公開相談会 Part2 第四回(ゲスト:伊藤麻里子氏・今野真理子氏)レポート - 奥田安奈(鳥公園お盆部)
公開相談会第4回「サポーター・コミュニティの形成とファンドレイジング」も、学びのぎっしり詰まった回でした。
私自身は、日々の仕事の中で日米両方で助成金の申請書を書いたり、クラウドファンディングなどにも携わってきていますが、単にアーツマネジメントのジェネラリストとしての業務の中にそれらが含まれているというだけで、ファンドレイジングを専門としているわけでは全くありません。特に寄付に関しては、自分がイロハを学んだアメリカと日本とではあまりに社会環境が異なるため、日本で個々の小さな創作団体が恒常的に寄付を募るとしたらどのような形になるのか、いまひとつ明確なイメージが思い描けていませんでした。そこが随分とクリアになりましたし、助成金についても考え方の幅を広げることができました。
伊藤さんのお話からの大きな学びの一つが、徹底的な支援者目線になることの重要性です。「私たちはこんなに意義あることをやってるんです、だから支援してください」から「あなたが理想としている社会を実現するためのお手伝いを、私たちがしますよ」へ、メッセージの紡ぎ方を根本的に変えることは、多くのアート団体ができていないと思いますし、私も大いに反省させられました(もっともこれは、ファンドレイジングの専門家を抱えているようなアメリカの団体の多くも、あまりできていない気がしますが……)。もう一つの学びが、個人の方の大口支援をプランに入れることが、小規模団体であっても可能、という点です。アメリカならいざ知らず、そもそも日本で一体どこにそういった機会があるのか、皆目見当がついていませんでしたので、鳥公園のような小さな団体の資金集め案に組み込もうと考えたことすらありませんでした。具体的にどのように機会を開拓しうるか伊藤さんから伺い、目から鱗でした。
今野さんからは助成金を中心にお話を伺いましたが、国内や文化芸術関係の助成金ばかりではなく、海外や他分野の助成金も活用すると良い、というお話に大いに頷かされました。私は別の団体の日米共同制作のプロジェクトでは、日米両方の助成金に申請していますが、「個々のプロジェクトのために必要に迫られて」であって、団体の包括的な資金集めプランの一部として戦略的に活用できている、という実感はありません。今後の鳥公園の国際プロジェクトでは、将来の可能性を拡げるためにきちんとリサーチして戦略的・積極的に取り入れてみたい、と思いました。他分野の助成金や補助金については現状は完全に無知ですが、創作・上演以外の営利事業をこれから立ち上げていくとしたら(いつかそうしたいと思っているので影山さんにお話を伺ったわけですが)、立ち上げ時にシードマネーとして一時的に活用できるかもしれない、と思いました。そのためのアンテナを、これから張っていきたいと思います。
サポーター・コミュニティについては、鳥公園にとってクラウドファンディングで支援くださった方々以上のサポーターはこれまでもこれからもいないと思います。まずはクラファン・サポーターの方々との関係性を大切にし、その上で新しい方々にも「面白い」「ユニーク」「魅力的」「信頼できる」と思っていただきサポーターになっていただけるような企画や団体運営を心がけていきたいと思います。
ファンドレイジングについて大きな視野から捉え直させてくださった伊藤さん、アートに特化した視点から様々な事例を挙げてアドバイスをくださった今野さんに、心よりお礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
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