フィッシュストーリー

新潮文庫で出版されている、伊坂幸太郎さんの短編小説集「 フィッシュストーリー 」
その表題にもなった作品が、
「 フィッシュストーリー 」です

66ページしかない短編小説なんですけど、僕としては、今まで読んだ伊坂幸太郎さんの作品の中でもかなり好きな作品なんです

一時、伊坂幸太郎さんの作品にはまっていくつか小説を読んだことがありました

「 砂漠 」
「 重力ピエロ 」
「 グラスホッパー 」
「 オーデュボンの祈り 」
「 アヒルと鴨のコインロッカー 」
「 アイネクライネナハトムジーク 」

などなど

アイネクライネナハトムジークに関しては恋愛小説なんですけど、その他に読んだ作品って、どことなく暗い雰囲気が漂ってるんです

殺人、殺し屋、自殺屋、強姦

⬆こんな感じの経歴の持ち主が登場して、ある事件が起こったり、それを解決したりするんです

なので、読んでる途中途中で胸の奥がモヤモヤする胸糞さを感じたり、最悪な結末を想像してしまったりするのです

しかし、だいたいの場合は、最後の最後に少しだけ希望の光を感じさせながら物語が終わる

つまり、バッドエンドではないけど、ハッピーエンドとしては少し弱い

そんなことが多い気がします

僕的には、

「 救いようのない現実もあるけれども、必ず希望は残されているんだよ 」

という作者のメッセージ性があるのではないか?と勝手に思ってるんですけど、そういう考え方が好きなので、伊坂幸太郎さんの作品は結構好きなのです

暗い雰囲気が漂ってる作品が多い気がする伊坂幸太郎さんの作品たちですが、

「 フィッシュストーリー 」はその中でも、かなり明るめの作品なのではないかと思っています

というわけで、まずは「 フィッシュストーリー 」のあらすじについて説明しますね

最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「 いい曲なんだよ。届けよ、誰かに 」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。

「 フィッシュストーリー 」単体の説明ならこんな感じですかね

読んだ感想としては、

人の優しさや想いは最初はちっぽけだけど、巡り巡ってやがて大きな希望や優しさに変わる

そんなことを教えてくれた気がします

例えば、僕は小さい頃からパスタ料理が好きで、大人になって夢だった自分のお店を持つことができたとしましょう

大人になった僕は相変わらずパスタ料理を作るのが好きで、お客さんがそれを食べて喜んで欲しいと思ってお店を経営しています

そこへ失恋して落ち込んでいる女性が来店しました

女性は何か美味しいものを食べて気分転換をしたいと思い、このお店にたまたまやってきたのです

そんな女性の元へ注文したパスタが到着したので食べてみました

すると、あまりの美味しさに幸せで満たされ、そればかりか自分もこんな料理を作りたいと思い立ち、料理教室に通うようになり、失恋から吹っ切れることができました

このとき、ただ僕は小さい頃からの夢を叶えてパスタを作っていたに過ぎないのですが、結果として失恋した女性を救うことができたのです

これはあくまで僕の考え出したストーリーですが、「 フィッシュストーリー 」は大まかに言えばこんな感じのストーリーな気がします

好きなことを好きなようにやっている人

誰かのために尽くしたいと思い行動してる人

そんな人たちは、案外自分の気付かないところで他人に影響を与えていたりします

そして、影響を受けた人たちもまた知らず知らずのうちに誰かに影響を与えているのかもしれません

本来ならそういう事例は追跡しようがないのですが、伊坂幸太郎さんは小説の中でそういう体験を描いてくれたように思います

以前僕の投稿でブルーハーツの「 チェインギャング 」について触れたものがありました

その中でも語ったことですが、

自分の余裕や他人を思いやる気持ちは、やがて世界平和にだって繋がることがあるのかもしれません

もちろん、その逆もあります

窃盗、横領、傷害などは、やがて大きな世界の歪みにだって変貌することもあるかもしれない

僕としては「 フィッシュストーリー 」は、前者の流れを表現しているようにも思えました

自分がやりたいことを思いっきりやればいい!
それは誰かを救うきっかけにだってなるのだから!

それ教えてくれた気がした作品でした

最後に余談ですが、「 フィッシュストーリー 」は映画化もされており、売れないバンドマンが作った曲もちゃんと登場しています

そして、その曲を作詞作曲したのはシンガーソングライターの斉藤和義さんなんですけど、伊坂幸太郎さんと斉藤和義さんは結構交友があるそうです

というのも「 アイネクライネナハトムジーク 」という伊坂幸太郎さんの小説では、斉藤和義さんみたいな人も登場するし、なんならその小説自体斉藤和義さんの影響を受けたんだとか

あと、「 アイネクライネナハトムジーク 」読んだ後に斉藤和義さんの「 ベリーベリーストロング」っていう曲を聴くのはほんとにオススメです!

笑っちゃうくらい「 アイネクライネナハトムジーク 」の小説をまるまると歌っている曲なので!

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