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(J33) 見えないモノに気づく人、見逃す人-1 by 高野研一 より抜粋加筆しました。

⑴ 花王はどうやって「消費者の潜在ニーズ」を捉えるのか

花王は、脂肪を消費しやすくするお茶「ヘルシア」を筆頭に、ユニークな商品を生み出す企業として有名。


「石鹸メーカーがなぜお茶を?」と思う人もいるかもしれないが、汚れを本当に落とそうとすると、
人の代謝のメカニズムに迫る必要があります。

そこから以下の着想が生まれてきたのです。
「脂肪を消費しやすくする飲料」


⑵ 花王は既成の概念に囚われない大胆な考え方をすることで知られている

その中でも特に花王らしいのは、以下に挑戦していることです。
「消費者の潜在ニーズを捉える」


「潜在」とは、以下のような要望を捉えようとしているのです。
①外から見えにくい
②消費者自身も意識していない
③消費者インタビューをしても出てこない


まず、消費者を徹底的に観察します。
花王には生活者研究センターという研究所があります。

そこは、モニターの消費者のお宅に伺い、
主婦がお皿を洗ったり、お風呂を掃除したりしている姿をビデオで撮影します。

その映像を研究所に持ち帰り、研究者が徹底的に観察します。


「ただ、観察するだけで、潜在ニーズに気づくのだろうか」と感じるかもしれないが、この「観察」がバカにできません。

モニターの日常生活を観察することで、
普段は触れることのない刺激が研究者の無意識の世界に入ってくるから。

そして、毎日のように観察を続けていると、
次第にいろいろなことが気になるようになっていく。


気になるということは以下を意味する。
「無意識の世界の検索活動に何かが引っかかっている」

ⓐこの奥さんは腰をかがめてお風呂の底を一生懸命擦っているが、何か落ちにくい汚れがあるのだろうか
ⓑこんな姿勢で掃除をしていたら、腰が痛くなるだろうなあ

こんな連想が次第に意識の世界に湧き上がってくるようになります。


⑶ 観察を続けるうちに、今度は以下の仮説が浮かび上がってくるようになる

Ⓐこの落ちにくい汚れがどんな物質か調べることはできないか
Ⓑそれができれば、簡単に汚れを落とせる新洗剤を作れるのではないか


ここまでくれば、もう行動に移すことができます。
実際に汚れのサンプルをもらい、製品の試作品を作り、その奥さんに使ってもらえば良い。

そして、「あらぁ、これいいわねえ」という反応が返ってくれば、仮説が検証されたことになります。


花王の研究者はこんなことを日々実践しています。
これを毎日のように繰り返していると、
次第に消費者の潜在ニーズを目利きできるようになっていきます。

なぜなら、ビデオ観察を通じて家庭の主婦と同じ刺激を受け続けるうちに、研究者の無意識の世界の検索パターンが、
次第に主婦の脳の中の検索パターンに合わせてチューニングされていくから。


これが、「潜在ニーズ」という、
見えないものが見えるようになる原理なのです。

私は上海在住11年目。 2020年2月、在中国日系企業を対象とする、 「⺟国語で現場情報を引き出す、社内コミュニケーションツール」 を無料リリースしました。 コラボしたい方、ぜひお待ちしております。 bigluck777r7@yahoo.co.jp