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映画は問いかける【アズイン福井】(2/2)

 福井駅に到着したのは14時頃。雪の予報だったが、幸いなことに少し曇ってはいるものの降り始めてはいなかった。

 福井県出身の知人から勧められていたタレカツ丼の名店「ヨーロッパ軒」で昼食を済ませた僕は、会計を済ませて店を出ると、そこで衝撃的な光景を目にしたのだった。

「雪じゃん!」

 たしかに曇ってはいた。ただ、雪が降るとしてもある程度の時間がかかるだろうと思えるほど雲は薄かったため、その天気の変わりやすさに驚きを隠せなかった。

 土地勘が無い僕は、まずは一旦駅まで歩いて戻ることにしたのだが、それまでの約10分弱の間、雪の威力は増す一方だった。これでは夜に外食なんてできそうもない。
 そこで、僕は駅のスーパーで夕食を調達してからホテルに向かうことにしたのだけれど、外に出ると先ほどよりもさらに雪が強まっていた。ホテルまでは徒歩10分だが、よりによって僕は仕事のために革靴を履いているし、その距離ですら歩くことは困難だ。そして僕が選んだ手段はタクシーだった。クライアントから提示されている要件に満たしていなかったため、もちろん自腹である。

 予約していたホテル「アズイン福井」に無事に到着した僕は、チェックインを済ませて部屋に向かうと、さっそく館内着に着替え、冷えた体を温めるためにもすぐに大浴場に移動することにした。

「シンプルで良いじゃないですか」

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(公式サイト: https://www.ace-az-inn.com/fukui/room/?id=largeBath )

 お風呂は1つのみ。何が特徴かと聞かれたら、「特徴が無いことが特徴」と答えたくなるほど無駄が省かれた設計だ。
 だが、僕がこのホテルを選んだ理由は、この大浴場にあった。

「これか」

 もちろんサウナである。僕は身を清めてお風呂で体を温めてから、さっそくサウナ室に向かい、扉を開けて中に入った。

「このコンパクトさが良いな」

スクリーンショット 2022-04-02 12.50.40

(公式サイト: https://www.ace-az-inn.com/fukui/room/ )

 自分史上最も小さいサウナ室だ。物理的にはぎりぎり3人までが座ることができるけれど、このご時世ということもあって1人までの入室制限がかかっている。そもそも浴場には僕以外にお客さんは1人しかいなかったが、そうでなくともサウナ室を貸切で利用できることになる。
 温度計は92℃を指していて、巣鴨のサンフラワーを思い出すほど湿度は低かった。つまり、じっくりと時間をかけて汗が流れ出るサウナだ。その無音の小部屋で一人黙々と蒸されていると、10分ほどが経過したところで全身からいっきに汗が吹き出した。心臓の鼓動は激しくなり、呼吸も荒くなっていく。

ーーそろそろ出よう。

 僕は立ち上がり、サウナ室を出た。水風呂は無いため、冷水のシャワーを頭からかぶって火照った身体を鎮め、そのままお風呂の浴槽の隅に腰をかけて、足湯状態で壁にもたれかかった。

ーー僕はこれで十分だな。

 サウナ愛好家の中には、「サウナは水風呂のためにある」と考えている人も少なくない。つまり、それほど水風呂の存在は重要なのだ。
 だが、僕は個人的に「水風呂が無いなら、無いなりの楽しみ方をすればいい」と、施設の個性をありのまま受け入れるようにしている。これが僕にとってのサウナなのだ。僕にとっては「サウナの正しい入り方」なんてマニュアルは存在しないのである。

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 その後も2セットほどいただいた僕は、部屋に戻ってスーパーで購入しておいた福井グルメをいただいてから、翌日のアポイントに備えて仕事に取り掛かった。そして後日、経費精算の申請を行うと、ホテルまでのタクシー料金はクライアントが負担をしてくれることになった。

(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
https://www.youtube.com/c/boccitokyo

①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます