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「一番自分を評価してくれた人」の思い出

4年前。

いまの職場に来てしばらくは棚を任されず、雑誌の手伝いをしていました。正直「またか」です。最初に入った書店で長く雑誌担当を務めたせいか、以後の職場でも「じゃあやって」となるケースが多かったのです。

しかしある日、店長に「雑誌をやらせるつもりはないから」と告げられました。そしてビジネス書や専門書の棚を作るコツをイチから教えてくれたのです。時間をかけてじっくりと。

同僚の非正規に「ここは社員がちゃんと教えてくれるのがいいですね」と話しました。すると彼は戸惑ったように首を傾げ、少し考えてから「たぶん店長は○○さんに期待しているんです」と続けました。

一昨年、社員の人が「ビジネス書の売り上げが好調だよ」「先月は○○店より良い」と教えてくれました。○○店は私を育ててくれた店長のいまの職場です。ビジネス書は彼が仕切っているはず。

たまたま一度数字で上回った。それだけで勝ったとか超えたなんて思いません。ライバル視しているつもりもない。ただ誇らしさを覚えなかったと言えば嘘になります。

さてDOUKI選手。ずっと負け続けてきた高橋ヒロム選手から、ついに悲願のシングル初勝利を挙げました。

「お前は世界最高のレスラーの一人だ。でもな、俺が倒したかったのはそれだけじゃない」
「お前がどんな時も、一番俺を評価してくれた。だから俺にとってお前は一番倒したい相手なんだ」

わかる。とてもよくわかる。

「なぜこんなに自分を認めてくれるのだろう」という誰か。どういう形であれ、その人に勝てたら「あ、俺少しは成長してるんだ」と確認できます。ささやかなレベルアップの実感。この喜びをまた味わいたいからこそ、私はいまも書店員を続けているのかもしれません。

DOUKI選手、お互い精進しましょう。そして彼にこんなコメントを言わせるヒロム選手、あなたを改めて尊敬します。

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