見出し画像

(D59) 2020年、中国に押し寄せる大規模リストラの波 (2020.1.6) by ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト) より抜粋加筆しました。

⑴ 数多くの危機に直面する中国企業にとって人件費削減が生き残りへの唯一の道に

毎年末になると、中国企業も1年間の出来事を「整理」します。
ユーザーが10億人を超えるWeChatが、
2019年の人気投稿トップ15を発表しました。

第1位は以下の長い投稿でした。
「就職10年、年収100万元、でもリストラはたった10分間──時代があなたを捨てるとき、ひとことも掛けない」


⑵ 「中国ネットの厳冬期」と呼ばれるIT分野の大規模リストラは2018年末に始まった

①騰訊(テンセント)は、中間管理職の10%を降格に
②網易(ネットイース)は、部門によって30~50%の人員削減
③新浪の「新浪閲読」部門は、リストラ率90%
④京東商城(JDドットコム)が、リストラ計画を実行
⑤滴滴出行が、リストラ計画を実行


20年前には新進気鋭で、以来絶好調だった中国のIT分野は早くも「中年の危機」に陥っているようで、人件費削減しか危機を乗り越える方法がありません。 


⑶ IT企業がそうなら、製造業はなおさら

投資環境の悪化や市場規模の縮小で、
近年、中国から外資系企業の撤退は増える一方。

中国の製造業も以下の5大危機に直面しています。
①融資難
②重税
③高コスト
④環境問題
⑤米中貿易摩擦による輸出減少


世界の自動車市場の低迷で、
各国自動車メーカーのリストラは今後数年で合計8万人以上とブルームバーグは予測しています。
中国は真っ先にこの打撃を受けるでしょう。

大規模リストラはすなわち大規模失業で、
大規模失業は社会不安をもたらします。

不安定な社会は動乱につながりやすい。
こういう連鎖を中国政府は一番怖がリます。
そのため近年、中国の「維穏(治安維持)費」は毎年増えています。


政府が公表した2019年の予算案によると、
「公共安全支出」予算は1797億8000万元(約2兆7900億円)。

2019年末、
国務院は「大規模な失業リスクを全力で防ぐ」ため、
各政府機関や地方政府に「就職状況の安定に全力で取り組もう」という意見を公表しました。

中国政府のこういった「意見」は、ただの意見でなく命令。


政府機関や地方政府を通じて各企業に圧力をかけるこの「意見」から分かるのは、2020年に増えるのは以下だろうということです。
①失業率
②維穏費用

※維穏費とは:
維穏は「維護社会穏定(社会安定維持)」の略。
政府の正式用語は「公共安全支出費」。
国防費の15%を占有。


今まで中国の景気や求人を牽引してきた、2大業界に陰りが出てきました。

❶中古車市場が伸びている自動車業界
❷壊れないと買い替えないスマホ業界


中国は、高度成長路線から成熟路線に変わる局面に入り、
今後は派遣社員などの非正規社員の需要が増えていくのでは。

私は上海在住11年目。 2020年2月、在中国日系企業を対象とする、 「⺟国語で現場情報を引き出す、社内コミュニケーションツール」 を無料リリースしました。 コラボしたい方、ぜひお待ちしております。 bigluck777r7@yahoo.co.jp