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少子化に歯止めがかからなくなった日本

この記事の出典は2009年に出版された本なので、データとしては2007年頃まで、未来の予測も当時のものですが、現在でも十分に参考になります。

先日、こんな残念なnoteをアップしたのですが、

今回は、その続編となります。



上昇志向を煽られる世の中


戦後に急増した恋愛結婚とは、言い換えれば「相手を選ぶ、選んでもらう」ための自由競争の面もあるので、

男性はそのために学歴や職業・収入などの「養う能力」の優位性を競い、

女性は容姿や炊事・洗濯・掃除などの「世話できる能力」の優位性を競い、

ともに「よりよい恋愛結婚相手の獲得」のために上昇志向を煽られ、

結婚後も他の家族と比較し合い、衣食住の贅沢さや「お受験」にみられる子どもの学歴など、

目に見える豊かさを競い合う大消費競争時代の一因ともなった。

⇧こちらの方々は、そうした世界に異議を唱えておられるのだと思います。ポイントは「恋愛資本主義」の否定。真の豊かさと国民全体の幸福について、考えるきっかけになります。


1986年・男女雇用機会均等法


しかし、このような結婚形態も1970年代半ばから変化している。

女性の社会進出に向けて意識も変わり、不十分とはいえ、1986年の男女雇用機会均等法に代表される女性が働く基盤も整理され、共働き夫婦が増えていった。

1980年に専業主婦世帯1114万世帯・共働き世帯614万世帯であったものが、2007年には専業主婦世帯851万世帯・共働き世帯1013万世帯に逆転している。

雇用のM字曲線


とはいえ、この1970年代の変化は、まだオイルショックを引き金にした不況による賃金上昇の頭打ち状況の影響により、専業主婦が家計の補助にパートなどの再就職をしたことが発端。

女性が低賃金であることや、結婚・出産で就労を中断してその後再就職することが多く、途中で就職率が下がる、いわゆる雇用のM字曲線は解消されないまま。

結婚しない生き方


「結婚しない生き方」も同時期から増加し、生涯未婚率(50歳時の未婚率)も、1970年代半ばまでは1〜2%程度だったが、2005年には男性で15%、女性でも6.8%に達している。

(この生涯未婚率は将来も伸びて、2005年時点で20代後半だった若者が、後に50歳になる2030年ころには、男性33.5%・女性28.1%にまでなると予測されている。)

とくに1990年代半ばからは男性の未婚率が女性を抜き、その増加率も大幅。

晩婚化も女性に比べ顕著で、2005年の30代前半の男性未婚者はほぼ2人に1人で、女性の3人に1人に比べ高くなっている。


結婚できない若者


この1990年代半ばからの変化は、「結婚しない」という選択だけではなく、若者の非正規不安定雇用の増大による「結婚できない」という生活状況の厳しさも反映している。

とくに「男性が家族を養う」というジェンダー観が残っていることで、不安定雇用で収入の低い男性ほど婚姻率が下がる傾向に。

恋愛から結婚を経て出産がほとんどの日本では、恋愛できない・結婚できない社会環境は、結果的に少子化に直結し、それに歯止めがかからない状況になった。



☆出典☆

『性の“幸せ”ガイドー若者たちのリアルストーリー』 著者:関口久志 (エイデル研究所)



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