「祈祷師」と「拝み」と「不安」

判例分解ノック 2本目  大阪地裁 平成22年3月29日判決

概要
本件は、祈祷師X(被告)がもっぱら利益目的で霊的能力があるように装い、被告による「拝み」と称する祈祷(以下、単に「拝み」と言う)を受けないと、不幸になるなどと不安を煽って、原告Yを畏怖・誤信させ、「拝み」の対価名目で多額の金銭を支払わせたことが不法行為に当たるとして、被告Xに対し支払い済みの対価、相当の損害賠償金及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。
判例時報 No2093号(平成23年1月1日号)

争点
「霊的能力があるかの如く仮装し、祈祷を受けないと、不幸になる等、原告を煽り『拝み』の対価として、多額の金員を支払わせた行為が、不法行為に該当するか。」  民法709条

判旨
「被告Xはあらかじめ竹子(Z)から原告Yの生い立ちを聞いていたのを秘して、占いにより、これを見抜いたかのように振る舞い、原告を畏怖させるとともに、被告Xには、霊的能力あるものと信じ込ませ、「拝み」を受けないと不幸になると言ってその都度原告の不安をあおり、平成10年12月から平成15年7月まで「拝み」の対価名目で繰り返し多額の金員を支払わせたものである。当該行為はその目的及び態様において、社会通念上相当な範囲を逸脱したものであることが明らかであるから、不法行為を構成する違法なものと介される。したがって原告に対し不法行に基づきⅡ三に認定した。交付額28,600,000円、相当の損害賠償を求めることができる。」

フレーズ
『当該行為はその目的及び態様において、社会通念上相当な範囲を逸脱したものであることが明らかであるから、不法行為を構成する違法なものと介される。』


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