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ハードボイルド書店員が選んだ「お孫さんへ贈る絵本」

数日前。レジに入っていると、隣で同僚がお問い合わせを受けました。

ミスしないように手元に集中しつつ、なんとなく耳をダンボにしていました(もはや死語かもしれない)。はっきりとは聞こえなかったのですが「孫に絵本を買ってあげたいから何か選んでほしい」みたいな内容でした。

レジを離れた同僚が戻ってきたので「どうなりましたか?」と訊ねました。いろいろお孫さんに関する情報を聴き、最終的には「自分の好きな絵本を何冊か勧めちゃいました」とのこと。まあそうなりますよね。自信を持ってオススメできるのは、やはり推している作家の作品ですから。

一応こういうケースでは「お客さん及びお客さんが本を贈ろうとしている相手がどういう本を好きか?」を確かめるのがセオリーです。でもそれを考慮に入れたら、あとは徹頭徹尾主観的な判断でいい。売れている本を勧めるだけなら誰でもできるし、お客さんもそんな答えでいいならわざわざ訊ねません。むしろ「こんな本あるんだ?」というチョイスの方が望ましいはず。

もしいま自分が同じお問い合わせを受けたら、どんな絵本を選ぶか? 考えてみました。

いくつか思い当たるけど、お店に在庫がないと意味がない。そこも意識して決めました。↓です。

出版社は岩崎書店で発売は今年の2月。まだ新刊と呼べる時期なので、きっと多くの書店で置いているはず。ゴミ収集車として日々奮闘するぽいすけくんの「心の叫び」に襟を正しつつ、でも決して説教臭いわけではない。メッセージ性もさることながら、青を基調としたさわやかな色彩がシンプルに心地いい一冊です。

某書店で衝動買いしたのですが、決め手となったのは帯の裏側。「はたらくくるま、はたらくひとたち。いつもありがとう、ごくろうさま!」と書かれていたのです。

多くの人はやりたがらないけど、我々が生きていくうえで不可欠な仕事があります。ゴミ収集は間違いなくそのひとつ。他にもたとえば元旦でも交通機関は動いているし、電気やガスも止まっていない。大抵のコンビニは24時間いつでも買いに行けます。

私自身、年中無休の書店で働く身です。といっても、感謝を強要したいわけではありません。ただ子どもたちが本書を読むことを通じ、こういった事実を当たり前のこととしてスルーしない感性を育んでくれたら嬉しい。大袈裟にいうと、読まれれば読まれるほど世の中が良くなっていく気がします。

しかもこの絵本、実はシリーズ第3弾なのです。他は「きゅうきゅうしゃのぴーとくん」と「はしごしゃののびるくん」。もし「ぽいすけくん」をお孫さんが気に入ってくれたら、その2冊を別の機会に贈ることができます。その意味でもプレゼントとしてオススメかなと。

よかったらぜひ。

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