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イチ書店員の考える「大型店のあり方」

6月1日の仮店舗オープンを楽しみにしています。だいぶ縮小しそうですが、存在してくれることがありがたいです。

イチ書店員として「大型店のあり方」を考えました。なお、この文脈における「大型店」は全国に展開している事実ではなく、建物の複数階にまたがる本屋を意味します。

まず売れ筋の文庫本や雑誌、コミックなどは町の本屋やネットでも買えます。でも洋書は? マニアックな専門書は? 

大抵の書店では置いていません。かといって、内容を確かめずにオンラインで購入して「これじゃない」「期待していたものと違う」はまずい。試し読みのできる場合もありますが、判断するに足る情報を得られるとは限らない。

こういう時に「神保町の三省堂や新宿の紀伊國屋ならあるはずだ」と駆け込めることがどれほどありがたいか。学生時代から何度も助けられました。この種のありがたみは緊急事態にならないとわからないものです。

一方で膨大な在庫が店の経営を圧迫するのも確かでしょう。コロナ禍で売り上げが激減したことに加えて「ここでしか買えない本だから残さなきゃ」の負担が積もり積もったらどうなるか? 従業員の生活を守るために「背に腹は代えられない」となるのは必定です。

素人目線ですが、解決策は他の手法で収益を補うこと。三省堂・神保町本店だったら建て替え後も仮店舗と同じ在庫規模を維持し、且つネットや小さな書店では買えない本を置くことを重視する。そして残りのスペースは集客の見込める別の会社に賃貸するのです。

昔からのファンは「こんなの三省堂じゃない」と嘆くかもしれません。アニメイトの傘下に入った書泉に落胆した人が少なからずいたように。気持ちはわかります。でも時代に合わせて変化しないと生き残れないのも事実なのです。

大切なのは通底するエートスを守ること。書泉はそれをしているから続いています。そしていまは「大抵の本が置いてある」よりも「ここでしか買えない本がある」の方がニーズの高い時代ではないでしょうか?

挟んだしおりを抜く日が待ち遠しいです。

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