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(I72) EリキシャはインドEV市場でリープフロッグ現象を引き起こすか-1 (2020.4.8) by 山元哲史 より抜粋加筆しました。

インドの電気自動車(EV)市場で、
「リープフロッグ現象」の可能性を感じるものに、
3輪電気自動車(Eリキシャ)があります。


⑴ モディ政権が電動車普及に向けてはなった3本の矢

インドの4輪車市場は、
2019年380万台(前年比87%)と低迷したが、ドイツに次ぐ世界第5位市場です。


2030年には1000万台市場に達するという予測もあります。

以下も世界最大級の市場を擁しています。
①2輪車:2.1千万台
②3輪車(オートリキシャ):70万台


モディ政権が重視するのが以下です。
Ⓐ量的拡大
Ⓑエネルギー安全保障問題(石油輸入からの脱却)や環境問題の解決
Ⓒその達成手段の柱をEVと位置付けている


⑵ 同首相は2019年に入り、電動車(EV、HV等)の普及・振興政策を矢継ぎ早に打ち出した

主な3つの施策の内容は以下です。
①電動車購入補助(FAME2)
②電動車関連部品の国産化(PMP)
③2次電池産業の育成・振興(移動手段と蓄電に関する全国ミッション)計画


特に、電動車の肝となる電池産業については、
脱・中国製電池を狙い、支援内容を大幅に拡充する計画です。
向こう10年間で約1千億円強の助成・支援を計画中。


全量EV化のデッドラインも明言しております。
2024年:3輪車
2025年:2輪車(150㏄以下)
2026年:4輪車(商用ユース)
4輪車については現時点で2030年のEV比率30%を掲げています。

実現性には疑問符がつくものの、政府の本気度が伝わってきます。


⑶ ラストマイル・モビリティのEリキシャがEV市場を牽引

インドにおけるEVの累計販売台数は、
76万台(2019年3月時点)です。

うち3輪EVが80%を占め、
EV市場形成の牽引役を担っています。


その背景として、
モディ政権による強い政策誘導があります。

上記の電動車購入補助策「FAME2」を見ると、
政府の優先順位は明らかであります。


例えば、向こう3年間で4輪EV・HVへの補助金支給の上限台数はわずか5.5万台なのに対し、
3輪EVが同50万台となっています。

4輪EVの普及は後回しで、
当面、「3輪EVの普及」に主眼を置いた施策となっています。


インドでは、
3輪車(オートリキシャ)は民間タクシーとして、
大都市から農村に至るまで安価な庶民の主要な輸送手段、ラストマイルの移動方法として広く利用されております。

比較的決まったエリアで一定距離(1乗客当り平均10km程度)を走行するケースが多いため、EV化による短い航続距離や充電インフラの課題等もクリアしやすい。


電池国産化等による電池コスト低減が実現されれば、
現在販売されている既存3輪車がEVに順次移行する可能性も一層高まるでしょう。


3輪車で、リープフロッグを狙います。

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