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「憧れのロックスター」@2.21東京D

東京ドーム、行ってきました。

言葉にならない引退試合が終わった後、まさかのボーナストラックが待っていました。

学生時代、個人Webサイトを作ったことがあります。誰もがそうするように自己紹介のページを設け、「好きな有名人」の項目に「蝶野正洋」と書きました。

蝶野選手は10年近く試合をしていません。リングに上がれる体調ではないからです。このまま引退試合をせずにフェードアウトしていくのだと思っていました。盟友のラストを見届ける解説者として、前奏が付いた「CRASH」に乗って東京ドームの花道を歩いてくる。その姿を現地で見られただけで「うおおおお!!!」でした。

ところがそれだけではなく、試合を終えた武藤選手に呼び込まれてリングへ向かう。G1を連覇したベビーフェース時代の入場曲「FANTASTIC CITY」が流れる。ゴングが鳴る。組み合う。代名詞であるSTFを決め、同日デビューのライバルからギブアップを奪う。

ずっと憧れていた人が思いがけず迎えたひとつの区切り。そのサプライズの感覚を同じ会場で共有し、目撃することができました。

私にとって、蝶野選手は同じ時代を生きる「ロックスター」のような存在です。

どんなに頑張っても使い勝手のいい便利屋としか見てくれない会社に反旗を翻す。己の欲だけを叫ぶのではなく業界の問題点を批判し、怒りを表現する手段としてヒールの道を選ぶ。組織に縛られず、様々な業界と関わりを持ち、プロレスをやりながらアパレルブランドも起ち上げる。加えて黒を基調としたスタイリッシュな佇まい。カッコ良すぎました。

一介の非正規書店員である私とは、見た目も生き方も似ていません。しかし世の不条理に抗う個の気持ちを養う意味で大きな影響を受けました。決して過言ではなく、私は蝶野選手という指針が存在してくれたおかげで生きてこられたのです。

素晴らしい時間をありがとうございました。

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