鳥公園

作・演出の西尾佳織が2007年7月に結成。 「正しさ」から外れながらも確かに存在する…

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作・演出の西尾佳織が2007年7月に結成。 「正しさ」から外れながらも確かに存在するものたちに、 少しトボケた角度から、柔らかな光を当てようと試みている。

マガジン

  • 公開相談会 Part2 レポート

    「創造活動を豊かにするためのリソースに関する公開相談会」では、資金、作品、人、組織、コミュニティ、創作メンバーの健康など、有形無形の様々なリソースをどのように生み出し、整え、活用し、そして健全に発展させていけるのか、鳥公園が様々なエリアのエキスパートや実践者に相談してヒントをもらいます。そして、それをオンラインで公開開催することで、同じ悩みを抱えている芸術団体の皆さんと知識を共有します。 こちらでは、鳥公園お盆部のメンバーが執筆した各回の振り返りとレポートを公開しています。

  • おばけ同好会

    三浦と西尾が最終目的を決めずに「幽霊」について考えるプロジェクトで書かれた文章たち。

  • 鳥公園ワークショップ

    2020年7月からおこなわれた鳥公園のワークショップについての記事をまとめています。

  • 鳥公園キックオフミーティング

    鳥公園キックオフミーティングの議事録

最近の記事

公開相談会 Part2 第二回(ゲスト:影山知明氏)レポート - 五藤真(鳥公園お盆部)

演劇はえてして儲からないと言われますが、鳥公園の場合もやはりお金稼ぎから遠いところにいます。社会を志向したり実験的な創作を行う場合には一般的に助成金がよく活用されますが、助成金を歯車の中心に置き続けるサイクルにしんどさを感じて一度離れているターン。しかし、私益より公共に意識が向いていることには変わりない。 さて、活動を続けるため、何か新たな収益の種を見つけ、事業と公共性をともに育てられないだろうか… という悩みを、公開相談会第2回「営利事業から生まれる公共性」で、影山知明(

    • 公開相談会 Part2 第六回(ゲスト:June Tan氏)レポート - 西尾佳織(鳥公園主宰)

       公開相談会Part2の最終回「海外の事例に学ぶ 作品発表をゴールに置かない活動のあり方と団体の運営」は、ゲストにマレーシアのアーツコレクティブFive Arts CenterからJune Tanさんをお招きした。JuneさんはFive Artsではプロデューサーを務めているが、元々は生物学出身で、映像分野の脚本家、アクティビストとしても活動している。  私は2018年にからゆきさんのリサーチでマレーシアへ行った際に、クアラルンプールにあるFive Artsのアトリエで発表さ

      • 公開相談会 Part2 第一回(ゲスト:前原拓也氏)レポート - 西尾佳織(鳥公園主宰)

         第1回の「リソースとしてのレパートリー」では、ドラマトゥルクの前原拓也さん(現在ミュンヘンに留学中!)をゲストにお迎えした。私と一緒に聞き手としてご参加いただいたのは、大阪の劇団コトリ会議所属で、制作者・俳優として活動されている若旦那家康さん。 ■テーマ設定の理由  レパートリーシステムについて知りたいと思った理由は主に二つあった。 ①鳥公園でも、レパートリー作品を持ちたい  そうすれば、どんどん新作をつくり続けて製作費を回収できない状態を是正できるのではないか?(一

        • 公開相談会 Part2 第五回(ゲスト:森崎めぐみ氏・佐藤憲氏・湯淺晶子氏ほか)レポート - 奥田安奈(鳥公園お盆部)

          第5回「創作活動における心身の健康と専門家の活用」では、我々の無知を曝け出しつつ、とても具体的・現実的な相談をさせていただきました。今回の私にとっての最大の学びは、専門家を積極的に活用するとしても、まずは自分たちで主体的に安全や健康について考えることが、結局自分自身の身を守る最善の道だ、ということでした。 後半、佐藤さんが、身体的・物理的安全について、「参加する全員が主体者」という意識を一人一人が持つ必要がある、と語られました。その例として挙げられたのが、いくらスタントの専

        公開相談会 Part2 第二回(ゲスト:影山知明氏)レポート - 五藤真(鳥公園お盆部)

        • 公開相談会 Part2 第六回(ゲスト:June Tan氏)レポート - 西尾佳織(鳥公園主宰)

        • 公開相談会 Part2 第一回(ゲスト:前原拓也氏)レポート - 西尾佳織(鳥公園主宰)

        • 公開相談会 Part2 第五回(ゲスト:森崎めぐみ氏・佐藤憲氏・湯淺晶子氏ほか)レポート - 奥田安奈(鳥公園お盆部)

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        • 公開相談会 Part2 レポート
          6本
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          2本
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        記事

          公開相談会 Part2 第四回(ゲスト:伊藤麻里子氏・今野真理子氏)レポート - 奥田安奈(鳥公園お盆部)

           公開相談会第4回「サポーター・コミュニティの形成とファンドレイジング」も、学びのぎっしり詰まった回でした。  私自身は、日々の仕事の中で日米両方で助成金の申請書を書いたり、クラウドファンディングなどにも携わってきていますが、単にアーツマネジメントのジェネラリストとしての業務の中にそれらが含まれているというだけで、ファンドレイジングを専門としているわけでは全くありません。特に寄付に関しては、自分がイロハを学んだアメリカと日本とではあまりに社会環境が異なるため、日本で個々の小さ

          公開相談会 Part2 第四回(ゲスト:伊藤麻里子氏・今野真理子氏)レポート - 奥田安奈(鳥公園お盆部)

          公開相談会 Part2 第三回(ゲスト:酒井隆史氏)レポート - 鈴木哲生(鳥公園お盆部)

          酒井隆史氏を迎えたこの回では、酒井さんご自身が多くの著作を翻訳したデヴィッド・グレーバーの議論を紹介していただきつつ、ゲスト聞き手の筒井潤さんと一緒にさまざまなトピックについてお話を伺った。グレーバーの人類学的知見の中から、現代の舞台芸術界、そのなかのいち小団体である鳥公園に、直接間接に参考になることはないものか? という気持ちで聞きはじめたが、議論はより広く一般的なスケールまで広がっていったように思う。 鳥公園にとっても、私の個人的な関心からしても、とくに重要な意味を持つだ

          公開相談会 Part2 第三回(ゲスト:酒井隆史氏)レポート - 鈴木哲生(鳥公園お盆部)

          鳥公園#16『ヨブ呼んでるよ -Hey God, Job’s calling you!-』観劇レポート|蜂巣もも

           JR八王子駅から、鳥公園#16『ヨブ呼んでるよ -Hey God, Job's calling you!-』が上演されるいちょうホールまでは何度も歩いたことがあるが、いつもどこか暖かな印象がある。整備され、模様の施されたきれいな路面、その道沿いには余すことなく店舗が並び、所々に花を咲かせた街路樹が街に健康的な色合いを施す。  必要なものはだいたいの物ならすぐに手に入る街。  この道を歩くとほっと安心すると同時に、緩慢で、安心しすぎているのではという疑念が到来する。  夜に

          鳥公園#16『ヨブ呼んでるよ -Hey God, Job’s calling you!-』観劇レポート|蜂巣もも

          おばけ同好会活動記録|全生庵「幽霊画展」(西尾)

           谷中全生庵の「幽霊画展」に行って、幽霊画というものを、初めて意識的に見た。幽霊の描かれた絵は、たぶんこれまでにも何かしら見たことがあったろうと思うのだけど(薄墨で描かれた女性の、掛け軸のイメージ)、ジャンルとしての「幽霊画」について考えながら、こんなにたくさんまとめて見たのは初めてだった。 ■勝文斎の『母子幽霊図』  一枚目に見たのは勝文斎の『母子幽霊図』(※トップの画像。安村敏信監修『日本の幽霊名画集』より)。第一印象は妙、不自然、コミカル、違和感で、何がどうおかしい

          おばけ同好会活動記録|全生庵「幽霊画展」(西尾)

          おばけ同好会活動記録|全生庵で幽霊画を見た!(三浦)

          全生庵 暑い夏の日に、幽霊画を見に行った。 東京は谷中にある「全生庵」というお寺は、所蔵幽霊画の展示を毎年行っている。大学院で論文を書いていた時から、ずっと本物を見なければと思っていたのだけど、ようやく行くことが出来た。  全生庵には江戸時代の落語家 三遊亭円朝や、その後援者 藤浦周吉らによって蒐集された幽霊画が数多く収蔵されている。  三遊亭円朝は『牡丹灯籠』や『真景累ヶ淵』といった名作怪談噺を作った名人落語家だ。江戸時代当時のお客さんは円朝の怪談噺を聞いて夜眠れなくな

          おばけ同好会活動記録|全生庵で幽霊画を見た!(三浦)

          『abさんご』蜂巣ももチーム・ワークインプログレス観劇レポート|和田ながら

          8月28日(日)、都電荒川線に揺られて小台駅で降り、のんびり歩いて、おぐセンターに。蜂巣ももチームの『abさんご』ワークインプログレス上演を観に行った。 鳥公園の『abさんご』2022/蜂巣ももチーム・ワークインプログレス https://bird-park.com/works/ab-sango2022/?pid=hachisu おぐセンターの二階の壁や柱に、プリントアウトされた閻魔様の図像がいくつか貼り付けてあり、俳優はその前で演技する。生前の行いを裁く閻魔様の前で、『

          『abさんご』蜂巣ももチーム・ワークインプログレス観劇レポート|和田ながら

          『abさんご』和田ながらチーム・ワークインプログレス観劇レポート|三浦雨林

           こんにちは、鳥公園アソシエイトアーティストの三浦雨林です。  今回は、黒田夏子作『abさんご』の和田ながらチーム・ワークインプログレスの観劇レポートです。公演概要はこちらからご覧ください。  【鳥公園の『abさんご』2022/研究 「近代的な個の輪郭をほどく演技体――『abさんご』を経由して、劇作論をしたためる――」】についてはこちらをご覧ください。 上演地  「『abさんご』の上演をするぞ!」となった時、どこで上演するのかが目下の問題になると思う。果たして劇場で上演

          『abさんご』和田ながらチーム・ワークインプログレス観劇レポート|三浦雨林

          『abさんご』和田ながらチーム・ワークインプログレス観劇レポート|蜂巣もも

           Social Kitchenは10年ほど前に、一度だけ訪れたことがある。その記憶を思い出しながら、烏丸今出川から小道に入ると、寺や古い民家が並ぶ閑静な雰囲気に包まれた。  Social Kitchenの2階スペースは所々配管や鉄の梁が見える素朴で粗削りな内装で、窓からは木が揺れているのが見える。時代を遡らせ、俗世から隔離されているような感覚だった。時間が古いのか、新しいのかよく分からない。その日天候は崩れがちで、上演中も一時圧倒されるようなどしゃぶりも起こった。それぞれが『

          『abさんご』和田ながらチーム・ワークインプログレス観劇レポート|蜂巣もも

          『昼の街を歩く』観劇レポート|三浦雨林

           こんにちは、鳥公園アソシエイトアーティストの三浦雨林です。  今回は、西尾佳織作、蜂巣もも演出の『昼の街を歩く』観劇レポートです。公演概要はこちらからご覧ください。戯曲はこちらから購入可能です。 縁側  会場はPARAという、普通の民家。小さな門を通ると、すぐに縁側があり、4mほど砂利を歩いて玄関にたどり着く。縁側の外からは2階のベランダと、大きな窓が見えていた。古い小さな木造一軒家で何かが始まるという期待と同時に、劇場とは違った緊張感があった。(上演場所としての)劇場

          『昼の街を歩く』観劇レポート|三浦雨林

          『abさんご』三浦雨林チーム・ワークインプログレス観劇レポート|和田ながら

          5月11日(水)、三浦雨林チームのワークインプログレスを森下スタジオに観に行った。 鳥公園の『abさんご』2022/三浦雨林チーム・ワークインプログレス https://bird-park.com/works/ab-sango2022/?pid=miura 『abさんご』はこのチームにとって「テキストブック」なのだな、という印象が残った。それは、中学校一年生のときの英語の授業が思い出されたからだった。 たとえば、スクリーンにテキストが映し出され、俳優ふたりと三浦が

          『abさんご』三浦雨林チーム・ワークインプログレス観劇レポート|和田ながら

          『2020』オープンスタジオ観劇レポート|蜂巣もも

           滋賀県を訪れたのは、かなり久しぶりだった。  両親が滋賀県の各所に配達する業務に、幼き私は車の助手席に乗ってついてまわった。  地名も、風景もどことなく懐かしく、滋賀県は二番目の故郷のような感覚がある。湖西線で京都駅から各駅停車で揺られ、琵琶湖を望む。  琵琶湖は暑いときは熱を吸い周囲を涼しくさせ、寒いときは夏に溜めた熱を吐き出して暖かくするそうだ、と母から聞いたことがある。酷暑と極寒の京都に住んでいた私はうらやましく思った。  国道が見える。  日本各地にあるチェー

          『2020』オープンスタジオ観劇レポート|蜂巣もも

          『私の知らない、あなたの声』観劇レポート|三浦雨林

          こんにちわ。鳥公園アソシエイトアーティストの三浦雨林です。今回は和田ながら演出『私の知らない、あなたの声』京都版・静岡版の観劇レポートです。上演を見ていない方は、こちら(『私の知らない、あなたの声』戯曲)で台本も販売しておりますのでぜひ。 THEATRE E9 KYOTO 版 (上:観劇日に三浦が撮ったTHEATRE E9 KYOTOの裏の川と月)  この作品はTHEATRE E9 KYOTOでの上演後、ストレンジシード静岡2021での上演と、かなり場所の持っている力が

          『私の知らない、あなたの声』観劇レポート|三浦雨林