東京地裁 平成23年12月13日 判決) 概要     (東京地裁 平成23年12月13日 判決) 宗教法人Aは宗教法人Bから借り受けている土地を、動物専用墓地として使用している。当該土地について、都税事務所は土固定資産税等を賦課した。宗教法人B(原告)は、当該土地は、地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内地」に該当するため、固定資産税を賦課できないとして練馬事務所長の所属する公共団体なる

        裁判権と宗教団体の内紛

          「宗教活動」と「離婚」

          判例分解ノック 4本目(名古屋地裁 昭和62年3月27日 判決) 概要   (名古屋地裁 昭和62年3月27日 判決) 判例タイムズNo637  被告(妻)は、キリスト教に興味を持ち伝道会や祈祷会に参加。原告(夫)は、被告の宗教活動に不満を持ち被告に教会へ行くことを禁じたが、被告は、原告に告げずに、長女とともに洗礼を受けた。原告は、被告の宗教活動が、家業に影響を与える等の理由で、被告の宗教活動を禁じ、結局、被告は原告の家を出て4年間別居状態となった。原告は、離婚を請求。

          「宗教活動」と「離婚」

          「過度の宗教活動」と「離婚」

          判例分解ノック 3本目 (東京高裁 昭和57年10月21日 判決9 概要 妻(被控訴人)の節度を超えた宗教行為(控訴人の嫌う線香を長時間焚きお経をあげ、執拗に入信を勧誘し、宗教行事のために家を留守にして外出することが多く、食事も共にせず家庭を顧みなかったこと等)によって婚姻関係が破綻し、夫(控訴人)の女性関係や家出は右破綻した後に生じたものであるとして、夫の妻に対する離婚請求を認めた事例 (判例タイムズ No。485号)  争点  「妻の過度な宗教行為によって、婚姻関係が

          「過度の宗教活動」と「離婚」

          「祈祷師」と「拝み」と「不安」

          判例分解ノック 2本目  大阪地裁 平成22年3月29日判決 概要 本件は、祈祷師X(被告)がもっぱら利益目的で霊的能力があるように装い、被告による「拝み」と称する祈祷(以下、単に「拝み」と言う)を受けないと、不幸になるなどと不安を煽って、原告Yを畏怖・誤信させ、「拝み」の対価名目で多額の金銭を支払わせたことが不法行為に当たるとして、被告Xに対し支払い済みの対価、相当の損害賠償金及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。 判例時報 No2093号(平成23年1月1日号)

          「祈祷師」と「拝み」と「不安」

          固定資産税は、毎年1月1日に賦課されるが・・

          判例分解ノック 1本目 平成19年6月27日 埼玉地方裁判所 判決 概要 宗教法人Xは、平成17年5月11日付で、本件土地を墓地の所在地として、「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)に基づく墓地経営の許可をS市長に申請し、同年6月2日付で許可された。同年6月15日付で、S市農業委員会会長に、転用の目的を墓地として、転用許可の申請をした。そして、同月22日、Xは本件土地を購入。上記農業委員会会長は、転用の許可を与えた。Xは、6月22日付で、S市長に対し、予定建築物の用途を霊園の

          固定資産税は、毎年1月1日に賦課されるが・・

          宗教法人は必ずしも税金を払っていないわけではない 所得税 その2

          宗教法人は必ずしも税金を払っていないわけではない 所得税 その2 今回は、所謂「経済的利益の供与」「現物支給」が所得税の課税対象になります。 というテーマです。概論的に、ざっと触れます。お読みいただくとお分かりかと思いますが、 具体的な記述はあって、ないようなものです。 いずれ、個別事案で、具体的に検討します。 国税庁「宗教法人の税務」令和6年版 「給与は金銭で支給するのが普通ですが、例えば、宗教法人が、住職等や職員等に対して食事などを現物で支給している場合や、住居を無

          宗教法人は必ずしも税金を払っていないわけではない 所得税 その2

          収益事業の判定 その4

          続いて、「収益事業に該当するかどうかの具体的判定」を見ていきます。その4 参照するのは、国税庁「宗教法人の税務」令和6年版です。 「8結婚式場の経営、 宗教法人が神前結婚、仏前結婚等の挙式を行う行為で本来の宗教活動の一部と認められるものは収益事業に該当しませんが、挙式後の披露宴における宴会場の席貸し、飲食物の提供、衣装等の物品の貸し付け、記念写真撮影及び、これらの行為の斡旋等は、収益事業に該当します」 根拠は、以下に 「法人税法基本達 15-1-72 宗教法人が神前結婚

          収益事業の判定 その4

          収益事業の判定 その3

          今回も、「収益事業に該当するかどうかの具体的判定」を見ていきます。  その3 参照するのは、国税庁「宗教法人の税務」令和6年版 です。 所謂、宿坊についてです。 「4宿泊施設の経営 宗教法人が所有する宿泊施設に信者や参詣人を宿泊させて宿泊料を受ける行為は、その宿泊料をいかなる名目で受けるときであっても、収益事業(旅館業)に該当します。 しかし、宗教活動に関連して利用される簡易な共同宿泊施設で、その宿泊料はすべての利用者につき、一泊1000円(食事を提供するものについては、

          収益事業の判定 その3

          宗教法人は必ずしも税金を払っていないわけではない  固定資産税等

          宗教法人と固定資産税 固定資産税について 基本的に、宗教法人の所有する不動産については、固定資産税は課税されない。 根拠条文を見ていこう。 「地方税法」 「(固定資産税の非課税の範囲) 第三百四十八条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。 2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する

          宗教法人は必ずしも税金を払っていないわけではない  固定資産税等

          収益事業の判定 その2

          今回から、「収益事業に該当するかどうかの具体的判定」を見ていきます。  その2 参照するのは、国税庁「宗教法人の税務」令和6年版 です。 2.墳墓地等の不動産の貸付  「宗教法人が行う墳墓地の貸付けは収益事業に該当しないこととされており、この墳墓地の貸付けには、その使用期間に応じて継続的に地代を徴収するもののほか、その貸付け当初に「永代使用料」として一定の金額を一括徴収するものも含まれます。 一方、宗教法人が行う不動産(墳墓地以外)の貸付けは、国又は地方公共団体に対し直接

          収益事業の判定 その2

          収益事業の判定 その1

          今回から、「収益事業に該当するかどうかの具体的判定」を見ていきます。  その1 参照するのは、国税庁「宗教法人の税務」令和6年版 です。 以前、テキストとして「宗教と税(宗教法人と課税)」を発行したが、その際は、同書(令和4年版)を参照したわけであるが、令和6年版を見て、あれ!  以下の節が、加えられていた。 「(注) 喜捨金や対価の収受が、現金で行われる場合と現金以外(キャッシュレス決済)で行われる場合とによって、収益事業の該当性が変わるものではありません。」 そういえ

          収益事業の判定 その1

          宗教法人は、必ずしも税金をはらっていないわけではない その3 法人税

          よく、宗教法人は、非課税だとか、税金を払っていないとか、言われることが多いのですが、必ずしもそうではないという、話です。 法人税について 続きです。 今回は、「収益活動?」です。 前提として 法人税法第二条第1項13号を見てみましょう。 「十三 収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。」 ここで、注目していただきたいのは、 A「収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業」 B「継続して」    「おこなわれ

          宗教法人は、必ずしも税金をはらっていないわけではない その3 法人税

          宗教法人は、必ずしも税金を、払ってないわけではない その2 法人税

          よく、宗教法人は、非課税だとか、税金を払っていないとか、言われることが多いのですが、必ずしもそうではないという、話です。 法人税について 前提の話をします。法人税法第2条。 「(定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 六 公益法人等 別表第二に掲げる法人をいう。」 法人税法 別表第2の一部を参照ください。 確かに、宗教法人が、記載されていますね。 つまり、宗教法人は、公益法人であることが、明白になりました。

          宗教法人は、必ずしも税金を、払ってないわけではない その2 法人税