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デザイン「案」と「パターン」の違いは何か?

デザインアイデアを考える際に、自分が作っているものが「デザイン案」なのか、「デザインパターン」なのかを、その2つの境界線が意外と曖昧でもありますので、そこの違いを明確に解説していきます。
アイデア出しについては前回たっぷり語りましたので、これはそのアイデアテーマの延長です。


私もキャリアが浅い時に先輩上司に言われてきたことです。


「それは、ヴァリエーションであって別案ではないでしょ」


よくやりました。意識せずに制作を押し進めていくと、なんとなく作ってしまうヴァリエーション(パターン)。
例えば、クライアントに3案を提案するという場合に、

2点は2案
1点は2案中の1案の別パターン

なんていう内容で提案をしがちでした。
これほど「案」と「パターン」の違いは一見微妙な違いに見えて、デザイナー本人でもわからずに制作してしまうこともあるのではないでしょうか。

結論から言いますと、私は「案」というものをこう捉えています。
ちなみに「案」は「アイデア」とも置き換えられます。
例えば、以下はどうでしょうか。

案とパターンは、変更点の差の度合いが大きいものを示す。
簡単に言えば、
before afterで違いが大きい場合は案。そうでない場合はパターン。

ただこの説明でも、「案」と「パターン」の違いを表現しきれていない気がします。

では、以下だといかがでしょうか。

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構成、構造、呼び方いろいろあります。構成要素の骨組みからの変更を伴うものを「アイデアの変更」、「案の変更」と言えるのではないかと思います。案の変更は「別案を作る」ということを意味します。


言葉でお伝えしてもわかりにくいはずですので、シンプルに絵で説明してみます。以下の「A」というアイデア(案)を展開させたものです。
一番左を元に、左から順に書体違い(pattern2)、背景違い(pattern3)、書体の太さ違い(pattern4)です。構成要素の概念に違いが生まれていません。よって、これはパターンです。

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では、以下はいかがでしょうか。

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一番左を元に、左から順に概念を変えたもの(idea2)、idea1を複数に散らした構成変更(idea3)、idea1と2を組み合わせたもの(idea4)です。
構成要素の概念に違いが生まれていますよね。これがAを元に「別案を作る」という行為になります。

ただ、こうは言ったもののやはりデザイン「案」とデザイン「パターン」の違いって時に微妙すぎてわかりにくいです。

そこで、さらにこの両者の違いを明確に理解いただくために、いつくかの例を上げていきます。


左右のデザインは「案」違い、「パターン」違い、どちらでしょうか?

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これは「案」違いとなります。
Aというものが2つに別れた内容ですので、構成変更を伴うため、案違いです。


次です。今度は色が伴います。
左右のデザインは「案」違い、「パターン」違い、どちらでしょうか?

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これは「パターン」違いとなります。
マゼンタの色が入りましたが、構造への変更は一切ないためです。


次です。初回のものと似ています。
左右のデザインは「案」違い、「パターン」違い、どちらでしょうか?

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これは迷うところですが、「パターン」違いとなります。
ただ、左右と天地での構成変更が生まれているため、案違いと認識できる部分もあるのですが、根本的にスペースに対して構成が2つに割れていることに置いて同じなため、「パターンよりの案違い」とも言えます。


では、次。
左右のデザインは「案」違い、「パターン」違い、どちらでしょうか?

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これも迷うところだと思うですが、「案」違いとなります。
アイデアAがアイデアSに変わっているので、レイアウトが変わらなくても一つの案と、別の案という認識になります。


いかがでしたでしょうか。
これは何かから学んだものでも、聞いてきた、教えられてきた見方、考え方ではありません。私の長年のデザイン経験の中で培われた個人的な一視点であり、みなさんそれぞれの考えをみつけていただければ、それで良いのかなと思います。
クライアントや上司にデザイン提案をするときに、この違いを「意識」できるかどうかが、「違い」を生めるかどうかに繋がります。これだけは覚えておいても損はないと思います。
もう一度、最後に。


なんとなく作り進めれば、自然と「パターン」が生まれやすいです。


別の「アイデア」と生むときは、必ず意図をもって考えていくといいです。





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