「名刺代わり」の冊数ぐらい

「名刺代わりの10冊」ってタグ、ありますよね? 

noteでも読書メーターでも多くの人が活用しています。私はこれまで一度も使いませんでした。理由は簡単。多すぎるのです。「九マイルは遠すぎる」ならぬ「10冊は多すぎる」。

たしかに「10冊」は絶妙な数です。自分の長所や短所、あまり見せたくない闇の部分すらも「10冊の選書」なら表現できてしまう。ご都合主義や思い込み、もしくは美化や願望や卑下が含まれるとしても、です。何ならそれらも「己を形作る材料」として解釈し得る。カッコつけた人のカッコ良さとカッコ悪さがいずれもその人の真性を暴くツール足り得るように。

ただ、私にとっては「10冊」じゃないんですよ。区切りが良すぎる。というか、何も考えずに「10冊」を採用したくない。

サリンジャーはなぜ処女短編集を「ナイン・ストーリーズ」にしたか? 自分にとってベストだからです。たとえ後世の人から「9つも要らない。7つか8つで良かった」と評されても関係ない。己にとって大事な何かとはそういうもの。収まりの良さとかしっくり来るとかどうでもいい。世の中にはしっくり来ない方に正解を見出す人もいるのです。

というわけで、今回は「名刺代わりの9冊」を紹介します。サリンジャーとは関係なく、9という数字が好きなので。

1、夏目漱石「坊っちゃん」
2、伊坂幸太郎「砂漠」
3、太宰治「人間失格」
4、カフカ「掟の門」
5、中邑真輔「SHINSUKE NAKAMURA USA DAYS」
6、ジム・モリスン「ジム・モリスン詩集」
7、沢木耕太郎「一瞬の夏」
8、桜井章一「ツキの正体」
9、中村文則「掏摸」

とりあえず「掏摸」を久しぶりに読みたくなりました。

名刺代わりの本の冊数ぐらい、自分で決めたいですよね。皆さんもぜひ。

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