電楽サロン

お話を投稿したり、趣味の話をしたりしています。 時折、お肉仮面の写真をまとめています。

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マガジン

  • お肉仮面のCDラック

    お肉仮面と電楽サロンがこれまで作ってきた音楽がおいてあります。

  • 電楽の短編

    短編が置いてあります

  • 第三回お肉仮面文芸祭

    2023/11/29〜2023/12/29にかけて行われる「第三回お肉仮面文芸祭」の収集マガジンです

  • 楽しい音楽の話

    謎のマッシュアップを掘り、future funkの話をする

  • 平成八年生肉之年

    第2回逆噴射小説大賞に出したお話の続きを書いています

最近の記事

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地雷拳(ロングバージョン)

 診察室の天井には採光窓がはめられていた。薄い病院着に光が差す。満月を眺めながら、姫華は相手の反応を待つ。 「すばらしい」  しばらくして医者は言った。頭のレントゲンには弾丸が写っていた。 「どこまで覚えていますか?」  姫華は順を追って話す。ホストクラブで遊んだこと。帰り道で銃口を向けられたこと。 「誰が銃を?」 「あ……」  訴えようにも声が出なくなっていた。喉が詰まっているわけではなさそうだ。咳すら出ず、見えない栓が口にはまっているようだった。 《待って

    • 夢のスーパー

      いずれスーパーマーケットを作ったら流したいです

      • 地雷拳(ロングバージョン10)

        承前    通りは人々の叫び声でパニックに陥っていた。どこかから壊れたクラクションが鳴り響く。トラックが腹を見せて転がり、黒煙をあげている。アスファルトの路面にはビルの残骸が突き立っている。コンクリートの石板が立ち並ぶ様子は、ビル街のジオラマのようだった。  ギュルギュルギュルギュルギュルギュル……  スパインテイカーの回転腕が喧騒をかき消した。 「カラテチップの娘よ! もう終わりか!」  異形のカンフーロボが、倒すべき相手を求めて叫んだ。 「カラテチップなど超人である覇金

        • 地雷拳(ロングバージョン9)

          承前  マクセンティウスの機嫌は悪くなる一方だった。マクセンティウスの音声認識デバイスはブレーキのすぐ下に設置してある。地面に近い  やけにうるさく感じた。人には無視できるような音だろう。マクセンティウスは黒い二輪の躯体を持つ。身体が地面に近いほど足音は隣の部屋でドラムセットを叩かれるような苦痛だった。  ラフォーレの前でマクセンティウスが停まって一時間ほどになる。  人々が行き交うのをアイカメラで追っていた。マクセンティウスは辟易していた。人間が多すぎる。雑踏の中を走るの

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        地雷拳(ロングバージョン)

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        • 生贄にならないあなたへ
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        記事

          blenderでプールをつくりました🏖️

          blenderでプールをつくりました🏖️

          地雷拳(ロングバージョン8)

          承前  人の流れは街の血なんだと姫華は思った。  競輪場を出て原宿に着いていた。  バイクを駆っていると街の喧騒を忘れてしまう。どこにいても人がいる。普段ならどうでもいいことだけれど姫華は安心した。 「はぁ……」  ようやく一息つけるようになった。  ラフォーレ原宿4階の個室トイレに姫華はいた。閉店時間のギリギリに着いたのは、マクセンティウスのおかげだった。覇金の技術が詰め込まれた躯体は瞬く間に姫華を目的地にたどり着かせた。  四方が壁に囲まれたトイレは、これまで走り続けた

          地雷拳(ロングバージョン8)

          地雷拳(ロングバージョン7)

          承前  広々とした芝の上に姫華は立つ。天井は中央に穴が開いており、夜空が見える。周りを見渡すと、ぐるりと舗装されたトラックが囲んでいる。  閉まっていたはずの京王閣競輪場は静まっている。だが、従業員の去った場内は煌々と灯りがついていた。  なんだか落ち着かない。  壁も天井もないと拠り所がなく、不安定だ。  観客に囲まれるアイドルはこんな視界だったのだろうか、と姫華は思う。もっとも、姫華が見たことがあるのはメン地下の現場だった。規模は比べるまでもない。 《集中して》  姉の

          地雷拳(ロングバージョン7)

          クレンザー KILL!KILL!KILL!【ホストファクトリー】

          承前  禍舞姫町。この街はいまはそう呼ばれている。歌舞伎と呼ばれた場所が名前を変えて久しい。かつて新宿区の一部分だった場所はいまや、東西南北に版図を広げていた。境目はことあるごとに武装勢力が衝突して曖昧になっているが、誰も気にしない。禍舞姫か、禍舞姫じゃないか。分かりやすい方が住人には楽だ。俺のマンションがあった場所も以前は川崎と呼ばれていたが、いまは禍舞姫だ。  時間の流れは早い。  屋上から街を見おろす。禍舞姫の中心に来るのは久しぶりだった。いつ来たのが最後だっただろう

          クレンザー KILL!KILL!KILL!【ホストファクトリー】

          地雷拳(ロングバージョン6)

          承前  メキシコ、オアハカ州郊外。真夜中に一発の銃声が響いた。住民はカーテンの隙間から外の様子を窺う。メキシコシティに比べてオアハカは滅多に銃声が鳴り響かない。慌てた野良犬が通りを走りぬける。片足を立たせてよたよたと走り抜ける野良犬への関心は街の住人にはない。  銃声の出所は、通りに面した家からだった。家は大きな平屋だった。白い外壁は太陽に当たると柔らかな光を反射する。よくある家だった。むしろ、そうでなければならなかったのだろう。  住民は平家に住む人物はオアハカの人間では

          地雷拳(ロングバージョン6)

          ボルゾイに血まみれ錦鯉をぶん回す

           浦井先生はボルゾイに似ている。輪郭がしゅっとしてるところなんてそっくりだ。高校時代はバレー部の主将だったらしく、筋肉質な身体はボルゾイの白くてがっしりした姿と重なる。  他にもまだある。今日の先生は無印の白いブロードシャツを着ている。肌の白さとマッチしていてかなりボルゾイだ。  そんな浦井先生が駐車場に倒れている。舌を出して目を半開きにして尻を突き出したまま微動だにしない。センター分けにした黒髪が血に濡れている。すぐ横に車のキーが落ちていた。駐車場に一台だけ止まった、先生の

          ボルゾイに血まみれ錦鯉をぶん回す

          くるまえびのお葬式

          えびのお葬式用

          くるまえびのお葬式

          くるまえびのお葬式

          地雷拳(ロングバージョン5)

          「そのまま俺の爪研ぎになるんだ! 死ねッ!」  小鬼が動いた時だった。  老人が視界から消えていた。5メートル先で確かに胡座をかいていたはずの姿がどこにもなかった。  確かに見ていたはずだ。見逃すほどカメラのメンテナンスを怠っているはずがない。  鋼鉄の足が宙をかいた。  ヴァーユが探しだす前に身体が浮いていたのだ。小鬼は自分が投げられたのだと気づいた。頭の位置が地面に近づくにつれ、老人の姿が目に入った。  衝撃が脳天に走る。ヴァーユは床に打ちつけられていた。ぐわぐわと視界に

          地雷拳(ロングバージョン5)

          地雷拳(ロングバージョン4)

           港区に居を構える覇金グループのビルは不夜城と化していた。  タイピング音、電話の着信、怒号。さらに怒号。それらが止むことはない。生き馬の目をくり抜くような都心では当たり前となった光景だ。  だが、覇金グループの雰囲気は異様だった。怒号やタイピング音に混じって、鉄の軋む音や打撃音もオフィスの環境音として聞こえてくるのだ。  音の出所は、DX推進室本部の修練室からだった。  修練室にソファやシャンデリアなどの調度品は一切ない。代わりに砂袋、バーベル、煮えたぎる鉄桶などが置かれて

          地雷拳(ロングバージョン4)

          地雷拳(ロングバージョン3)

           弾丸のような頭だ。姫華が間違えるはずがなかった。だが、信じられなかった。  ライダースーツの鉄人が走ってきている! 時速150キロで飛ばす姫華に己の脚で追いつこうとしていた。 《私はカンフーチップを侮ってたみたい》  姉は笑いを噛み殺しているようだった。 「何笑ってるの」 《蒔いた種がこんな風に育つと思わなかったから》  姉は、死んでよかったのかもしれない。 「さあ、ロードファイトと行こう」  バイクが言った。電子音を組み合わせた人工的な音声だった。  背後から爆走するタク

          地雷拳(ロングバージョン3)

          クレンザー KILL!!KILL!!KILL!!【ハンマチェットガール】

           座布団のような大きさのフォカッチャに、拳大のアイスがふたつ乗っている。カナエはフォークをぶっ刺し、大口を開けて頬張った。 「んま!」  もぐもぐと咀嚼しながら、水に手をつけかけ、結局酎ハイに手を伸ばした。好きなものを好きなだけ摂る。そういう食べ方だった。 「すごいな」  俺の感嘆にカナエが不明瞭な言葉で返す。  カナエのテーブルにはパスタ2皿、食べ終わったアヒージョ皿にバゲット3個が積んである。酎ハイは5缶空いており、新しくワインを頼んでいた。  一体、俺より細い身体のどこ

          クレンザー KILL!!KILL!!KILL!!【ハンマチェットガール】

          クレンザー KILL!!KILL!!KILL!!【VS. ブレインジャッカー】

           むせかえるような血の匂いで俺は目が覚めた。部屋の中は夜闇で満ちている。それが返って血の匂いを強めていた。  汗の匂いまで混じってきた。俺は頭が痛くなった。最悪なときはどうするか。まずは酒だ。一杯やらないと気がすまなかった。立ち上がり、二、三歩歩いて躓いた。夜に目が慣れてくる。足元に女がうつ伏せで倒れている。ピンクと黒のフリルのブラウス姿で、チョーカーを首に巻いている。背中には楽器ケースを背負っている。奇妙な地雷女だ。  一旦忘れよう。俺は戸棚からジャックダニエルを取り出す。

          クレンザー KILL!!KILL!!KILL!!【VS. ブレインジャッカー】