Photo by usharp 回送 1 入り江わに 2020年8月10日 09:18 坂本さんはタクシー運転手だ。ある日、お客を乗せた帰りに、たまたま有名な霊園の前を通る道に出てしまった。いつもはなるべく通らないようにしているが、その日はそのまま突っ切ることにした。霊園の前を通り過ぎた途端「もどってください。」と、後部座席から運転席へ、女がぬっ、と顔を出した。長い髪が顔に張り付いていて、目だけが大きくぎろぎろとしている。わっ、と思って坂本さんは急ブレーキを踏んだ。あわてて後部座席を見たが、誰もいない。それ以来、坂本さんは絶対その道を通らないようにしている。 ダウンロード copy #小説 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート