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(H14) 「カネがもらえるほどよく働く」は間違いだった。生産性が向上する最適労働時間とは-1 (2019.11.30) by 黒田祥子 より抜粋加筆しました。

⑴ 働き方改革の目的のひとつは長時間労働の是正

残業を減らすことに、以下の現場の声が聞かれます。
「業務量が以前と同じなのに、労働時間だけ減らすのは無理」


国際比較では、長きにわたって、日本の時間当たりの生産性の低さが指摘されてきました。
「過去40年、G7の中で日本は最下位」


OECDの国際比較では、週50時間以上働く人は以下です。
①ドイツが約5%
②米国が約12%
③英国が約13%
④日本は約22%


⑵ 「週50時間以上の労働時間」はキーワードのひとつ

日本人のホワイトカラー約2000人を追跡調査した研究より、
労働時間が週50時間を超えるあたりから、次第にメンタルヘルスが悪化する傾向が認められました。


英国の調査でも、
1日11時間以上、あるいは週当たり55時間以上の長時間労働は、5、6年後の大うつ病発症リスクを高めるといった研究もあります。


⑶ メンタルヘルスは長時間労働で悪化する

労働時間が週50~55時間以上になると仕事満足度は上昇する傾向にあります。
いわゆる「ワーカーズ・ハイ」のような状態になっている可能性が示唆されます。


週50時間以上の労働時間は、生産性にも影響を与えます。

経済学では、
インプットをするほど、1単位のインプットに対するリターンがどんどん小さくなるという以下の考え方があります。
「限界生産性の逓減」


労働時間も、
最初のうちはリターンが大きく、だんだんリターンが小さくなっていくと予測されていました。


近年、経済学者のジョン・ペンカベルが1930年代の英国の軍需工場のデータを検証した結果、
長時間労働をして休息をとらない状況が続くと、以下が示唆されます。
①本人が気付かないうちに心身の健康を損ねるリスクは増す
②生産性も低下する


⑷ 職場の雰囲気が働き方に強く影響することを示すエビデンス

日本から、ワークライフバランスのとれた欧州の事業所に海外赴任した会社員約400人を調査し、赴任前後の労働時間を調べたところ、
日本で週60時間以上働いていた人の多くが、欧州に赴任すると労働時間が大幅に短くなっていることがわかりました。


日本で休暇をほとんど取っていなかった人が、
赴任後に長期の有給休暇を取得するといった事例もみられました。

これは、
残業が常態化した職場から残業がない職場への環境変化が、人々の労働供給行動にも大きく影響したことを示唆しています。


興味深いことに、
欧州に赴任した人でも、日本本社との連絡や調整が現地での主業務だった人は、労働時間も有休休暇もほぼ変化がありませんでした。


つまり、どこで働くかよりも、以下が個々人の労働時間の決定に影響するのです。
「どういう職場環境で、誰と働くか」


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