「面白ければいい」は面白くない
5月に首の負傷でベルトを返上したウィル・オスプレイがアメリカ大会に登場。当初は「復帰の時期は未定」という話でしたので、ここまでは嬉しいニュースです。
ところが返上したはずのIWGP世界ヘビー級王座を手に「真の王者は俺だ!」とアピール。最初は「あ、そう」と軽く受け止めました。でも。
現在の王者は鷹木信悟選手。コロナで欠場中です。9月5日の防衛戦に間に合わせようと必死にコンディションを整えているはず。
あの「なんちゃって王座」を見て彼は何を思ったのか。私が彼の立場だったらバカらしくなります。「だったら俺が死ぬ気で手に入れたベルトは何なんだ?」「そもそも新日本にとって俺は何なんだ?」と。
オスプレイはただ「鷹木のベルトを狙う」と宣言すれば良かった。諸々の事情でしばらくアメリカで活動するのなら、棚橋選手が持つUS王座に挑むとか、やり方はいろいろあります。なぜわざわざ王座の価値を下げるようなことをするのか? なぜ新日本プロレスは彼にそんなことをさせたのか?
ベルトをただの「商売道具」としか考えていない。そうとしか思えない。面白ければ何でもいい、カネになるならオールOKと。「面白ければ何でもいい」なんて姿勢で作ったものが面白いわけないんです。「売れれば何を置いてもいい」なんて考えの書店の売り上げが伸びないように。
全日本プロレスの諏訪魔選手はコロナ陽性で1年以上保持した三冠王座を返上しました。今は「王道トーナメント」に出場しています。優勝して挑戦権を得るために他の選手と同一線上で頑張っています。これはベビーフェースとかヒールとかそういう問題じゃない。ベルトに関する団体の姿勢の問題です。「ベルト」を「歴史」や「先人」に置き換えてもいい。
G1は行きたいけど今の新日本には乗れません。何かが根本的におかしい。「プロレス」という伝統文化の価値を大事にする(なおかつ時代に即して変えるべき点は変える)全日本の方が私には合っているようです。
作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!