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「成功」よりも「使命」と気づける一冊

書店員の募集で面接を受けると、ほぼ100%の確率で「最近どんな本を読みましたか?」とか「愛読書は?」と訊かれます。従業員同士の雑談の定番でもあります。

もしいまこの種の質問をされたら、私は↓を挙げます。折に触れて何度も読み返している大切な愛読書です。

特に感銘を受けて心に刻みつけたのは53P。「夢を語るより、さっさと『使命』に気付いた方が、世のため人のためだぜ」「追えば追うほど、遠ざかるのは世の常だ。肚を真空にして、ご縁でいただいた仕事にベストを尽くすんだ! そうすりゃ、お天道様は見逃さないぜ」

この教えの正しさを証明する出来事がつい先日ありました。私が「魂の読書」を紹介しようと決めたのもそれがキッカケです。

世界一のプロレス団体・WWE。まず認められて入団するまでが大変だし、熾烈な競争の中で生き残るだけでも至難の業です。そこから最高峰のWWE王座まで辿り着けるのはほんのひと握り。先日ビッグEというレスラーがついにその仲間入りを果たしました。

彼は2009年に下部組織でデビュー。当初は無骨なパワーファイターでしたが、2014年に「ニュー・デイ」というユニットを結成してからは陽気なキャラに一変。入場時に腰をクネクネさせる姿が大受けし、ファンが安心して見られるコミカル系ベビーフェース(善玉)としてブレークしました。

ただこういう路線で人気を博してしまうと、どうしてもシリアスなトップ戦線からは外れがち。きっと様々な葛藤があったでしょう。「俺が本当にやりたいことは違うのに」と。でも彼は文句を言わず、来る日も来る日も与えられた役割を果たし続けました。

そして2021年。まさかまさかのWWE王座初戴冠。「苦労人がやっと報われた!」とファンからの祝福がすさまじいです。特別スター性に恵まれているわけでもない彼の成功に励まされた人は世界中にいるはず。私もそのひとりです。改めて実感しました。「やっぱり『魂の読書』は正しい」と。

かといって「地道に頑張ればいずれ成功する」みたいな話でもありません。そもそも「成功」という「結果」に縛られていたら、いつまでも陽の目を見ない状況に絶望し、投げ出してしまいます。私の推測ですが、ビッグEはある時から「試合を見てくれるファンを楽しませる」ことに「己の使命」を見出したのではないでしょうか? それを無心で続けた先にたまたま「成功」が待っていた。そういうことだと思うのです。

ちなみに「魂の読書」の冒頭で清水さんはこう記しています。「成功とは、本来『功を成す』ということですよね」「『功』とは、功徳という言葉が示すように、善行の結果として与えられる神仏からの慶事です」

また読みたくなりました。熱い一冊です。ぜひ。

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