(E23) 日本企業での人事評価は「一緒にいる時間」という評価軸が行動を決めてしまう-2 (2020.2.28) by 高田朝子 より抜粋加筆しました。
⑷ 集団の掟を破ることを心配し、思考がフリーズする
似たもの同士コミュニティが人々にもたらすのは以下の渇望です。
「集団の掟から外れた者認定をされたくない」
似たもの同士コミュニティでは他人に迷惑を掛けることを恐れます。
人手不足の中で休むことは、その分をやる人が必要で他人に負荷がかかる。
高熱が出ていて誰が見ても理由がたつような状態ならばともかく、体調不良程度で休むことはずる休みと思われないか。
大義名分なく休んだことで誰かに負担がかかると、
「集団の掟おきてから外れた者認定」をされることへの不安感から、無理をして出社します。
一方で、一人で抜け駆けして皆と違う行動をとると以下の不安を持ちます。
「組織からの長期的な援助と、仲間からの互恵にあずかることができない」
集団の掟を破ることについての危惧が何重にも積み重なり、
自分で判断することができない思考がフリーズした状態にします。
外れ者認定されたくないがゆえに、
国や企業トップからの強制的な指示をひたすら待つ。
自分で決めたならば集団の中の異常行動だけれども、
上からの指示だったらそれを守るのは正常行動だから。
⑸ サラリーマンを襲う「組織分離不安」
似たもの同士コミュニティは人々に組織分離不安をもたらします。
組織に長くいると、組織から物理的に離れることに対して心理的不安を覚えやすいです。
心理的不安の要因には2つの側面があります。
①同じ環境から異質な者がたくさんいる環境に出ていく不安
②組織から離れることで目前の仕事が達成できなくなる不安
これらの不安は組織に対する好悪の情とは別に発生します。
会社が嫌いだと思っていたとしても、
仕事に対して忠実でありたいと思えば組織分離不安は発生します。
⑹ 「一緒にいる時間」という評価軸が行動を決めてしまう
似たもの同士コミュニティの中で、
企業は一緒にいた時間の長さで人々を評価してきました。
わが国においては労働時間の長さと昇進には、
正の相関があるとされています。
企業側にとっては、一緒に居る時間の長さはコミュニティに対する忠誠心の証しとして可視化しやすい一つの指標です。
そして、長時間をかけて多角的に従業員を評価するという効用もありました。
一緒に居る時間の長さが評価の一部とされることは、人々の行動に強く作用しました。
休むと自分の評価が下がるので、休んではいけないという行動の規則を強化したのです。
日本人は部下への評価が不得手です。
多くの上司が5段階評価で、ほぼオール3をつけます。
そして、以下により多少の評価調整をします。
❶残業時間数
❷上司とどのくらい同じ時間を過ごしたか
公平な評価をしにくい在上海日系企業では、
部下へ同じ行動を求めて、年齢相応の同じ報酬にする傾向があります。
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