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「売り上げ」だけでは測れない

西武池袋本店がなくなるかもしれない。

本好きにとっては由々しき事態です。なぜなら同店の書籍館に「三省堂書店池袋本店」が入っているから。

ここは数々の伝説を残し、惜しまれつつ2015年7月に閉店した「リブロ池袋本店」の跡地です。すぐ近くの「ジュンク堂書店池袋本店」と並ぶ愛書家の聖地であり、且つ文化と教養の発信地でもあります。

実際、私は定期的に「三省堂池袋」へ足を運び、レジ横やフェア台をチェックしています。たとえば春先には「ウクライナ情勢を考える」みたいなコーナーで↓が多面展開されているのを見つけ、さすがだなと感服しました。

作品の舞台は90年代、ソ連崩壊後のウクライナの首都キーフ。しかしいまとなっては「ロシアの支配下に入ったら、こういう事態が日常的に起こり得る」というディストピア小説としても読める内容なのです。

↓も同じコーナーで存在を知り、のちに購入しました。ロシアが仕掛ける「プロバガンダ」の内実を知る上でオススメです。

でもこういった事実は、おそらくアメリカの投資ファンドには何の感慨ももたらしません。売り上げが良ければ残す、悪ければ切る。大型の家電量販店を新たにオープンするのなら、テナントとして書店を残すとは考えにくい。継続するのは「ロフト」と「無印良品」ぐらいではないでしょうか。

もちろん納得はできません。

もし「本を買うならアマゾンで十分」と言われたら、私はこう反論します。「アマゾンでは得られぬ出会いと学びを提供しているからこそ、リアル書店はいまも生き残っている」「売り上げは大事。でもお客さんへの貢献度は数字だけでは測れない」

資本主義の暴走はあまりにも短絡的です。安易に身を任せると危ない。守るべきところを守って「ミダスの呪い」に歯止めを掛け、そのうえで利潤を追求しましょう。虚無と服従に覆われた羊の世界を避けるために。

動向を注視していきます。

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