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モルモン書:ニーファイ第一書

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『モルモン書ーイエス・キリストについてのもう一つの証』の第一ニーファイ書の説明と個人の証。
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08_「わたしニーファイは善い両親から生まれたので…」(1ニーファイ1:1)

08_「わたしニーファイは善い両親から生まれたので…」(1ニーファイ1:1)

ニーファイが「善い両親から生まれた」と述べている父親の名前はリーハイ、母親の名前はサライア。父親は旧約聖書のエレミヤの時代のエルサレムの預言者のひとりです。ふたりにはこの時点で4人の息子、上からレーマン、レムエル、サム、ニーファイがいました。(娘もいたでしょうが本文では多くが語られていません。)

非常に興味深いことですが、モルモン書の最初の部分(ニーファイ第1書)を読んでみますと、ニーファイはリ

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09_「それでわたしの父リーハイは、出て行って自分の国の民のために一心に主に祈った。」(1ニーファイ1:5)

09_「それでわたしの父リーハイは、出て行って自分の国の民のために一心に主に祈った。」(1ニーファイ1:5)

ユダヤのゼデキヤ王の時代は、人々の間に大きな悪があった時代でした。不道徳と腐敗が蔓延していました。主は、エレミヤ、エゼキエル、ナホム、ハバクク、ゼパニヤなどの多くの預言者を召し、エルサレムの民に自分たちの罪を悔い改めて主に立ち戻るように、そうしなければ滅びてしまうにちがいないと警告を発しておられました。

リーハイは、そのような邪悪な時代に、家族や友人、多くの人々が幸せに暮らせるように心を砕いて、

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10_「しかし見よ、主の深い憐れみは、信仰があるために主から選ばれたすべての者のうえに及び、この人たちを強くして自らを解放する力さえ与えることを、わたしニーファイはあなたがたに示そう。」(1ニーファイ 1:20)

10_「しかし見よ、主の深い憐れみは、信仰があるために主から選ばれたすべての者のうえに及び、この人たちを強くして自らを解放する力さえ与えることを、わたしニーファイはあなたがたに示そう。」(1ニーファイ 1:20)

ニーファイは、1章の最後で「しかし見よ、主の深い憐れみは、信仰があるために主から選ばれたすべての者のうえに及び、この人たちを強くして自らを解放する力さえ与えることを、わたしニーファイはあなたがたに示そう。」と述べ、リーハイをはじめ家族や自分自身の『自らを解放する』経験を書き始めました。

それでは、まず、「主の深い憐れみ」が及ぶとはどのようなことかみていきましょう。デビッド・A・ベドナー長老は,「

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11_「主は夢の中で父に、家族を連れて荒れ野へ出て行くように命じられ…父は主の言葉に従順であったので…家や受け継ぎの地、金や銀、貴重品を後に残して、家族と食糧と天幕のほかは何も持たずに荒れ野へ出て行った。」(1ニーファイ2:2〜4)

11_「主は夢の中で父に、家族を連れて荒れ野へ出て行くように命じられ…父は主の言葉に従順であったので…家や受け継ぎの地、金や銀、貴重品を後に残して、家族と食糧と天幕のほかは何も持たずに荒れ野へ出て行った。」(1ニーファイ2:2〜4)

とここまで読むと「あぁ、そうか、主の指示で荒野に逃げたんだね。」とスッと読み過ごしてしまいそうですが・・・確かに、リーハイは,預言者として民の悪事をはっきり指摘したので民から命をねらわれていました。そして、主から警告を受け、家族を連れて逃げるように指示されました。でも、考えてみてください。ある日、あなたのお父さんが、「夢で神様からここに住んでいたのでは命が危ないので、大急ぎで何も持たず引っ越しをし

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12_「さて、わたしニーファイはまだとても若かったが、もう身の丈は高く、また神の奥義を知りたいという大きな望みを抱いていたので、主に叫び求めた。すると見よ、主がわたしを訪れ、心を和らげてくださったので、わたしは、父がこれまでに語った言葉をすべて信じた。そのためにわたしは、兄たちのように父に逆らおうとはしなかったのである」(1ニーファイ2:16)

12_「さて、わたしニーファイはまだとても若かったが、もう身の丈は高く、また神の奥義を知りたいという大きな望みを抱いていたので、主に叫び求めた。すると見よ、主がわたしを訪れ、心を和らげてくださったので、わたしは、父がこれまでに語った言葉をすべて信じた。そのためにわたしは、兄たちのように父に逆らおうとはしなかったのである」(1ニーファイ2:16)

人生にはさまざまな苦難や試練があります。そんな時、イエス様や福音に対しての証はわたしたちを支えてくれます。ニーファイは,父リーハイの言動に対してそれが神からのものであることをどのようにして知ったのでしょうか。父の言動に対する戸惑い、それによって生じる未知の経験に対するさまざまな不安や恐れ、ニーファイにとって個人の証を築いていく良い機会となりました。16節にはニーファイのとった行動が書かれています。

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13_「わたしは行って、主が命じられたことを行います。」(1ニーファイ3:7)

13_「わたしは行って、主が命じられたことを行います。」(1ニーファイ3:7)

従順でない兄について非常に心配していたニーファイは、主に熱心に祈り、彼らのために主に助けを願いました。主との交わりを持ち、特別な約束を得たニーファイは、天幕に帰って来ました。すると、そこではひとつの問題が起きていました。父リーハイは夢のなかでレーマン、レムエル、サムそしてニーファイの4人をもう一度エルサレムに引き返させるように主に命じられたのです。ユダヤ人の歴史とリーハイの家族の先祖の系図の書かれ

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14_「これらの記録を手に入れるのは,神の知恵です。そうすれば,先祖の言葉を……また……すべての聖なる預言者の口を通して……語られてきた御言葉を,子孫に残すことができるのです。」(1ニーファイ3:19-20)

14_「これらの記録を手に入れるのは,神の知恵です。そうすれば,先祖の言葉を……また……すべての聖なる預言者の口を通して……語られてきた御言葉を,子孫に残すことができるのです。」(1ニーファイ3:19-20)

主は、父リーハイを通して息子たちに『真鍮の版』を入手するためにエルサレムに戻るように指示されました。何度かの試みの後、ニーファイたちは、真鍮の版を入手し荒れ野の両親へもとに帰っていきます。(この経験は後日、詳しく述べたいと思います)真鍮の版にはリーハイの「先祖の系図」が記録されていました。また、「ユダヤ人の記録」も含まれていました。このユダヤ人の記録とは,現在、私たちが読んでいます『旧約聖書』の歴

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15_「・・・天使はわたしたちにこのように語ると、立ち去った。天使が立ち去ってから、レーマンとレムエルはまたもつぶやき始め(た)・・・。」(1ニーファイ3:30-31)

15_「・・・天使はわたしたちにこのように語ると、立ち去った。天使が立ち去ってから、レーマンとレムエルはまたもつぶやき始め(た)・・・。」(1ニーファイ3:30-31)

レーマンとレムエルは、エルサレムに戻ってラバンの真鍮の版を手に入れるプロセスで、さまざまな困難な経験をしてがっかりしてつぶやいたり、諦めそうになったり、時には、弟に暴言を吐いたり、暴力を振るったりします。しかし、その度にいろんな主の御手によって守られ、霊的な助けを受けました。しかし、すぐにまたつぶやき、ネガティブな言動をとってしまいました。

七十人のジェームズ・B・マルティノ長老は、このような状

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16_「わたしは、前もって自分のなすべきことを知らないまま、御霊に導かれて行った。」(1ニーファイ4:6)

16_「わたしは、前もって自分のなすべきことを知らないまま、御霊に導かれて行った。」(1ニーファイ4:6)

父親からエルサレムに戻って先祖の記録を手に入れて来るように命じられた息子たちは、その記録を持っているラバンに何度か渡してくれるように交渉しますが、相手にされません。それだけではなく、命までとられかけますが、ニーファイが信仰を持って、御霊に導かれてエルサレムの街に入っていくと、ラバンが道に倒れており主によってニーファイの手に渡され、ついに真鍮の版を手に入れることができ、その上、ラバンの召使のゾーラム

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17_「…母はこのような言葉で父に不平を言っていた…」(1ニーファイ53節)

17_「…母はこのような言葉で父に不平を言っていた…」(1ニーファイ53節)

この箇所は、よい対人関係を持つために非常に大切な教訓を学ぶことができます。リーハイとその家族は主の命令によってエルサレムをあとにしましたが、息子たちはラバンの真鍮の版を手に入れるために再びエルサレムに戻っていきました。

しかし、なかなか、息子達は戻ってきませんでした。父親も母親も非常に心配をし、心を痛めていましたが(Ⅰニーファイ 5章6-7参照)、母親のサライアは耐え切れずについに夫に向かって不

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18_「わたしが一心に志すのは、人々がアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神のもとに来て救われるように、説き勧めることである。したがって…俗世の人々にとって喜ばしいことを書き記さないで、神にとって喜ばしいことや、俗世のものでない人々にとって喜ばしいことを書き記す。」(1ニーファイ6:4〜5)

18_「わたしが一心に志すのは、人々がアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神のもとに来て救われるように、説き勧めることである。したがって…俗世の人々にとって喜ばしいことを書き記さないで、神にとって喜ばしいことや、俗世のものでない人々にとって喜ばしいことを書き記す。」(1ニーファイ6:4〜5)

このメッセージは、一貫して『モルモン書』のテーマで、度々、預言者や記録者が思い起こさせてくれます。特にここでニーファイは、「一心に志すのは」という語句を使っていますが、英語では「the fulness of mine intent」となっており、特別な思いがあったようです。ここでニーファイが指摘しています「アブラハム,イサク,ヤコブの神」とは、イスラエルの民と契約したエホバのことを表しています。と

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19_「主が再び父に、家族だけを連れて荒れ野へ行くのは…よくない、…子供をもうけられるよう…よその娘たちを妻に迎えるように、と言われた…」(1ニーファイ7:1)

19_「主が再び父に、家族だけを連れて荒れ野へ行くのは…よくない、…子供をもうけられるよう…よその娘たちを妻に迎えるように、と言われた…」(1ニーファイ7:1)

主は、リーハイを通して、ニーファイと兄たちに、もう一度、エルサレムへ戻ってイシマエルとその家族を連れてくるように命じられました。結婚して子どもをもうけ、子孫を残すためでした。それで、ニーファイと兄たちは、実際にエルサレムに戻り、イシマエルの家族に自分たちの一行に加わるよう説得しました。イシマエルの家族はその招きに同意し、途中、多少の擦った揉んだがありましたが最終的に荒れ野のリーハイの一行に加わり、

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【ミニ情報:推定されるレムエルの谷に滞留した当時のリーハイの一行(最小限)】

【ミニ情報:推定されるレムエルの谷に滞留した当時のリーハイの一行(最小限)】

今日はちょっと本文から離れて、荒れ野でのリーハイとイシマエルの家族がどのくらいの人数だったのか少しみてみたいと思います。

1. リーハイ※1  家族の族長
2. サライア   リーハイの妻
3. レーマン   リーハイの長男
4. レムエル   リーハイの次男
5. サム     リーハイの三男
6. ニーファイ※2  リーハイの四男

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20_「さて、父は、荒れ野にとどまっていたときに、わたしたちに次のように言った。『見よ、わたしは夢を見た。別の言葉で言えば、示現を見た…』」(1ニーファイ8:2)

20_「さて、父は、荒れ野にとどまっていたときに、わたしたちに次のように言った。『見よ、わたしは夢を見た。別の言葉で言えば、示現を見た…』」(1ニーファイ8:2)

この部分、リーハイの夢(示現)について考えるために、まず、デビッド・A・ベドナー長老の言葉をご紹介いたします。

ここで、デビッド・A・ベドナー長老の言葉の続きを読んでみましょう。
「キリストのもとに行く」という点について注意して読んでみましょう。

ダニエル・L・ジョンソン長老は、自分自身がどのグループに属しているのか吟味するように勧めておられます。

その他のリーハイの夢(示現)の解釈は以下

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