(H33) 販売員がいない米テスラの車をネットでポチッと買ってみた…数年間一切連絡なく、ある日突然連絡が… (2020.2.10) by 木下隆之 より抜粋加筆しました。
⑴ 米テスラの販売手法はこれまでのスタイルを大きく覆す
輸入代理店網を省略し、販売員を置かず、営業もしません。
手厚い歓待で客をエスコートすることはない。
広告もなく、ましてダイレクトメール(DM)でのアプローチさえもしないのです。
さらに驚くことに、試乗車もない。
試乗車がないから、購入を考えている客は走り味を試す機会がないまま、1000万円を超えようという車を買うことになるのです。
テスラのイーロン・マスクCEOは、EV(電気自動車)を「走るスマホ」と考えています。
それゆえに車の概念をことごとくぶち破り、
その商法はスマホを売るがごとき単純なものとなっています。
⑵ 「モデル3」のコクピットにはタブレット以外に表示するものはなく、操作系も最低限必要なものに限定されている
オーディオや空調といった、本来あるべきスイッチ類は省略され、すべてタブレット型のタッチ画面で操作するのです。
スマートキーを持ったドライバーがモデル3に近づくと自動で解錠され、シートに座ればいつしか電源が入ります。
ギアをセレクトすれば、あとはアクセルを踏み込むだけなのです。
ゴルフ場の電動カートに近い。
そして車から離れれば、自動で施錠される。
これほどに車としてのスタイルを変えてしまった。
⑶ これまで馴れ親しんできた売り方を徹底的に否定する
実際に私はモデル3を先行予約しました。
まだ、生産態勢が整わず、それどころか車の開発も完了していなかった数年前に、ネット経由で申し込み、カード決済しました。
だが、それから数年間、一切の連絡がなかった。
連絡のないまま数年待たされたあげく、日本でモデル3のデリバリーが開始されたことを知ったのは、
テスラからの直接連絡ではなく、ネットニュースの報道からなのです。
「お待たせいたしました」の言葉もなく、ようやく案内がきたのは2020年1月。
⑷ 徹底的にコスト削減し価格抑制
テスラが、
販売手法をここまで変えてきたのには理由があります。
公式には、以下のためと言われています。
①販売代理店を経由するリスク
②販売員の営業コストを省略し、販売価格を抑える
一般的な商流は、
メーカーが輸入代理店に車を卸し、その時点でメーカーは資金を回収が完了する。
販売代理店は、
メーカーから購入した車をユーザーに販売しなければ資金を回収できない。
そのタイムラグがコストとなります。
テスラは、そのコストを嫌い、直接お客に販売する手法を採用したのです。
しかも、先行予約で、15万円の手付金を要求して。
これが新時代の販売手法なのかと思う。
車さえシェアリングやサブスクリプションの対象となる時代です。
今や、時価総額が22兆6000億円の世界一の自動車メーカーです。