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【本とわたし】 そのひとの日常を読みたい。

過去でもなく未来でもなく、
いま、ここに、生きること

今どんなことを感じていたり
今どんなことを考えたりしているのか
いつも言葉にしていたい

自分の日記帳以外に
noteもそんな場所のひとつ

▼そのひとの日常を読みたい

平凡な暮らしのなかに、幸せがある。

誰かの日記を読むのが好き
その人の日常を読みたい

自分とは違う日常の暮らし
そのひとの言葉
そのひとの生き方

私とその人
人生が重ならなかったけど
会うことはなかったけれど
noteだから会うことができたのかも

そういう偶然の出会いも
楽しみたい

素敵だなぁ!いいわねぇ!と
温かな眼差しを向ける
あの瞬間がわたしは好き


▼体温を交換

言葉の以上の何かがある。
ほんとうよ。

ガンを告知されてから、
あらゆる人とハグをした。
体が折れそうになる程強いハグもあったし、
柔らかい毛布で包まれるようなハグもあったし、
私の体を壊れ物のように扱ってくれる
優しいハグもあった。

カナダに来て、
自分が「ハグ好き」であることが判明した。
日本にいたときは、
体が触れ合うのが嫌いな人もいるだろうし、
セクハラになったらどうしよう、
そんな風に、いつも遠慮してきた。
というより、
そもそもハグをしようと思い至らなかった。
そんな習慣がなかったからだ。

くもをさがす P239

彼女はいつも強く、熱く、
わたしにハグをしてくれた。

「ハグ」がこんなにも
エネルギーあるものなんだって
初めて知った瞬間だった。

それはどんな言葉以上にも
元気をもらえたし
力をもらえたし
自分の自信にも繋がった。


数ヶ月前
久しぶりに友らとの再会。
(彼らとはハグ仲間)

最後ハグをして別れた
あぁ、この感覚久しぶりだ!
私たちは、生きている。

ハグしても大丈夫? 
そう聞いてくれる人もいた。
もちろん大歓迎だった。
誰かを抱きしめることは、
そして誰かに抱きしめられることは、
その行為以上の何かになった。

お互いの体温を交換し、
お互いが「生きている」のだと感じる瞬間が、
わたしにどれほどの力を与えてくれたか。

くもをさがす P240


▼ある

なにげないもの、ささやかなもの、を愛する

何を失っても生きていける

あるものを失ってはじめて

ひとは、「ある」ことに気づく

「ある」ものが

はじめて見えるようになる

そのときはじめて

ほんとうの眼が

開くのかもしれない


▼不在の感覚

人生は長いと、ずっと思っていた。
間違っていた。驚くほど短かった。

私たちの胸を痛ませるのは、
ありきたりの死そのものではなく、
死がもたらす「不在」の感覚だ。
あの人がここにいない。
そのたった一つのことが私たちを狂わせる。
だが、不在は、私たちに過ごしていた
「死」を認識するきっかけを与える。
とても痛ましいが、必要な学びだ。

くもをさがす P65

まさにあの日「不在」だった
この不在がわたしに
大事なこと教えてくれている

ふとしたとき、
それは大抵、夜で
悲しみに浸る

死が遠いものではなく
近くに感じられる


死が遠いものではなく感じられるようになってからは、
その悲しさ辛さのなかに、
切っ先の鋭い悲しみ、
叩きつけてくるようなつらさ、
だけではない何かが混じっていると
感じられるようになってくる。
その「だけではない何か」を、
長田弘はこの詩集の中で繰り返し辿ってゆく。

死者の贈り物 P85

その人の死が、
どうしてここまで気になるんだろう
なぜ放っておけないんだろう
うまく自分のなかで片付けきれない
悲しみや辛さ以外の大切な何か
「何かが混じっていること」は間違いない

それが何なのか
私はずっと、それを知りたくて
どうしても分かりたくて

本を読み続けている



 記事もお陰さまで40本になりました。
今日も読んでいただき、嬉しいです。
いつもありがとうございます!


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