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『abさんご』三浦雨林チーム・ワークインプログレス観劇レポート|和田ながら

5月11日(水)、三浦雨林チームのワークインプログレスを森下スタジオに観に行った。
 
鳥公園の『abさんご』2022/三浦雨林チーム・ワークインプログレス
https://bird-park.com/works/ab-sango2022/?pid=miura
 
『abさんご』はこのチームにとって「テキストブック」なのだな、という印象が残った。それは、中学校一年生のときの英語の授業が思い出されたからだった。

 たとえば、スクリーンにテキストが映し出され、俳優ふたりと三浦が、ひらがな・漢字・句読点といった文字種を分担して発語(句読点はクラップ)する。楽しいのでぜひ、と、居合わせた観客も句読点でクラップすることをうながされる。
 
たとえば、プリントアウトされたテキストを参照しながら読み上げられた短いフレーズを、テキストを持たないものが暗記して復唱し、つまずけば修正される。教師が例文を読み上げたあとに「リピート・アフター・ミー」と指示し、生徒の誤りを指摘するように。
 
たとえば、家の様子を説明しているパートを、電話で読み上げる者がいる。電話を受けている者は、聞き取りづらい部分は聞き返しつつ、語られている部屋の様子を想像してフロアを歩く。電話のかけ方/うけ方のロールプレイをするチャプターや、道案内や物の位置を表現するイディオムを習ったときを思い出す。

『abさんご』を語学学習のテキストブックのようにあつかうことに必然性があるのかどうかはあまりわからなかったけれども、わたしは今現在、英語学習アプリで日々例文を復唱したり訳文を組み合わせたりしているので、語学学習に伴うあのうっすらとした演技性、ポップに楽しみながら学んでいこうよみたいなあのノリ、には多少のリアリティがあった。
 
個人的な欲望としては、電話による部屋の情報の伝達と受信者による空間の復元というこころみがもっともっとふくらんでいった先を見てみたかった。電話は声だけ、けれども受け手は空間的な経験をするという構造が、文字を読むことを通じて立体的な体感がもたらされる『abさんご』の読書体験と重なりそうな気配があったように思う。
 
さて。次は自分の番である。
 
鳥公園の『abさんご』2022/和田ながらチーム・ワークインプログレス
https://bird-park.com/works/ab-sango2022/?pid=wada

 2022. 6. 10.
和田ながら

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