立つ鳥はあとを濁す 【前編】
<前編・中編・後編>
「これでもう……大丈夫だと思います」
三島が、伸縮包帯の残りを器用に巻いて、プラスチックの救急箱に戻しながら言った。
「ありがとう」
心なしか、左前腕の痛みが和らいだ気がする。
「意外だな」
「な……なにがですか。泉先輩」
「いや、おまえが手当てできるなんて」
「ああ……学生時代サッカー部だったんですよ。だから慣れているんです。ちょっとした怪我くらいなら」
俺は左腕を上げ下げして、動きを確かめた。包帯とシャツの袖がこすれて違和感があるが、動きを妨