その家の人は何も知らない
由来のわからない祠が、どうしてここに?というところにあることがある。これはそんな話。
どんどん宅地化される新興住宅地にそれはあった。
「お稲荷さん」とよばれていたが、本当にそうなのかどうかは不明。
その土地の持ち主が代替わりして、手放すことになった。
その祠に「魂ぬき」という行事をした。あろうことか「もう魂はぬいたのだから」とその祠をゴミの日に捨ててしまったのである。
そして更地にして、見知らぬ第三者に売った。
そこに家が建ったらその屋根に、からすが集まる集まる。
20~30羽も来ただろうか。さぞ住人は迷惑したに違いない。
気味が悪いのもあるだろうが、糞害と鳴き声に閉口しただろう。
でも、近所の古株の住人は、祠のことを言わなかった。そんなものである。
そのうちに、地盤テストもしたはずなのに、どういうわけか土地が傾いて家がゆがんでしまった。
結局、家を取り壊して建て直すはめになった。
薄気味悪いのでお払いをして地鎮祭もやりなおした。
その後は、からすも来なくなり、普通に暮らせるようになった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?