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★【選手育成】トレーニングプランの立て方・注意点


トレーニングの目的を明確に

高校生の場合、トレーニングをすることが「練習だから」「やれ!と言われたから」「何となく」ということもあり得るので、何のためにトレーニングするのか?その目的を明確にし、目的達成意識を強く持って(モチベーションを持って)トレーニングに取り組めるように共有します。

トレーニングで体に負荷をかける理由

トレーニングでわざわざ体に負荷をかける理由は、
「人間の体が”環境に適応する”能力(仕組み)があることを利用し、
            負荷に耐え体を成長させるため」になります。

例えば、あまり運動をしていない人がいきなり運動をすると、体が急激に必要としている(血液による)エネルギー供給がうまく行えず、呼吸が荒くなる・心拍数が高くなる 等の状況になります。これは、体にとって普段経験することが少ない”非常事態”で危険な状態です。
しかし運動を繰り返し行なうと体は”非常事態”を学習し、危険な状態にならないようエネルギー供給(血液の量を増加)するため、呼吸が切れず高くなりません。
人間の体は負荷をかけるとその負荷に適応しようとし、これが”体の成長”になりでありトレーニングの意味になります。(入部当初きつかった練習が、だんだんと慣れてきつくなくなる のも一緒に原理です)逆に負荷をかけない楽な状態(現状維持)は、貴重な高校野球生活の時間を無駄に過ごしている…とも言えます。

現在の負荷に体が慣れてきたら、さらに強度を上げ負荷を強くすることでより一層”体の成長”を進めることができます。この積み重ねが時間の経過とともに大きな成果として自分に返ってきます。

≪負荷の上げ方≫
「負荷を上げる」となるとすぐに「回数を増やす」ということがイメージできますが、まず「全力で行なう(手を抜かない)」ことを徹底することから始めます。逆に手を抜いて増やすのなら、それはしないほうが良いです。
(例 スクワット)
スクワットは「太ももが床と平行になるまでしゃがむ」トレーニングですが、。しゃがむ位置が1㎝浅くなると、楽になるのですが効果も全く変わります。全力で行なうためには、このスクワットのように1㎝の差にこだわって行なうことが重要です。

≪オーバーワークに注意≫
負荷をかければ…を意識しすぎるために、
オーバーワークになることがないよう十分注意が必要です。自分の体を考え「自分の限界」を見極めてトレーニングを行なうようにします。

すべてのチームで決めた”目標”を達成するため

(選手個々でなく)チーム全体で考えるトレーニングの目的は

● チームスタート時に(選手が決めた)目標を達成するため(大前提)

     ↓
● (体力をUPさせることで)競技力を向上させるため
● (目標とする試合・大会に)最良のコンディションで臨むため

になり、ここから個人ごとの目標に細かく落としていく形になります。

トレーニングの注意点

選手個々に体力に合わせたトレーニングを

高校生はまだ成長過程の選手も多く、「プロの選手がしているトレーニングだから…」とそのまま取り入れるのは故障する可能性があり危険なので、あくまで現段階の体力・筋力に合致したトレーニングを行ないます。
トップレベルのトレーニングを参考にする場合は、そのトレーニングの目的(どこを、どの筋肉を鍛えるのか?)を理解し、正しいやり方で故障につながらない無理のない回数で行ないます。

正しい方法を理解してトレーニング

高校生の場合、トレーニングはトレーナーのような専門の方がついて行なうことは少なく独自のやり方で行なうのがほとんどになります。学校にあるトレーニング器具も十分でないケースもあります。
このような環境の中でのトレーニングでは、正しいトレーニング方法(正しい姿勢・正しい体の動き・鍛えようとしている筋肉・強化する動き)を理解して行なうことが重要です。
正しい姿勢・正しい体の動き ⇒ 効率よく体を動かすため
    (筋肉は連動しているので、鍛えている筋肉以外も動いている)
鍛えようとしている筋肉・強化する動き ⇒ 
  負荷をかけている場所(鍛えている場所)を強く意識するため、
  野球のどのプレーのためにしているトレーニングか?意識するため

逆に正しくないトレーニング方法で行なうと、鍛えたい部分を鍛えることができず(目的に沿った効果が出ず)場合によってケガする可能性もあります。

トレーニング成果は数値で可視化する

行なったトレーニングは数値化することで、成果があったのか?なかったのか?明確にすることが重要です。
数値に改善が見られないようであれば、方法を見なおす・そもそものプログラムを見直す 等対策を打つことができますが、数値がわからないとその方向性も把握することができません。

全部員による測定も年何回か行ないますが、日常でも数値でチェックが出来るとトレーニングに対するモチベーションはまったく変わってきます。

筋トレは筋繊維が復元する期間・栄養・睡眠をしっかりとる

筋トレは、筋肉の繊維を破壊することになるのでそこから繊維が復元する期間を取って、初めて筋肉が大きくなります。
やみくもに毎日回数をこなす…ではなく、トレーニング後復元の時間を考えて計画を組みます。また、その期間での「食事」と「睡眠」はトレーニングの効果を最大限引き出します。
食事 ⇒ 栄養が十分摂ることで、トレーニングした筋肉を
                      強くすることができます。
睡眠 ⇒ 筋肉の回復のために一番良いことが睡眠による休養になります。

体のバランスを取ってトレーニングを行なう

選手がプランなく自由にトレーニングを行なうと、上半身(腕・胸 等)ばかりのトレーニングになってしまう傾向があります。
故障を減らし体のバランス良く「体力」を強化するために、片寄ることがないようトレーニング計画を組みます。特に「体幹」「腹筋」「背筋」は、野球をする上で重要な要素になります。

「体力」は8以下の要素によって構成されており、この8要素は3つのグループで分類できます。この要素を”バランス良く”となります。
  ≪行動をおこす能力≫
     ① 筋力 ⇒ 筋肉が発揮できる力
     ② スピード ⇒ 筋肉が発揮できる速さ
     ③ パワー ⇒ 筋力×スピード(瞬発力)
  ≪行動を調整する能力≫
     ④ 敏捷性 ⇒ ストップ・方向転換を伴う動きで発揮できる力
     ⑤ 柔軟性 ⇒ 体の柔らかさ(関節可動域の広さ)
     ⑥ バランス ⇒ 体を支えるバランス感覚の良さ
  ≪行動を持続する能力≫
     ⑦ 全身持久力 ⇒ 全身運動を持続できる力
               (心肺機能・酸素運搬能力・スタミナ)
     ⑧ 筋持久力 ⇒ 筋肉を持続的に動かせる力

トレーニングプラン(スケジュール)を立てる

プランを組む際は、大まかなスケジュールからだんだんと細かくなるように計画を立てます。計画表は全部員で共有します。

計画表の作成ポイント

● 基本は週別で計画、月~金が練習 土・日が試合になるため1週間を「月~日」で考える。
● 夏の大会が3年生にとって最後の大会になるため、表の最後が「夏の大会に」になりそこから逆算した計画が組める表にする。また、この時点は確定しえている大会・試合・合宿・遠征等も入れる。
● 夏の大会だけでなく(春センバツがかかる)秋の大会や春の大会があるので、そこを焦点にしたトレーニング計画も必要になる。週単位の「重要度」「優先度」を◎・○・△など印を付け、誰でもわかるようにする(ピークに持っていくところを明確にする)。
● 練習試合の日程は、確定した段階で表に入れる。
● 試験期間等、オフ期間も明確にする。
● 各選手の測定を行なう時期には印をつけ明確にする。基本はオフシーズンに行なうが、シーズン中にも可能な限り測定し一定期間の間隔で測定できるようにする。

トレーニング強度の計画ポイント

● トレーニング大まかな計画は大会(目標)からの逆算を基本とする。
● 大会直前まで強化することは難しいためその時期は”維持”することを基本とし、強化する期間は”強化テーマ”を2~6週間程度のブロックで区切って入れる。
● トレーニングの量は定量化して計画します。また、目的に合わせ休息(回復)時間も定量化し、ケガが起きないよう計画します。。
≪回復の時間 定量化例≫
  スクワットを行なう場合 ⇒
   筋力アップが目的なら、セット目間に2~5 分くらいしっかり休む
   筋持久力のアップを目的なら、30 秒くらいの休みで次に移る
● ウェイトトレーニングは頻度(週何回・何分行なうか?)を記入し、回復の時間が取れるように管理する。
● プライオメトリクス(ジャンプ)は、ケガを防ぐため強度を表の中に入れ段階的に強度をアップするよう計画する。
●  スピードアジリティは、目標と頻度(週何回・何分行なうか?)を記入し、加速・方向転換・最大スピード 等様々なトレーニングを循環させるようにする。
● 有酸素運動は、目標と頻度(週何回・何分行なうか?)を記入し、インターバルトレーニングとスピードトレーニングを交互に行なう。大会直前は、ダッシュ等試合に近い動きのトレーニングを行なう。

各選手の計画作成ポイント

● 自分に必要な課題を抽出し、明確にする。(例 筋肉量を上げる・下半身を強化する・持久力を付ける)
● その上で、課題を克服するアプローチ方法(トレーニング内容)を考え明記する。定量化できれば非常によく、これは期中修正もOK。


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