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取っーた!

その晩私は幽体離脱を楽しんでいた。そのころは“夢”と呼んでいたが。

 夜空を飛ぶ夢は気持ちがいい、思うまま飛んで自分の体にストンと落ちる夢。
そこから深い眠りに入り、翌朝目覚めるのだ。
 で、いつものように、ストンと落ちようとしたら。

 “私”がかっ!と目を見開いて、言ったのだ。

「取っーた!」

 それから私はまだ飛んでいる。

 空の肉体の器はまだ見つからない。

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