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ハードボイルド書店員が読みたい「第171回直木賞候補作」

またこの季節が来ました。

今回は直木賞候補について。

真っ先に読みたくなった作品はこちら。

青崎有吾(あおさき ゆうご)さんの「地雷グリコ」です。発売は昨年11月で出版社はKADOKAWA。「本格頭脳バトル小説」という煽り文句に惹かれました。5作が収録されていますが、あらすじを見ると同じ主人公(勝負事に強い女子高生)による連作っぽい。

「カイジ」の「限定ジャンケン」みたいな世界観をイメージしました。馴染みのあるゲームに特殊ルールを加えることで、一気に頭脳戦の要素が強まる。尤も「カイジ」の場合は負けたら人生が終わりかねない窮地へ追い込まれますが、本作におけるその辺りのリスクがどうなっているかはわかりません。

ずっと「ジョジョの奇妙な冒険」や「デスノート」を愛読していて「古畑任三郎」や「刑事コロンボ」も大好き。今作から近い匂いを感じました。ちなみに「ジョジョ」の作者・荒木飛呂彦さんのデビュー作は「武装ポーカー」です。「地雷グリコ」という題の背後にリスペクトの風がふわふわ漂っているような。

もう一作気になったのは↓。

岩井圭也(いわい けいや)さんの「われは熊楠」です。発売は今年5月で出版社は文藝春秋。「知の巨人」といわれた南方熊楠の生き様を描いた作品とのこと。

昔「週刊少年ジャンプ」で「てんぎゃん」という熊楠が主人公のマンガが連載されていました。短期間で終わってしまったのですが、熊楠が作文と漢文以外のテストをすっぽかし、でもそのふたつが満点だったエピソードをうっすら覚えています。国語と社会を愛し、算数と理科を憎んでいた当時の自分はちょっと彼に憧れました。

忘れていたことすら忘れていた子どもの頃の忘れものに出会った気分です。こちらもぜひ読みたい。

7月17日(水)の発表を楽しみにしています。

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