シャンプー
「念願の一人暮らしを始めました。遊びに来てねv」
友人からそんなメッセをもらって、しばらくしてから泊まりに行った。
独身女性の一人暮らしじゃワンルームがせいぜいで、
あと一人寝るのが精一杯の小さな部屋。
それでも一国一城の主はご満悦である。
彼女の自慢はバスルーム。
この手のアパートにはめずらしく、ユニットバスではないのだ。
トイレが別で、風呂に洗い場がある。
鼻歌を歌いながら友人が入浴して、私が待っていると彼女が
「ありがと!」
と言った。
そして、髪をタオルで拭きながら出てきて
「助かっちゃったー、シャンプーの途中で中身が足りないのに気づいたのー、渡してくれてありがと♪」
と、言う。
はてさて。
彼女に言うべきだろうか、私は風呂場に行っていないということを。
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