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不協和音な生存戦略【天然温泉 花鳥風月@埼玉県】(1/2)

 僕は争い事が嫌いだ。できることなら誰とも争うことなく生きていきたいと思っている。お互いの意見が常に一致し、誰かが提案したことに対して他の誰かも賛同するようなコミュニケーションだけで社会が成り立つのであれば、それはどれほど調和の取れた心地のいい世界なのだろうかと想像することも多い。
 ただ、そのような時に思い出すフレーズがある。それは僕が何度も読み返している本の中で記されていた。

「ふたりの人間がいて、いつも意見が一致するなら、そのうちのひとりはいなくてもいい人間だ」

ーー『人を動かすP164(D・カーネギー)

 これは一見すると後ろ向きのようで、よく考えるととても前向きな考え方である。たしかに、同じ意見ばかりが集まったところで新たな意見はうまれない。しかし、もしもAとBの2つの意見がある場合、そこには「A」という意見と「B」という意見、さらに「A」と「B」を組み合わせた別の「C」という意見がうまれる可能性がある。

 これは高校生の頃に「生物」で勉強した遺伝の話と似ている。人間の血液型は、基本的に「A」「B」「O」の3つが組み合わさって決まっている。両親からその3つのうち一つずつが遺伝で受け継がれ、「A×A」もしくは「A×O」の組み合わせの場合はA型になり、「B×B」もしくは「B×O」の場合はB型に、そして「A×B」の場合はAB型になり、「O×O」の場合はO型になるそうだ。AB型の人口比率が少ないのはそのためである。
 なぜ複数の血液型が存在するのかというと、それは人類の絶滅を防ぐためであると言われている。血液と免疫機能には密接な関係があり、ある特定の病気に対して強い血液型もあれば弱い血液型もある可能性を考えると、複数の血液型が存在することで理論上は人類は生存し続けられるのだ。均一化は目先の利益を享受できるかもしれないものの、大局的に見れば非常にリスクの高い状態なのである。

 そこから発想を広げてみると、音楽にも同じことが言えるような気がしている。僕が好きな作曲家は意図的に不協和音を用いることが多いのだが、「なぜここで耳障りな音を使うのだろう」と不思議に思ってしまう反面、それによってその曲全体が強烈に印象に残ってしまうことも事実だ。不協和音は、部分的に見ればマイナスなようで、全体を見るとプラスに働いていたのである。
 僕はサウナに向かうバスの中で、その大好きな作曲家の音楽をヘッドフォンで聴きながら、そんなことを考えていた。2月5日(土)の埼玉の空は運良く晴れていて、バスの窓からは遠くまで景色を見渡すことができた。

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ーー後編に続く

(written by ナオト:@bocci_naoto)

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