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ピッチャーは最後に手首を返す、そしてエアコンは切る
仕舞は、続『吉野天人』である。
サシがどうも決まらない。前回のお稽古ではこればかり練習をした。
先生方がなさるのを見ると扇がうねって見えるのだけれど、私がやると魔法がかからない。
野球のピッチャーのように。
ボールを離すのは最後です! と先生がおっしゃる。
つまり手首を返すのが早いとおっしゃるのだが、子どもの頃にやった草野球ではバッターと盗塁専門だったので、ピッチャーとボールの関係というのがよくわからない。でも、そんなことを言っていても仕方がないので、ひたすらイメージトレーニングをしている。
先日練習をしているときに、面白いことが起きた。
暑かったのでエアコン(冷房)をつけていたのだが、ちょうど風の向きがサシをしようとする私の腕の動きに対して向かい風のようになった。すると、風の抵抗を受けた扇はうねりをみせた。鏡越しに見たそのときのサシは、見ようによっては魔法がかかっていないこともないかのようであった。私にとっては大きな発見であったため、嬉しさのあまり踊りだしそうになった。
しかし、エアコンを止めたら魔法もとけてしまった。ずるい私は少しの間考えた。もしかしたら、お稽古のときにもエアコンをつけて、得意顔であたかも自分の手首の返しだけで扇がうねっているように見せることもできるかもしれないと。しかし、残念ながら『ちびまる子ちゃん』のまるちゃんのようにはうまいことやれないから一回でばれてしまうだろうなとも。
結局、その日の夜に「そうか、風がなくとも腕や手首に抵抗を感じながらサシをすればいいのだな!」ということに気が付いた。今回も頭と体がつながるのが遅い。
運びにいたっては、天人さんにしては大きすぎるとのお言葉を頂いた。
足袋と足袋の間があかないように練習しよう。
謡の方は、クッションを足とお尻の間に挟んでお稽古に挑んだら、なるほど少し楽だった。
先日は『小鍛冶』を通して謡うという卒業試験があり、一応合格となった。
次回から『半蔀』のお稽古が始まる。
そこでYouTubeの動画を見ていたら、こんな素敵なものがあった。
小鼓のお稽古の映像のようである。
正直何のことやらさっぱりわからない。でも、面白かったので何度か見た。先生は両手に何か持ってリズムをとっていらっしゃるようだが、右手の位置がときどき変わる。台の横にいったかと思えば、台の上に戻ったりする。どうしてだろうと思っていたが、先生が台の右側を叩くと、お子さんも小鼓の端の方を打っていらっしゃるように見え、音も違って聞こえる。右手が台の上のときは、小鼓も真ん中の方を打っていらっしゃるようだ。腕がクロスなのか左手の方にいくときにもリズムが変わっているようでわけもわからないまま夢中になって見た。
何もわからない私はきっと見当違いなことを言っているに違いない。しかし、その何もわからない者が見てもひきこまれる動画であった。
二回目のワクチン接種を終え、ようやく腕が上がるようになってきた。
サシの練習をしよう。
少しずつ魔法がかかりますように。
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