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最期に食べたい料理【ゆ家 和ごころ 吉の湯@杉並区】(1/2)

 人間の三大欲求は「食欲」「性欲」「睡眠欲」だが、僕がそれらの重要度合いを比較するなら、食欲が7、性欲が1、睡眠欲が2になる。つまり、食に対する意識がダントツで高いのだ。
 美味しい料理は喜びを与えてくれるし、楽しい食事は生活に潤いを与えてくれる。体にいいものを適切に取り入れれば健康にもなれる。これほど手軽に幸せを与えてくれる存在はなかなか無い。

 僕がそれを特に実感したのは、食生活を変えただけで体の変化に気づいた時のことだ。以前の僕は、カップラーメンやコンビニのおにぎり、そしてスナック菓子などの添加物が多く含まれている食品を摂ることが日常的だったのだが、あることをきっかけにそれらの食品をなるべく避けるようになった。たとえばパンを食べたくなったらスーパーやコンビニなどで手に入る菓子パンや惣菜パンではなくわざわざパン屋に行くようにしたり、ラーメンが食べたくなったらインスタント麺やカップラーメンではなくわざわざラーメン屋に行くようにしたりと食生活に気を遣うようになったのだが、それ以来、肌トラブルにほとんど悩まなくなったのである。
 以前は当たり前のようにできていたニキビも数ヶ月に一度程度の頻度に落ち着いたし、乾燥しやすくカサカサになりがちだった頬は適度に潤いが保たれるようになったし、夕方になると分泌される過度な皮脂にも悩まなくなった。なお、僕はこの変化に気づくまでに食事以外の生活習慣はなにも変えていない。
 このような経験によって僕の食事への感度はより鋭くなり、食品を購入する時には成分表や原材料を確認する癖が身についたし、カップラーメンやインスタント麺は3年半以上食べた記憶がない。ただ空腹を満たすだけの食事は一切やめて、「体に悪いものを食べるくらいなら何も食べないほうがいい」という価値観も形成されていった。

 しかし、以前にある質問をされて困ったことがあった。それは「死ぬ前に食べたいものはなにか?」と聞かれた時のことだ。僕はしばらく考え込んでしまったのだけれど、そこで出た結論は「なんでも良い」だった。何を食べるかよりも、”誰とどこで食べるか” のほうが大切だと考えたためだ。
 食事の満足度を構成するものは「料理」だけではない。食事の満足度には、実はさまざまな要素が関わっているのである。それは、たとえば「誰が作ったのか」であったり「どのような場所なのか」であったり「どのように盛り付けられたか」であったり、その他にもBGMや照明などの雰囲気、そして自分自身がどのくらい空腹なのか、メンタルは安定しているかといったことまで影響を与えてくる。

 では僕が食事において最も大切だと判断したのは何かというと、それは「誰とどのように時間を共有するか」だった。極端な話、大切な相手とであれば、最期の食事は数十円の駄菓子でも満足して死ぬことができるという結論に至ったのである。どれほど高級な料理であっても、どれほどロケーションが素晴らしかったとしても、結局のところは誰とその時間を共有するのかで食事の印象が良くも悪くもなってしまうことが容易に想像できたのだ。これはおそらく、僕が食事に限らず、誰と時間を過ごすかにプライオリティを置いているせいかもしれない。
 仕事だってそうだ。僕の仕事のモチベーションは「なにをするか」ではなく「誰とするか」で大きく変化する。それによっては、もともと苦手だと思っていた仕事を楽しめるようになったり、逆に好きだった仕事を嫌いになってしまったりすることも実際にあったのである。だからこそ、会社員としての働き方よりもフリーランスになって自由に仕事の相手を選べる今の状態のほうが自分には向いているのだと思う。

 そんなフリーランスとしての仕事の一つを、今日も任されていた。向かった先は浜田山駅。目的は、数々の失敗を経て、時には数億円の負債を抱えるも、最終的には自身の会社経営が軌道に乗り、数十億円の資産を築いてビジネスの現場から退いた資産家と会うことである。
 11月11日(木)の天気は晴れで、外出には適した気候だった。昼過ぎにその資産家と合流した僕は、そこで多くの知見を得たのだが、特に印象に残ったのは「経営にはヒト、モノ、カネの3つの要素が絡んでくるけれど、最も重要なのは結局のところヒトだった」という話だ。その理由についても多くを語ってくれたけれど、どれも自身の経験がもとになっているために説得力があった。

 無事に用事を済ませられたところで、時間を確認すると15時を少しまわった頃だった。僕は次の目的地を目指して、そこから歩き始めた。

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ーー後編に続く

(written by ナオト:@bocci_naoto)

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