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それでも前に進むしかない【カプセルホテル&サウナ サンフラワー@巣鴨駅】

 1月7日(木)に、僕は黄金湯に寄ってから、ある手続きを兼ねて数ヶ月ぶりに一泊だけ帰省をすることにした。大学入学を機に上京し、そのまま都内で就職した僕にとって、大好きな母と直接会うことができる数少ない機会だ。
久々に会った母は元気そうではあったが、前回帰省した時よりも顔のシミやシワが増えている。明らかに老化が進んでいた。

ーーこの母親と、いったいあと何回会うことができるのだろうか……。

 社会に出てから、僕は帰省するたびにそんなことを考えるようになっていたと同時に、母と一緒にいることができる残された時間を大切にするようになったのだった。

 その夜のこと。夕食後に母が淹れてくれた熱い緑茶を啜りながら会話をしている時に、ふと気付いたことがある。それは、僕が15年以上前に修学旅行で買ってきた京都土産の湯呑み茶碗を、母が今でも大切に使ってくれていたことだ。母はそのことを何も気に留めていないだろうけれど、僕は涙をこらえながら、母とわずかばかりの団欒を楽しんだ。

 その翌日、僕は都内の自宅に戻る途中で、せっかくなのであればと思い、普段は行かないエリアでサウナをいただこうと考えた。そこで選んだのが、巣鴨にある「カプセルホテル&サウナ サンフラワー」である。Webサイトを見たところ、駅から徒歩30秒の場所にあるそうだ。それであれば事前に詳しい位置を把握する必要はなさそうである。

 巣鴨に到着したのは16時頃のこと。改札を通り抜け、まずはいつも通り駅の撮影を始めた。

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「ん……?」

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「えっ……?」

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「あるじゃん!www」

 巣鴨には今まで何度か来たことはあって、実は引っ越しを検討して街を散策したこともあったのだけれども、まさかこんなに近くにあるとは思わなかった。本当に徒歩30秒だ。

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 雑居ビルのエレベーターに乗り込み、受付がある5階で降りると、「サンフラワー」と味のあるロゴが描かれた自動ドアが目の前にあった。

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 さっそく中に入ると、すぐ脇に下駄箱が並んでいる。「37(サウナ)」が空いているとついつい使用してしまうあたりに、まだまだ自分の尻の青さを感じてしまう。

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 受付で「サウナ90分コース(税込1,100円)」を利用したい旨を伝えると、ロッカーキーを渡された。どうやらタオルセットはロッカーの中に予め用意されているようだ。

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/price/ )

 ロッカールームは手入れが行き届いていて、全体的に清潔感があった。指定されたロッカーを開けるとタオルセットの他に館内着が入っていたのだけれど、90分コースの僕にそれを着る機会は無さそうだ。

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/sauna/ )

 僕は脱いだ服をロッカーにしまい、タオルを持ってすぐ隣にある浴室の扉を開けた。

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/sauna/ )

「うおぉ〜〜〜、広い!」

 ロッカールームでも思ったのだが、2018年3月にリニューアルオープンされただけあって、浴場もかなり清潔感があった。
 まずは身を清めて、ジェットバスにて体を温めながら周りを見回していると、やはり巣鴨という土地柄か若いお客さんは見当たらず、全体的に年齢層が高めだった。そもそも全く混雑しておらず、快適に過ごすことができそうだ。

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/sauna/ )

「では、行きますか」

 体を程よく温められたところで、タオルでさっと体を拭いてから、いよいよサウナ室の中へと入った。
 2段構成のサウナ室の中は比較的明るく、「ここでアウフグースをしてくれ」と言わんばかりの広めの設計。感染対策のために隣同士の間を空ける必要があったが、それでも10人程度がゆとりを持って座ることができた。
 僕は空いている上段に腰をかけて、音声が流れるテレビをぼんやり眺めながら蒸されることにした。温度計を見るとタイミングによって100〜110℃と振れ幅があるものの、なかなかの高温が維持されている。ただ、それよりも気になることがあった。

「カラッカラだな……」

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/ )

 サウナ室内は本当にカラカラで、呼吸をするたびに鼻の粘膜や喉から水分が失われていくことが分かるほど湿度が低かった。なにより、汗のかき方が全然違う。もしかしたら新小岩のレインボーよりもカラカラかもしれない。
 今までに伺ったサウナの場合は、しばらくすると皮膚表面の汗の粒が大きくなっていき、数分でその重さに耐えられなくなった汗が下に垂れていったけれど、サンフラワーは違う。そもそも汗の粒が大きくならないのだ。おそらく、かいた汗が皮膚に留まることなくすぐに蒸発してしまうのだろう。そのくらい乾燥していた。
 不思議といつもより少しだけ長く蒸されることができたのは、そのせいかもしれない。気化熱によって体温の上昇がゆるやかになっていたのではないだろうか。

「なるほど、これはおもしろい発見だ」

 そのままじっと蒸されていると、ついに発汗量が蒸発速度を上回ったようで、全身にびっしりと汗がまとわりつくようになった。サウナの奥深さを再確認できたところで、僕はサウナ室を出ることにした。

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/sauna/ )

 水風呂は、サウナ室を出てすぐ右側にあった。頭から汗を流して、さっそく中に入ってみる。

「おっ、これは落ち着く冷たさだ」

 温度は19℃。キンキンに冷たい水風呂で急速冷却するのも良いけれど、20℃前後のやや冷たいくらいの水風呂をゆっくりと味わうのも良い。広さも深さも十分だ。
 僕はそのまま1分ほど体を落ち着かせてから、浴場内に設置された ”ととのい椅子” に腰をかけた。

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/sauna/ )

「なにこれ、すげーホッとする……」

 この時点で僕はわかっていた。サンフラワーの今日のセッティングでガンギマリすることは無いだろうと。でも、ととのう必要なんて無いのだ。「気持ち良い」「ほっとする」「すっきりする」、サウナはこれで良いのである。

 その場の心地よさに身を委ねて、僕は全身の力を抜き、後ろの壁に頭をもたれかけさせた。その時だった。

「えっ、えっ、なにこれ……めっちゃ気持ちいいじゃん」

 そう、”ととのい椅子” の後ろにはスチームサウナ室を囲むガラス窓があり、これが適度に後頭部や肩甲骨あたりをじんわりと温めてくれたのだ。この椅子の配置は偶然なのだろうか? もしくは意図的なのだろうか? いずれにせよ、今までに体験したことが無いような極上のリラックスタイムを味わうことができたのだった。

 あまりの気持ちよさに時間を忘れそうになったが、ここで満足するのはまだ早い。僕は気持ちを切り替えて、そのスチームサウナの中に入ってみることにした。ドアを開けて、すぐ近くに用意されていたサウナマットを1枚手に取り、突き当たりのベンチに座ってみる。

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(サンフラワー公式サイト: https://www.sunflower-capsule.com/sauna/ )

 さすがに月光泉で体験した地獄のようなサウナほどでは無かったものの、室内は常に大量の蒸気で満たされているので、温度自体は45℃と低めではあるけれど、しっかりと蒸されることができた。
 僕はサウナ室内に設置されたシャワーでベンチとサウナマットをすすぎ、再び水風呂からの "ととのい椅子" へ。先ほどのガラスの熱がじんわりと僕の肩周りや頭のツボを温めてくれるのだが、満天の湯の「うたた寝湯」極楽湯の「座り湯」相模健康センターの「温灸」とは似て非なる独特の気持ちよさを感じることができた。

 その場所からぼーっと周囲を眺めていると、どうやら時間が経つにつれて少しずつお客さんが増えてきたようだった。若い人もぽつぽつと見え始めたが、とはいえ、やはり全体的に高齢のお客さんの比率が高い。
 この光景を見ながら、僕は昨晩のことを思い出していた。僕の母も、そのうち「高齢者」と呼ばれる世代として認識されるようになって、そして人生を全うするのだろう。

 大人になった今でも、僕は僕の母親の子どもであることを誇りに思う。そんな母親とも、もう会うことができる回数は限られているのだ。文句を言いながらも面倒を見てくれることだって、僕に無償の愛を注いでくれることだって、あの湯呑み茶碗で熱いお茶を飲んでくれることだって、永遠には続かない。

ーーそれでも、僕は前に進むしかないんだ。時間は誰にでも平等に与えられた不可逆的なものなんだ。いくら考えたって、受け入れなければならない事実はある。僕は僕の人生を全うするしかないんだ。

「よしっ」

 僕は立ち上がり、気持ちを切り替えて最後までサウナを堪能させてもらってから、都内の自宅に向かったのであった。

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(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
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①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます