(D94) 「日本的雇用=日本の社会の仕組み」こそが、日本人を不幸にした元凶-2 (2019.4.11) by 橘玲 より抜粋加筆しました。
日本の15~64歳の男性は、
世界でもっとも長時間労働をしています。
なぜこんなことになるかというと、
短時間労働の非正規雇用が増える一方で、そのしわ寄せが「正社員の長時間労働とサービス残業につながっている」からです。
まとめると、日本のサラリーマンは以下です。
①主要先進国で一番仕事が嫌い
②会社を憎んでいる
③世界で一番長時間労働している
④それにもかかわらず世界で一番労働生産性が低い
これがかつての経済大国・日本の「真の姿」。
だが、日本ではこの30年間、
ほぼすべての知識人が「アメリカ」や「グローバリズム」に呪詛の言葉を投げつけ、年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行こそが日本人を幸福にしてきたとして、「正社員の雇用破壊を許すな」と叫び続けてきました。
この「日本的雇用=日本の社会の仕組み」こそが、
日本人を不幸にした元凶なのです。
⑷ 生産性が高い工場を海外へ移転
経済学者の深尾京司氏は以下の興味深い事実を指摘しています。
「1990年に存在した42.5万の工場のうち56%にあたる23.9万の工場が2003年までに閉鎖された。
新設された工場は10.1万しかなく、結果的に工場数は28.6万へと1990年に比べて33%減少した。
次にこの工場を生産性で分類したところ、
生産性がもっとも低いグループでは4.25万の工場のうち73%にあたる3.10万が消滅した。
不思議なのは、生産性がもっとも高いグループでも、
4.24万の工場のうち47%にあたる2.00万が消滅していることだ。」
生産性の低い工場が閉鎖され、生産性の高い工場が増えれば、国全体の生産性は上がリます。
ところが、日本では、
生産性の高い工場も同時に閉鎖されたためにこの効果が働かず、生産性が低迷したというのです。
なぜこんなことになったか、理由は以下です。
①大企業が安価な労働力を求めて工場を海外に移転したこと
②国内での生産拡大を子会社に移してリストラを進めたこと
日本は開業率がきわめて低いため、雇用を増やす効果はありませんでした。
日本経済は対内直接投資が少なく、外資による雇用創出も期待できませんでした。
ここから見えてくるのは以下です。
❶大企業は日本を見捨てて海外に出ていく
❷ベンチャー企業は育たない
❸外資系企業は日本に参入できない
❹大企業のリストラと非正規への置き換えだけが進んだ
そして、パイが縮小する中でそれぞれの利害が対立することになり、日本はぎすぎすした社会になっていきました。
平成の日本は、
経済成長(生産性向上)よりも正社員の雇用を優先し、
合理性を憎んであらゆる「改革」を頑強に拒んだとことでどんどん貧しくなっていきました。
さらに、以下の2つが日本の貧困化に拍車をかけている気がします。
①少子化
②新しい産業が生まれなかった
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