「動物専用墓地」と「固定資産税」

判例分解ノック 5本目  (東京地裁 平成23年12月13日 判決)

概要     (東京地裁 平成23年12月13日 判決)
宗教法人Aは宗教法人Bから借り受けている土地を、動物専用墓地として使用している。当該土地について、都税事務所は土固定資産税等を賦課した。宗教法人B(原告)は、当該土地は、地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内地」に該当するため、固定資産税を賦課できないとして練馬事務所長の所属する公共団体なる被告に対し、本件賦課処分の取り消しを求める事件である

争点
 動物専用墓地が、宗教法人法の規定する「境内地」に該当するか?

条文 宗教法人法
(境内建物及び境内地の定義)
第三条 この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。

四 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。)

判旨
「地方税法348条2項3号にいう非課税とされる境内地とは、宗教法人が宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成するために必要な当該宗教法人固有の土地であって、当該宗教法人が専らその本来の用に供するものをいうと解される(『境内地』に関する宗教法人法3条各号の例示の中で、本件において主として検討すべきものは、4号の『宗教上の儀式行事を行うために用いる土地』である。)そして、当該土地が同号にいう『宗教法人が専らその本来の用に供する境内地』に該当するか否かについては、当該境内地の使用の実態を社会通念に照らして、客観的に判断すべきである。」

フレーズ
 「原告Bは、僧侶資格有しないAの職員が埋葬の際に念仏を唱えたり、動物の元飼主が墓前で手を合わせて動物の冥福を祈ることが、宗教法人法2条の儀式行事に該当する旨主張するが、同条の儀式とは、礼拝の対象に対する祈りや感謝のための当該宗教の教義及び様式等に従った儀礼的な式典であると解され、僧侶資格を有しない一般人が行う上記の行為は、宗教的な意味を有する行為と言うことはできても、同条の儀式行事に該当することとは言えない。」

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