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それ、知っています。

わさびは醤油皿に溶かさないで刺身につけるんだよ

それ、知っています。いや何十回も聞いています。
でも、僕はきちんと言います。いや、言ってやります。
「へー!確かに刺身に直接つけると香りが引き立ちますね!」
居酒屋のベチョベチョに黒ずんだ元刺身らしい何かに、ペパーミントグリーンが際立つ着色料、保存料がたっぷり入った香りもしないわさび。こんなに不毛な会話は世の中にあるでしょうか。あるんですよ。

  • わさびは直接そばにつける

  • 刺身に添えられている菊は食べられる

  • 本当の天ぷらの通は塩で食べる

  • 天豆と書いて「そらまめ」と読む

  • 上手に入れられた生ビールは泡のリングが残る

  • シャンパーニュ以外で作られたらシャンパンじゃない

知ってるわ!全部知ってるわ!

全部知っています、目を輝かせながら語らないでください。そもそも、たかだか3千円の居酒屋で2時間費やして聞くにはあまりにもコスパが悪すぎます。でも、絶対に知っていますなんて言いません。
会社の飲み会は飲むための会ではありません。仕事の結果意外で気持ちよく相手の懐に飛び込むチャンスタイムです。

困った時のSOS話法。これは修練です。

そもそも何回も何回も聞いてます。しかも今日だけで2回目です。
こんなことがよくありますよね?私はありました。
上司と飲みに行く時のポイントは心を空っぽにすることです。議論をして勝ったとしても、そこには勝者は誰一人いないからです。論破してもメリットがありません。
そんな時大切な話法があります。それは「SOS話法」

  • S:すごいですね(そうなんですか)

  • O:おっしゃる通りですね

  • S:参考になります

この3つだけで2時間話せるようになるのが(なりたいか、なりたくないかは別にして)部下のプロです。
事故なくその2時間を乗り切れるようにするゲームだと思えば耐えられるはずです。飲みにきた、リラックスにきた、食事に来たと思わないでください。これは修練です。修行なのです。

きっと、みんな尊敬されたい

きっと、みんな尊敬されたいのです、多分この話もどこかで話をしてウケが良かったものの再放送、または再々放送です。ゲゲゲの鬼太郎並みに使い込まれ、擦られまくて、時代に合わせて少しリニューアルしていても結局は既視感が否めない「再放送」です。
なかなか生きていて「へーそうなんですか!」って言われることはないですからね、その快感が忘れられないのだなと腑に落としましょう。

でも大人になるとみんなやっちゃうから

俺はこんな上司にならねえ、したことない!って思うでしょ?してないつもりでも実はしている。今はしてないけど将来的にはしちゃう。どっちかなんですよ。
働いてると人脈増えると思いますよね。逆です。残念なことにどんどん狭くなります。だから同じメンバーで食事をする確率が増えるのです。
家庭が冷めて、子供が独立して、ペットは奥さんだけに懐いて…会社の飲み会ではチヤホヤされたくなります。
この勝負には勝ち負け、正義V.S.悪の対立構造はありません。愛です。愛なんです。
暖かい目で相手を不快にしないで相槌を打つ技術。
この技が伝統的にみんな使えるようになれば、居酒屋はもっと幸せな時間になるでしょう。たった数千円でみんなが優しくなれる空間を大切にしましょう。優しい目で見てあげてね、いつかは通る道です。

ワインはなあ、回して空気に触れさせると本来の味が引き立つんだぞ。

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