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ショートショート集

71
実話・実話怪談・ちょっと不思議な話、など、創作をまとめました。
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2020年8月の記事一覧

松は守られた~小さな政治~

松は守られた~小さな政治~

まさか自分の経歴に「議員」なんて入るとは思ってもみませんでした。

きっかけは、地域のボランティアサークルです。
30人くらいだったでしょうか、活動していたのは。
活動していると、どうしても「地方自治体」やら「条例」やら
無関係ではいられなくなりました。

ねぇ、変わるんですって
ええ?困ったわねぇー

で、済むことが多かったのですが

ねぇ、私たちが使っている会館、老朽化で取り壊しですって!

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取っーた!

取っーた!

その晩私は幽体離脱を楽しんでいた。そのころは“夢”と呼んでいたが。

 夜空を飛ぶ夢は気持ちがいい、思うまま飛んで自分の体にストンと落ちる夢。
そこから深い眠りに入り、翌朝目覚めるのだ。
 で、いつものように、ストンと落ちようとしたら。

 “私”がかっ!と目を見開いて、言ったのだ。

「取っーた!」

 それから私はまだ飛んでいる。

 空の肉体の器はまだ見つからない。

その家の人は何も知らない

その家の人は何も知らない

由来のわからない祠が、どうしてここに?というところにあることがある。これはそんな話。

どんどん宅地化される新興住宅地にそれはあった。
「お稲荷さん」とよばれていたが、本当にそうなのかどうかは不明。
その土地の持ち主が代替わりして、手放すことになった。
その祠に「魂ぬき」という行事をした。あろうことか「もう魂はぬいたのだから」とその祠をゴミの日に捨ててしまったのである。
そして更地にして、見知らぬ

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病院の入り口で

病院の入り口で

気が付くと私は、病院の入り口に立っていた。
立っていたのは、傘立ての中だ。

なぜ?

よく見ると、他にも、傘立てに立っている人がいる。
傘立てだけじゃない。
観葉植物の鉢の上。金魚の水槽の上。たたんだ車椅子の上にいる人もいる。
中年のおばさんもいれば、若い人もいる。
それらが、病院の中に向かって、じーっと立っている。

と。

たたんだ車椅子の上にいた青年が、くるっと振り向くと、車椅子を降りて病

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夢の話4

 蒸し暑い日だった。それが急の夕立で、すっきりするかと思ったら、しのつく雨に変わってしまい、むっと湿度だけが息苦しい。

私は道を急いでいた。ズボンが湿って足にからみ、砂利道の小石が左の靴に入ったらしい。右の靴は裏の溝に小石がはまったらしく、歩くたび「ギャリッ、ギャリッ、」と、嫌な音をたてる。

 とうとう我慢が出来なくなって、傘を背中に腰を曲げ、首で柄を押さえながら、私は左の靴を脱いだ。小石を出

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夢の話3

夢の話3

私は女子高生で夕暮れの薄闇の中、下校していた。

角を曲がると、駅前のロータリー。

そこの時計台で首を吊っている女生徒がいる。
その正面の駅の屋根に、別の女生徒が上って死体を凝視している。
彼女は死んだ娘の親友なのだ。だから目をそらすわけにいかない。

私は死体を見ないようにして、下を向きながら駅前を通り過ぎる。

路地に入るとそこは暗い。

街頭の下に、誰かが立っている。顔だけが闇に覆われて見

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回送

回送

坂本さんはタクシー運転手だ。

ある日、お客を乗せた帰りに、たまたま有名な霊園の前を通る道に出てしまった。
いつもはなるべく通らないようにしているが、その日はそのまま突っ切ることにした。

霊園の前を通り過ぎた途端

「もどってください。」

と、後部座席から運転席へ、女がぬっ、と顔を出した。
長い髪が顔に張り付いていて、目だけが大きくぎろぎろとしている。

わっ、と思って坂本さんは急ブレーキを踏

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ノック

ノック

我が家は四人家族だ。
パパ・ママ・弟が居間にいるとき、長男がトイレに立つ。

彼は、ノックをする。
とんとん。

家族全員居間にいるのだから、ノックが返ってくるはずがない。
けれど、彼は「ほかにだれかいる」という。

すると。

とんとん。

シャンプー

シャンプー

「念願の一人暮らしを始めました。遊びに来てねv」

友人からそんなメッセをもらって、しばらくしてから泊まりに行った。
独身女性の一人暮らしじゃワンルームがせいぜいで、
あと一人寝るのが精一杯の小さな部屋。
それでも一国一城の主はご満悦である。

彼女の自慢はバスルーム。
この手のアパートにはめずらしく、ユニットバスではないのだ。
トイレが別で、風呂に洗い場がある。

鼻歌を歌いながら友人が入浴して

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 それは姉が小学生で私が幼稚園ぐらいだったと思います。

 そのころ住んでいたのは社宅の並んだ住宅街で、夜は静かなのが普通でした。だから、その晩は変だったんです。

 その夜、何人かの人の話し声で、私は眠りを妨げられました。私は姉と二人で寝ていました。子供の眠りは深いものです。だから、相当騒いでいたに違いありません。外で数人が大声で話しながら近づいてくるような……。
 急に耳元で女の人が「…×××

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船上の人

船上の人

 豪華客船の旅は贅沢かもしれない。だが、今回は一生心に残る思い出にしたい。私は彼女と旅行するのに、船の旅を選んだ。
 調べればかなりお得なプランもある。長旅の一部だけ、安い船室に乗るのである。往路か復路のどちらかを船にする。宿泊・食事込と考えれば、ちょっと贅沢、ぐらいである。
 船の旅は、何もかも初めてで新鮮だった。客船では、どんな生活リズムの客にもあうように、早朝から深夜まで食事が用意されている

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小さなビーチサンダル

小さなビーチサンダル

夏のアルバイトはプールの監視員。私のシフトは一番遅い時間で、夕方お客が帰ったあとのプールサイドの点検も仕事だった。

ある日、プールのまわりを歩いていたら、小さな赤いものが目についた。

「おや?」

近寄ってみると、それは、小さなビーチサンダルだった。赤いハイビスカス模様。幼い女の子のものだろうか。私はそれを拾い上げ、そのまま忘れ物として事務所に届けた。

事務所の係は初老のおじさんだ。
「ああ

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私はセールス電話が嫌い。

昔、こんなことがありましてな。

電話「○○さん、ご無沙汰しております、覚えていらっしゃいますでしょうか…」

へ?

全然記憶にない名前の人なの。
みなさん!ここでこっちから何か言ってヒントだしちゃ駄目よ!!
個人情報盗まれるよ!
マンションのセールスだった!!!

えっとね
「(数日前に電話してから)ご無沙汰しております、(留守電でマンションセールスを入れておいたのを)覚えていらっしゃいますか

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