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(D62) 海外に出ない日本の若者が気付けない自らの「貧困」 (2020.1.10) by 磯山友幸 より抜粋加筆しました。

⑴ JACリクルートメントによると、
シンガポールで大手製造業の営業部長クラスを中途採用する際の提示年俸は以下です。
日系企業は、1100万円前後
欧米系企業は、1300万円前後


日本国内で同程度のキャリアを持った人材を募集する場合は以下です。
日本企業は、1000万円
欧米系企業は、1200万円


⑵ なぜ、日本企業の管理職の給与がシンガポールを下回ってしまったのか

①為替の問題。
2020年1月時点で、1シンガポールドル(Sドル)は約80円。

実は2007年6月時点でも、1Sドル=80円でした。
その後リーマンショックで1Sドル=58円まで円高が進んだが、2015年2月には円安となり、1Sドル=92円を付けました。

為替レートだけを見ると、
2007年から13年たっても、ほぼ同水準にあるわけです。


②この間シンガポールは大きく成長を遂げました。
2007年の名目GDPは、2727億Sドル
2019年には、4980億Sドル(83%増)

一方の日本はこの間ほとんど成長せず、
2007年の名目GDPは、531兆円
2019年には、557兆円(4.9%増)


為替レートが変わっていないので、
アベノミクスが始まって以降の円安政策によって、
明らかに日本人は貧しくなっています。


しかし、国内にいると、貧しくなっていることに、
ほとんどの日本人は気が付きません。

これが「デフレ」の恐ろしいところ。
日本国外に出て生活してみなければ、
自分たちの生活水準と海外諸国の水準を比べることはできません。


⑶ 若者が海外に出かけなくなった理由

①最近では若者の「内向き志向」が指摘されています。
海外に出かけることを好まないのです。
パスポート取得率も低迷しています。


②旅行費用の上昇も。
LLC(格安航空会社)の路線普及で航空運賃は安くなったが、円安の長期化によって現地でのホテル代や飲食代はかさむようになりました。

海外に行った場合、日本の若者は貧しくなっているのです。

加えて、海外に出て行かないことによって、
日本人が貧しくなっていることに気が付きません。
まさに「井の中の蛙」。


⑷ 「大量に外国人が押し寄せているのも、日本の素晴らしさにようやく気が付いたからだ」と、多くの人たちは思っているに違いありません

だが、世界から人々が訪れる最大の理由は以下です。
①円安
②デフレによる安さ


5年たっても1000円の価値が変わらない、
成長もインフレもない日本で育った若者たちは、
知らず知らずのうちに、世界の中でも「貧乏人」になっていきます。


日本の一人あたりのGDPは以下です。
1988年は、世界2位
→現在は、世界26位
→2060年は ?

世界経済の中心は、中国、インドなどへ移行し、
日本の相対的地位はどんどん低下し続けます。

私は上海在住11年目。 2020年2月、在中国日系企業を対象とする、 「⺟国語で現場情報を引き出す、社内コミュニケーションツール」 を無料リリースしました。 コラボしたい方、ぜひお待ちしております。 bigluck777r7@yahoo.co.jp