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ゆとりの攻防戦【天然温泉 豊穣の湯 ドーミーイン池袋@池袋駅】(2/2)

 自宅から池袋駅までは30分ちょっとかかった。このさまざまな文化が入り混じる繁華街には、緊急事態宣言のことなどすっかりと忘れてしまったほど人で溢れていた。

 その人々をかき分けながら「このまま経済が回復してくれれば良いのに」なんてことを考えつつ歩いていると、10分ほどで今回の目的地に到着した。

「できたてほやほやだな〜」

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 そう、今回訪れたのはドーミーイン池袋である。ドーミーインといえば、僕の連続サウナ小説でも取り上げたドーミーイン上野・御徒町ドーミーイン川崎、そしてnoteでは取り上げていないものの足を運んだドーミーイン東京八丁堀に続いて、今回で4店舗目の宿泊利用になる。それだけ他の系列店に伺っていれば、初めて利用する池袋店についても勝手がわかっているためチェックインもスムーズだった。

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 今までに伺った他の店舗との違いは、1階に無料のコーヒーマシーンが設置されている点だろうか。僕はありがたくコーヒーをいただき、それを片手に部屋に向かった。

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 部屋に到着後、僕はすぐに館内着に着替えて15階の浴場フロアに移動した。このフロアには浴場だけではなく、漫画がずらりと並んだライブラリースペースも設置されている。

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 ちなみに、この漫画は部屋に持ち込むことも可能だ。この手厚いサービスがドーミーインの魅力でもある。

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「では、行きますか」

 ざっくりと館内の設備を確認できたところで、僕は浴場へと向かった。部屋で使用しているカードキーをかざして脱衣所のドアを開け、そこで準備を済ませて、いよいよ浴室へと足を踏み入れた。

「ほぉ〜、コンパクトだけど快適に過ごせそうだ」

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(公式サイト: https://www.hotespa.net/hotels/ikebukuro/spa/ )

 お風呂は内湯が1つと水風呂が1つ、そして露天風呂がある。そして池袋は「オタクの聖地」と言われているだけあって、館内のいたるところにオタク心をくすぐる工夫がなされているのだけれど、この浴場にはオルゴールバージョンのアニメソングがゆったりと流れている。僕はその心地よい音楽に耳を傾けながら、まず身を清めて内湯に浸かった。

「お〜、これですよ、この黒湯ですよ」

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(公式サイト: https://www.hotespa.net/hotels/ikebukuro/spa/ )

 そう、ドーミーイン池袋では黒湯に入ることができるのだ。源泉を汲み上げているわけではないためか、透明度は高めではあるけれど、こんな繁華街で黒湯に浸かることができるのは貴重である。
 程よく体を温められたところで、次に露天風呂の様子を確認すべく立ち上がって歩き始めると、その途中にポカリスエットが用意されていた。これは僕のドーミーイン史上初のサービスだ。

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(公式サイト: https://www.hotespa.net/hotels/ikebukuro/spa/ )

 露天スペースは必要最小限の造りで、お風呂が1つと ”ととのい椅子” が3脚用意されていた。15階からの眺めを楽しみにしていたのだけれど、やはりビル群に囲まれているだけあって、セキュリティの関係か、ここから外の景色を見ることはできないようになっている。
 ただ、吹き抜けの天井部分からそそぐ風はとても心地よく、さらにサーキュレーターによって安定した量の風も加わることで、極上の快感を得ることができたのだった。

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(公式サイト: https://www.hotespa.net/hotels/ikebukuro/spa/ )

「さて、それではいただきますか」

 僕は内湯スペースに戻り、全身の水分をタオルで拭いてから、いよいよサウナ室の扉を開けた。

「お〜、しっかり熱い!」

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(公式サイト: https://www.hotespa.net/hotels/ikebukuro/spa/ )

 サウナ室の中は2段構成で、物理的には詰めれば5人が横並びに座れるほどの広さがあり、その温度は95℃まで熱せられている。僕は空いている上段に腰をかけて、正面に設置されているテレビの音に耳を傾けながら蒸されていると、数分で全身からは滝汗が流れ出し、いつの間にか心臓の鼓動も激しくなっていた。

「そろそろ出よう……」

 僕は立ち上がり、サウナ室を出て全身の汗を流してから、サウナ室の隣にある水風呂に肩まで浸かった。

「うおおおぉぉぉおおお!!! これはキンキンに冷たいやつ!!」

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(公式サイト: https://www.hotespa.net/hotels/ikebukuro/spa/ )

 水温計は15℃を表示していたものの、体感ではさらに低く、悲鳴をあげてしまうほど刺激的な強さだった。思わず顔がこわばり、火照った身体は即座に鎮められ、心臓の鼓動はゆるやかになって、呼吸は徐々に落ち着きを取り戻していった。

「30秒が限界だ……」

 僕は体が震え始めたところで水風呂から立ち上がり、おぼつかない足取りで露天スペースに再び移動して、 ”ととのい椅子” に腰をかけた。そして大きく深呼吸。

「はぁ〜……。これは気持ち良すぎるぞ……」

 この日の気候は、サウナのために調節されているのではないかと思ってしまったほど外気浴に適していた。春から夏に移ろう途中の生暖かく優しい風が、僕の身体を包み込んで癒してくれる。僕はそのあまりの気持ちよさに、恍惚とした表情を浮かべてしまっていた。

ーーそれにしても、初めて訪れた店舗なのに、どうしてこれほどまでにリラックスできてしまうのだろう……。

 僕の意識はぼんやりとしながらも、その空っぽになりかけている頭の中で今回のサウナを振り返っていたのだが、やはり答えは一つしか考えられなかった。

「僕は、ドーミーインに慣れているのだ」

 池袋店は初めて利用しているはずなのに、これだけサウナに集中してリラックスできてしまうのは、きっとドーミーインにおける立ち居振る舞い方を別店舗で会得していたためだろう。つまり、今までの経験が僕の心に余裕を持たせてくれているのだ。
 これはきっとドーミーイン以外にも言えることだ。僕は口頭でのコミュニケーションが苦手で、新卒で入社した会社で営業部に配属された時はテレアポの電話を掛け続ける日々にストレスを感じ続けていたのだが、量をこなしていくうちに仕事に慣れて結果を出せるようになり、成功するイメージを徐々に持てるようになってからは、自らの意志で新規営業の電話を積極的にかけるようになっていた。

ーー結局のところ、心のゆとりとは過去の経験からしか得られないのかもしれないな……。

 僕は最近ストレスを避けるために殻に閉じこもる ”守りの人生” を送るようになってしまっていたけれど、むしろ次々と新しいことにチャレンジする ”攻めの人生” を過ごしたほうが結果的に心にゆとりを生み出すことができるかもしれないなんて、今まで考えたことがなかった。一見矛盾しているようだが、おそらくこれは人間の真理なのだろう。

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 結局、僕はそのあとに追加で2セットを堪能してから浴場を後にして、手慣れた様子で無料サービスのアイスやアルコール、そしてドーミーイン名物の「夜鳴きそば」をいただいてから、再び浴場に向かった。

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 時刻は0時をまわったところだ。外の気温は少し下がり、体に触れる風はひんやりとしていて、僕は外気浴をしながら昼間とは違った気持ちよさを味わっていた。

ーーそういえば「攻撃は最大の防御なり」っていう昔の言葉があったな。やはり過去から得られるものはたくさんあるのかもしれないし、どれだけの経験を積み重ねることができたかによって、心に生まれるゆとりの大きさも変わってくるのだろう。

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 それから数日後、僕のもとに取引先の代表から直接連絡が入った。話を聞くと、「新しく立ち上げる予定のプロジェクトのリーダーになってくれないか?」という相談だった。それを受けて、僕は二つ返事でこう答えた。

「僕でよければ、ぜひ」

(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
https://www.youtube.com/channel/UCOXI5aYTX7BiSlTt3Z9Y0aQ


①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます