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(D90) 欧米ではなく、アジアでスーパーアプリが誕生した背景-2 (2019.10.3) by 佐藤隆之 より抜粋加筆しました。

⑹ スーパーアプリはどのように便利なのか

たとえば、
朝起きたら「モーメント」と呼ばれるニュースフィードを確認し、通勤中にはWeChat内のゲームを楽しむ。

暇があれば友人とチャットを行うのはもちろん、ランチの支払いに使うのは「WeChatPay」。

仕事終わりの映画やレストランの予約、タクシーの配車にも活用できるなど、
朝から夜までWeChatだけで日常生活が事足りるところまで来ています。

これこそスーパーアプリがあるから実現する生活です。 


⑺ スーパーアプリが欧米ではなく、中国や東南アジアで多く見られる点は興味深い

先進国では、PCからモバイルへと徐々に移行してきたという経緯があリます。

その途上でSNSや配送アプリといった新たなサービスが生まれ、徐々にユーザーからの認知を高めながら、ユーザーを獲得してきました。

そのため、独立したサービスが乱立する状態になっています。 


一方、新興国では近年、
莫大な資金を調達した企業が、既にビジネスモデルが確立されたサービスを徹底的に模倣します。

特に、中国では米国企業が開発したアプリが規制されている背景もあり、
WeChatやAlipayがメッセージングアプリや配車サービスなどの仕組みを一気に実装してしまったのです。 


ユーザー側に視点を移すと、
近年、購買力をつけてきた層が初めてネットをつなぐのは、PCではなくモバイル機器となりました。

モバイルファーストの文化では、
さまざまな独立したサービスを個々に利用するより、アプリを一度開けば何でもできる方が便利です。


⑻ スーパーアプリがアジアから生まれた背景には文化的な側面も見逃せない

個人よりも集団に価値を置く文化では、
セット販売が好まれる傾向にあると言われます。


欧米のような個人主義の文化ではまったく新しい商品が好まれるのに対し、
集団主義では漸進的な改善をもたらす商品がシェアを伸ばすとされます。

スーパーアプリのように何でも揃うというのは、
集団主義的な価値観を持つアジアで評価されやすいのかもしれません。 


⑼ スーパーアプリはリバース・イノベーション

中国などのテック企業は、かつては流行しているアプリを模倣する立場にありました。

しかし、スーパーアプリという新たなビジネスモデルを確立した現在は、先進国のテック企業から逆に模倣される立場になりました。 


先進国から新興国へ伝わった新技術が単純化され、新たな価値提案として新興国から先進国へ戻ってくる現象は以下に呼ばれます。
「リバース・イノベーション」


食べ物屋で同じような現象を見ます。
中国にも、ラーメン屋などの専門店はあります。

しかし、メニューの内容が違います。
専門店用の単品メニューではありません。
中国はどこの食べ物屋でも、「何でも揃う」メニューです。

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