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AI・BIが実現した後

日本で行われた多くの財政政策や金融政策は功を奏してない。

理由はこれらの政策が富裕層や大企業を豊かにする一方で、国民の大部分にあたる中間層、低所得層の生活を豊にするものではなかったからだ。
グローバル化が進んだ現在では大企業に貯まった資金は国外の高成長市場に再投資される。
そのため富裕層を富ませることで国民全体が豊かになるというトリクルダウン理論はもはや通用しない。こうした状況下で経済成長を促すには富裕層から低所得層へと富を移す「再分配」によって、消費活動を促すことが欠かせない。
またBIは失業者のセーフティーネットの役割も担うため、雇用者の解雇規制の緩和や失業保険の負担軽減なども期待できる。企業はより合理的な市場対応ができるようになるだろう。
まず経済活性化、社会保障機能等の現実的なメリットがBIには内包されているのだ。

BIへの懸念点としてフリーライダーの増加、財源確保の困難性といった問題があるが前者に至っては導入実験で勤労意欲の低下は見られなかった。後者に関しても原資として必要となる財源は年間約122兆円であるが充当できるのは、BI導入で不要となる国民年金・基礎年金額の約22.2兆円、生活保護の生活扶助費の約1.2兆円、雇用保険の失業保険費の約1.5兆円である。さらに強者の年金といわれる厚生年金を充当すればいい。
残りの64.7兆円は国民負担率を42.9%から先進国に倣って60%にまで引き上げれば解決する。
またBIには官僚が抵抗の抵抗が予想される。BIのシンプルさゆえに官僚は自分たちの差配、裁量権が削られてしまうことを恐れるだろう。官僚組織とは自己肥大化と差配の本能に基づくためその抵抗の力は相当に大きいと思われる。
日本から格差を根絶する役目を担うはずの官僚が己の利益を優先させ、格差の温存に対して見ないふりをするというのは笑えない話だ。
近年、フィンランド、オランダのユトレヒト市、カナダのオンタリオ州などで試験的BIが実施されている。また、アメリカのベンチャーキャピタル、「Yコンビネータ」も独自のBI導入実験を行っている。
BIがマクロ経済的なメリットを有するとはいえど、日本やヨーロッパでは3,4%程度の経済成長効果は見込めないだろう。そこで経済全体の生産性を飛躍的に向上させ、産業革命に匹敵する豊かさをもたらす可能性が高いのがAIだ。
AIが知識、頭脳労働において人間を凌駕するようになると、生産活動のほとんどをAIが担うようになる。そうすると労働者の役割が消失する。
これにより生産活動を行うAIを所有する資本家が富を独占し経済を支配するというリスクが浮上する。また消費と所得の減退により経済が崩壊してしまうというリスクもある。
大多数の人がAIに生産活動の機会を譲り所得を失えば財やサービスを購入できなくなる。
その結果、消費が縮小し、経済全体が衰退し、世界はディストピアと化してしまう恐れがあるのだ。
そのような事態を避けるために、AIが生み出した富の再分配を行う必要がある。生産活動に関われない人々にも購買力を提供する必要があるからだ。再分配政策の中で最も民主主義的で、経済合理性が高いのがBIである。
AIの時代になれば財・サービスの生産は現在より圧倒的に効率化される。そのため人々が最低限の生活を行うための実質的なコストも最小化されていく。
となると経済成の重要なファクターとなるのは需要の増大と新たな需要の開発だ。
AIとBIが結び付くと、私たちは「働かなくても食ってよし」という理念を享受できるようになる。
こうした理念によって支えられる人類の新たなステージには3つの特徴がある。
① 圧倒的に生産性が向上し、従来の産業革命以上のインパクトで経済産出量が拡大する。
② 国民全員に生活・就労における現実的な選択肢が与えられ真の平等が達成されると共に民主主義が名実ともに完成する。
③ 生きるための労働以外の活動に従事できるようになり、真の豊かさを追求できるようになる。

例え生きるための労働が不要になっても、社会貢献や興味関心のために人は仕事や活動を行うだろう。やりたいことをやって得られる自尊の念、やりがいを得ることが新しい時代における活動・仕事になる。
そして楽しさを純粋に追求できる遊びの行動も増えるはずだ。
究極的に豊かな社会の実現に近づいていく。
こうした時代では自分のやりたいことを見出す能力が求められるであろう。
そのためには心身ともに人間らしさを大切にしなければならない。

AI、BIが実現されれば多くの人にとって今より豊かな社会が実現するのだろう。
現代人も昔に比べれば豊かにはなったものの、労働に多くの時間を取られる人が多く時間的には豊かになりきれていないというのが現状だ。
物質的に豊かになった人類が次に求めるが「時間的豊かさ」になるのも当然のことだ。
最低限度の生活が保障されるようになったが未だに労働に囚われ人間らしい生活をできていないような人も多く見る。
ベーシックインカムさえ導入されればパソコン一つで家に引きこもっていられる生活が実現する。
徐々に近づいて行っているのだろう。時代に適したアクションを起こしていきたいものだ

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