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こどもといっしょにどこいこう【森の湯@姫路駅】(1/2)

 日本人でも、「スティーブ・ジョブズ」というアメリカ人の名前を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。Apple社の創業者であり、そしてiPhoneの生みの親であり、現在はディズニー傘下となっているピクサー社の一時代を築いた経営者でもあった彼は世界を大きく変えた。
 彼が経営者として特徴的だったのは、徹底的なデザインファーストだ。自分の感性を信じ、機能ありきのデザインではなくデザインありきの機能を追求したプロダクトを数多く世に送り出したことで成功を掴んだ彼は、2011年に56歳の若さでこの世を去った。
 だが、彼の死後もその意思は受け継がれ、Appleは2022年1月時点で時価総額が3兆円を超えるほどの企業へと成長した。これはその当時のレートで換算すると日本円にして約340兆円で、この額は東証1部に上場する企業全体の時価総額の半分に迫る勢いだそうだ。
 人間が論理ではなく感情で動く生き物であることを理解していた彼は、人の心を動かす言葉の魔術師でもあった。特に有名な話が、母校であるスタンフォード大学の卒業式で行われたスピーチの中で登場する "Stay hungry, stay foolish." というフレーズだろう。この一文で締めくくられた15分間のスピーチは、のちに「伝説」として語り継がれることとなった。

 そんな彼が残した言葉の中で僕が最も惹きつけられたのが、次の一文である。

“Do you want to sell sugar water for the rest of your life, or do you want to come with me and change the world?”

 直訳すると「あなたは一生砂糖水を売りたいですか? それとも私と一緒に世界を変えたいですか?」という意味なのだけれど、これは当時ペプシコーラの社長を勤めていたマーケティングの天才、ジョン・スカリーを口説いてAppleに引き抜いた時の決め手となった言葉だ。余談だが、ジョンはその後Appleの創業者であり、自身をAppleに招いたスティーブ・ジョブズを解雇したことでも知られている。

 このように、言葉によって人生を変えられた経験がある人は多いのではないかと思う。実は僕もその一人だ。それは幼い頃に見たHONDA「ステップワゴン」のテレビCMで登場するキャッチコピー「こどもといっしょにどこいこう」なのだが、僕はそのCMを何度も見るうちに、母親に「こういう言葉を考える仕事をするにはどうすればいいか?」と質問をしたほどコピーライティングの世界に興味を持ち始めていたのだった。
 結果的に、今の僕はコピーライターという肩書きで生きることはできていないにしても、それに近い領域の仕事に就くことができている。「こどもといっしょにどこいこう」というメッセージが僕の人生を直接変えたわけではないけれど、あの短いフレーズが言葉の魅力や可能性を僕に教えてくれたことは事実だ。

「さて、僕はどこにいこうか」

 姫路での仕事を終えた僕は、すぐに東京には戻らず、サウナを目指して歩き始めた。

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ーー後編に続く

(written by ナオト:@bocci_naoto)

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