びわまめ

2020年11月から能を習い始めました。海外在住。

びわまめ

2020年11月から能を習い始めました。海外在住。

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はじめまして

小さいころ家に飾ってあった能面を 怖いからと祖母に隠してもらったのは随分と昔のことだ。 鬼のような面と女性の面が隣同士で壁にかけてあったが どこに行っても見られているような気がして 角度によって 笑っているようだったり 泣いているようだったり 当時の自分にとってはホラーでしかなかった。 隠してくれと泣きながら何度もお願いし、 最終的に祖母が根負けして別の部屋に移してくれた。 そういうわけで、能面=ホラー でしかなかった私だったが 2020年11月から能を習うことになった

    • 発表会に出ることにした

      今年のディズニーランド行き(日本での対面お稽古のこと)は、いつもに増して刺激的だった。 お稽古の前後にご挨拶させて頂いた先輩お弟子さん方のかっこいいことといったら。 皆さま発表会に向けての準備で大変お忙しそうだったのを思い出す。 発表会。 海外に住んでいる私には遠い世界の話に聞こえる。 最近までそう思っていた。 数日前に誰もがびっくりするぐらい鮮やかに旅立っていった人生の大先輩が 夏のお酒の席でこんなことを言った。 「あんた、やりたいことは

      • 『近代能楽集』の『班女』と置いてけぼりの私

        日本帰省中、三島由紀夫の『近代能楽集』を買った。 『邯鄲』、『綾の鼓』、『卒塔婆小町』、『葵上』、『班女』、『道成寺』、『熊野』、『弱法師』の8つがおさめられている。 前から読んでみたいなあと思いながら、この中に出てくる曲の謡か仕舞をせめてひとつでも習ってからにしようと待っていた。 ■ その後、あと数カ月でお稽古を始めて3年になろうかというこの夏、この本をようやく手にした。『班女』と『熊野』の謡と仕舞を習ったからだ。 「習った」といっても、私の場合それは「謡は節通

        • 少しずつ、少しずつ!

          ずいぶん長い間書いていなかったようだ。 能のお稽古を続けている。 今年も日本に帰省したときに対面稽古に通った。こちらに戻ってきて間もないが、早くも日本が恋しい。 日本では、たくさんのお舞台を観に行くことができた。 海外にいる私にとってはそのひとつひとつが貴重な体験で、ありがたいことだなと思う。お稽古で習った『難波』や『巻絹』のお仕舞を観ることができたこともとても嬉しかった。 ★ お稽古はというと、厚い壁の前に立っている気がする。 先生は「びわまめさんにも、ようやくス

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        はじめまして

          台詞

          謡のお稽古では、『班女』を習っている。 私のは、 ・花子さんが花子さんにみえない ・無味乾燥 なんだそうだ。 台詞と節がついているところの違いが自分でもわかっていないからだろう。 少年少女合唱団のままである。全部謡ってしまっている。 節まわしよりも、台詞こそ難しいのだそうだ。 私などはどっちもできないが、特に台詞のところはわからないままやっている。 さて、どうしたものかなと思いながら、昔の方々の映像を見ている。 もぐもぐと、何かを食べながら

          「新しい」の定義とは

          アーモンドの花が咲いた。 春がもうそこまでやってきている。 お稽古中、節を追うのに必死で深草の少将と小野小町のどちらにもなれなかった『通小町』は、先生の「表面的にはまあできていたのでいいでしょう」のお言葉とともに仮合格となった。深草の少将の百夜通いと執心は大変せつなかった。 次は全然違うものをいうことで、『田村』に入ることになった。 ところで、私が持っている謡本は、以前謡を習っていらっしゃった方々から譲り受けたものである。最近気づいたのだが、表紙にはその方々のハンコが押し

          「新しい」の定義とは

          いいことづくし

          昨日のお稽古の後、ピンポンとチャイムが鳴った。 日本からだと郵便局のお兄さんは言った。 よくぞここまで無事に届いてくれましたねと思いながら、何が届いたのか見当もつかない私はゆっくりと包みを開けてみる。すると、目の前に現れたのは、クリスマスカードとお能のカレンダーだった。 あまりにびっくりすると声が出ない。 数十秒間それらを無言で眺めたのち、ようやく状況を理解し、じわじわと感動と嬉しさがこみあげてきた。それからは、カードとカレンダーを両手で掲げわあわあ叫びながら家中を駆け

          いいことづくし

          扇を大事に

          友人のご主人は、学生時代にお能のサークルに入っていたようだ。 私が仕舞で『屋島』を習っていると言ったら、友人経由で「うしおにうつるは~」とメッセージが送られてきた。びっくりしつつも「かぶとの~~ほしのかげ~~~」と返信したら、ご主人は大変嬉しそうにしておられたとのことだった。なんと、能を習っているとこんな面白いやりとりが発生するのかと思った日。 謡のお稽古では、私が「とおりこまち」と言った『通小町』(かよいこまち)が後シテの部分に入った。 小野小町と深草少将のやりとりが繰り

          扇を大事に

          1年

          今日はケーキで乾杯をした。 能のお稽古を始めて1年が経ったからだ! 去年の今日をどきどきしながら迎え、何が何だかわからないうちに初めてのお稽古が終わったのを思い出した。 あれから1年。 謡は『通小町』が始まり、仕舞は『屋島』に苦戦している。 このあいだは「あの、とおりこまちなんですが」と「かよいこまち」を 「とおりこまち」と言ってしまい、その直後に先生のまゆげがぴくっと動いたのを見逃さなかった私である。 相変わらずあまり成長はみられないが、いろんな方に見守られながら

          どこでもドアの先

          諸般の事情でしばらく日本にいた。 実家の蔵を探検していたら、こんなものが出てきた。 箱に入っていたそれは、まさかのまさか。 『小鍛治』の小狐丸だった。 どうしてこんなものが家においてあるのかわからず興奮して父に確認すると、祖母がどこかで買ったか誰かに頂いたものだろうという。お蔵の中で眠っていた小狐丸に出会えた嬉しさと、ついこないだまで習っていた謡の『小鍛冶』ではないか! という驚き、そして20年ぶりの祖母との邂逅に思わず「おばあちゃーん!!」と声が出た。 ありがたいこ

          どこでもドアの先

          ピッチャーは最後に手首を返す、そしてエアコンは切る

          仕舞は、続『吉野天人』である。 サシがどうも決まらない。前回のお稽古ではこればかり練習をした。 先生方がなさるのを見ると扇がうねって見えるのだけれど、私がやると魔法がかからない。 野球のピッチャーのように。 ボールを離すのは最後です! と先生がおっしゃる。 つまり手首を返すのが早いとおっしゃるのだが、子どもの頃にやった草野球ではバッターと盗塁専門だったので、ピッチャーとボールの関係というのがよくわからない。でも、そんなことを言っていても仕方がないので、ひたすらイメージトレ

          ピッチャーは最後に手首を返す、そしてエアコンは切る

          正座がつらくなったなら

          「お稽古の間ずっと正座をなさっていますか」 ある時、お稽古の終わりに先生がお尋ねになった。 私がいつもお稽古の後にしばらくは立ち上がれないでいることを先生はご存じないはずだが。 苦笑いを浮かべながら「はい」と言うと、座椅子を使うか座布団やバスタオルをまるめてお尻と足の間に挟むという手もありますよと笑っておっしゃった。それに、慣れないことをして膝にきたら大変だから、無理せず足を崩してもよいとのことだった。 今住んでいる町で座椅子が手に入るかわからないが、バーベキュー用の折

          正座がつらくなったなら

          そんなに甘くない

          先日ワクチン接種に行った。 利き腕と逆にしたほうがいいと思い、左腕にお願いした。 翌日と翌々日は面白いぐらいに腕が上がらず、仕舞の練習ができなかった。 プリンを食べながら、『吉野天人』で「豪快な天人さん」と言われる私のカマエも今やれば少しはかわいらしくなるだろうかとぼんやり考えた。 でも、そううまくはいかないもので、今日久しぶりに練習したら、鏡の前には前と変わらずやたら元気な侍がいた。 そして、お稽古では例の『小鍛冶』の最後のパートを見ていただいた。何とか最後までたど

          そんなに甘くない

          30:58のことを思い出したから

          あせもはひいた。 虫さされ用クリームよ、ありがとう。 明日の謡のお稽古では『小鍛冶』の最後のパートを練習することになっている。 合格すれば、最初から通してみましょうと言われるのではないかとびくびくしている。 正座のつらさもあるが、4回に分けて学んできた『小鍛冶』のお話、もう最初の部分を忘れている可能性が非常に高いというこわさもある。どちらがつらい、いやこわいだろうか。 そんなわけで「これハ一條の院に仕へ奉る橘ノ道成にて候」からやり始めたら、そういえばそんな節だったなと懐か

          30:58のことを思い出したから

          夏の正座

          お稽古のときには正座をする。 最初は数分たったら足がしびれてきて大変だったが、少しずつ慣れてきた。 しかし、この間。 数時間正座をしたら、太ももと膝の裏にあせもができた。 その日は赤くなっていただけだったが、翌日からかゆくてたまらなくなってしまった。これを書いている今もとってもかゆい。 薬局に行って、「足がかゆいんです」と言ったらいろいろ出してくれた。よくわからず、アトピー性皮膚炎用のクリームと虫さされ用のクリームを買ってきた。 どちらも試してみたが、虫さされ用クリーム

          夏の正座

          少しはかわいくなりたいこの頃

          仕舞では『吉野天人』を習っている。 一回目のお稽古では、宿題として最初から最後まで動きを覚えてこなければならなかった。そうはいっても、天人さんは舞台を端から端まで動き回っていらっしゃるので、私は迷子になりまくりである。 どうしようと悩んだ結果、自分で謡いながら舞ってみることにした。やけくそである。幸い『吉野天人』の謡を習ったばかりだったので、ゆっくりゆっくり謡いながら動きを確認して覚えることにした。 とんでもなく時間がかかったのと、お稽古当日、自分で謡いながら舞ってもい

          少しはかわいくなりたいこの頃