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【座右の銘を教えてください】「伝統 × 創造 = 継続」(23歳・大学4年生)

【本企画の趣旨について】
この企画は、私、あじしおが、見ず知らずの人にインタビューをし、その人の人生を根掘り葉掘り聞きながら、「座右の銘」を教えてもらうというものです。

■大学4年生

※以下「あ」=あじしお(インタビュアー)

あ:本日はよろしくお願いいたします。

こちらこそ、よろしくお願いいたします。

あ:今は大学生なんですよね。

はい。明治大学の4年生です。もうそろそろ卒業します。

あ:ご卒業おめでとうございます。明治ということは御茶ノ水に通われていた?

いえ、理系なので生田キャンパスです。小田急の登戸駅ってところなんですけど。

あ:へー、理系だとキャンパスが違うんですね。1、2年は明大前ですか?

いえ、理系は1年生から4年生まで生田なんです。

あ:なんと。生田って馴染みがないんですが、面白い街ですか?

いえ、全然面白くないですよ。飲み屋とかもないですし、単なる乗り換え駅ですね。

あ:コロナになりましたが、大学生活に影響ってありましたか?

この1年間は、ほぼ大学に行ってないですね。個人的には、授業も卒論も全てオンラインなので、かなりはかどったと思ってます。定期代も浮きますしね。

あ:学業面で見ればそんなに悪くなかったと?

そうですね。周りの声も良かったって方が多いと思います。入学したばかりの1年生は、まだ人間関係が構築できていないのでつまらないでしょうけど、
大学生活に慣れている2年生以上は、オンラインの方が良いって声は多い気がしますね。

■興味0からはじめた「農業・地域活性活動」

あ:事前に少しだけプロフィールを拝見しましたが、興味深いご活動をされていますね。改めて、学生時代に打ち込んでいたものを教えてもらえますか。就活の面接みたいで恐縮ですが。

色々やっていましたが、一貫して行っていたのは「農業と地域活性に関する活動」ですね。

あ:具体的にどういった活動を?

主に「援農ボランティア」と「マルシェ・物産展での販売」をしていました。まず「援農ボランティア」ですが、これは、生産者のところに訪問し手伝いをするというものです。「マルシェ・物産展」の方は、農家さんが使った野菜を販売します。

あ:1つずつ掘り下げていきましょうか。まず「援農」ですが「援」というぐらいなので、人手が足りない農家さんのところへ、お手伝いをしにいくイメージですか?

そういうケースもあると思いますが、どちらかというと、「学生を学ばせたい」という思いを持っている農家さんのところへ我々が「お邪魔して学ばせていただく」イメージです。当然、学生は素人に近い子もいるので、農家さんにしてみれば足手まとい、迷惑になる場合もあります。なので、受け入れてくれる農家さんは、余裕のある、地域のインフルエンサー的な農家さんが多いです。

あ:なるほど。それが「援農」の活動なんですね。具体的には、その農家さんのところでどんな活動を?

「植え付け」「除草」そして「収穫」、主にこの3つに携わります。この3点は農家さんとしても人手が欲しいところなので、我々のような学生にも募集がかかります。

あ:ところで、その活動は大学のサークルですか?

いえ、外部の学生も含めた学生団体になります。農業だけではなく、食・環境問題に興味がある学生で構成されています。

あ:もう一つの「マルシェ・物産展販売」に関しては具体的にどんな活動ですか?

駅内のスペースなどで、農家さんの作った農産物や加工品を販売するというものです。

あ:「沖縄フェア」とかたまに見ますね。マルシェはどういう思いではじめたのですか?

マルシェの活動は、マーケティングの勉強をしながら、東京の野菜をもっと知ってもらいたいという思いではじめました。

東京の場合、例えば、三鷹と府中って農業がしやすくて野菜が多く生産されるんですね。ただ、そういった野菜って三鷹・府中でしか買えないんですよ。東京内でも、よその地域に出回らないという点に価値があるんじゃないかと思って、こういった東京野菜の販売を、日本橋でやっています。

あ:ここはいやらしい話と思いながら聞くのですが、ここまでの一連のご活動の利益とかって出ているんですか?

利益はほぼないですね。援農は交通費くらいで、マルシェも微々たるものです。

あ:決してお金のためにやっている活動ではないと。

はい。マルシェとか、農産物自体単価が低いので僕らの規模でやっても儲からないですよ。

あ:そこがすごいよなぁ。お金がもらえなくても活動をするっていう考え方。今でこそ経験が価値になるというのは分かるんですけど、大学生のときだったら、絶対に思い至らなかったと思うので。ところで、そもそも農業にご興味はあったんですか?

いえ、それがまったくなかったんですよ。

あ:え、そうなんですか。では、どのようにして農業に取り組むことになっていくんですか?

まず、受験で入りやすいところに行こうと考えて、農学部に入ったんですよ。で、物は試しで大学の農業サークルに入ったんですが、家庭菜園みたいなことをしていて。これがつまらなくて。

あ:なるほど。

あと、少し変わった経緯で入学していまして。農学部自体は理系なんですけど、農学部の中の経済分野を学ぶ学科があって、僕は文系だったんで、そこに入ったんです。

あ:理系学部の中の文系学科?

そうです。これが受験の穴場だったんです。それで親からは「なんであんた文系なのに理系並に学費高いの?」みたいな嫌みを言われて。

これは何としても色々学んで、元取ってやるぞっていう気持ちで前向きなマインドになりました。それで一旦外部に目を向けて色々と探していたんですけど、気づいたら農業系の活動をし始めてました。

あ:意外な経緯ですね。最初は興味がある訳じゃないけど、やっていくうちに楽しくなったと。かなり偏見ですが、学生団体とかで活動している人って全て計算づくなのかなって思ってたんですけど、急に親近感が湧きました。活動の中で一番印象に残っていることってありますか?

大失敗の思い出ならあります。

あ:面白そうですね。教えてもらえますか。

団体活動なので、常に、団体をいかに存続させるかという課題がありました。新メンバーが入ってくれた方がいい訳ですね。で、あるときそろそろ新メンバー入ってくれないと存続出来ないぞという状況になったんです。いろいろ考えて、一か八かイベントを打って、そこで大々的に団体のPRをして新規メンバーを増やそうと考えました。

そこで思いついたのが、農業分野に強い国会議員と我々学生がディスカッションを行うイベントです。

あ:そんな簡単に国会議員を呼べるんですか?

政党のプログラムで、我々のような民間団体と交流する公募があったんですよ。

議員さんには食・農業・政治の問題を喋ってもらって、来てくれた人が農業に対するボルテージが上がったところで我々が説明し、団体に入ってもらう算段でした。当日イベントには40人くらい集まってくれたんです。

あ:すごいじゃないですか。学生では、なかなか出来ないですよ。

いえ、それが結果がついてきませんでした。
イベントのあとに、実際に農家さんのところへボランティア活動をしに行こうと参加募集をしたら、そのイベントの参加者から一人しか来てくれませんでした。何の利益もなしに疲れただけみたいな。

あ:それは悲しい話ですね……。何が敗因だったんでしょう?

イベントに来てくれた方は、ほとんど「政治社会問題」に興味がある人で、我々の活動のコアである「食農業」に興味ある人はほとんどいなかったと分析しています。ミスマッチでしょうね。いい経験をしたとは思っています。

あ:ホントなかなか出来ない良い経験ですよ。ちなみに非常に興味があるのですが、イベント集客はどのように行ったのですか?なにか戦略が?

このイベントのときは主にFacebookのグループを活用しましたね。例えば「大学生・食農業コミュニティ」とか「社会問題・環境問題」とか、そういうグループにローンチしていって、告知していくイメージです。イベントの名前も「永田町×アグリ」という分かり易い名前をつけて告知しました。

あ:学生時代飲み会しかしていなかった自分が情けなくなってきました。
そう言えば、外務省のプレゼンテーションコンテストでもなにか賞を受賞されていましたよね。

はい。大学時代の活動、農業実習、ファームステイでの気づきを論文にしました。

あ:どんな気づきを?

農家の人たちってものすごくお金持ちなんですよね。作業用のつなぎを着ながらボルボやレクサス乗っている農家さんもいました。

あ:漫才のネタみたいですね。

一方で、海外から農業を学びに来ている留学生は、掘っ立て小屋に住んでいたりするんです。ある日、休憩所で休んでいるときに、ベトナム人の留学生がスズメバチに刺されて。早く病院行かなきゃっていう緊迫した雰囲気だったんですけど、農家さんが、「一回目だから大丈夫、大丈夫。とりあえず消毒しといて」みたいな感じで、ぞんざいな扱いをしたんです。

あ:それはひどい。

テレビとかで技能実習生、留学生の扱いがあまり良くない話を見聞きしたことはありましたが、それを実際に感じて、自分なりの考えを論文を書きました。留学生を斡旋する業者さんや政府が、もっとしっかり現場との繋ぎこみをしないといけないぞと。そんな趣旨の論文です。

あ:素晴らしい。農家さんって僕の勝手なイメージですけど、そんなに儲からないし、夏は暑い中、冬は寒い中活動していて過酷なイメージなんですけど儲かるもんなんですかね?

場所によりますけど、人口が多い、大都市に近い、交通網が発達している、広範囲な平野部がある。そんな要素を持っている地域の農家さんは潤沢な農家さんが多いですよね。土地とインフラの状況が重要です。

■47都道府県すべてを制覇

あ:このままだと、スーパー大学生で終わってしまいますので、ここからは話題を変えまして、もっと人間的な部分を知りたいです。趣味はなんですか。

旅行です。街ブラも国内旅行もどちらも好きです。ちなみに47都道府県全て制覇してます。

あ:すごいですね。僕も学生時代日本一周したことがありまして、47都道府県制覇仲間です。一番のスポットはどちらですか?

福島県の矢祭町ですかね。

あ:初めて聞きました。矢祭町は何が良いんですか?

何もないところが良いところです。

あ:何か深いこと言ってくれそうですね。

関東に一番近い東北なんですよね。福島の南端にある町です。首都圏からほど近いところにありながら、棚田が広がっていたり、天然のアユが採れたり、東北では珍しいゆずが作られていたり。日本の原風景的なところがあるので気に入ってます。

あ:それはぜひ行きたいですね。そう言えばwebで「旅行プラン作成します」みたいな告知していましたよね。

はい。個別の旅行プランを作成して、格安の行き方を提供するんです。マージンでうまいこと儲けようと考えました。

あ:個人で旅行代理店をやるみたいな感じですね。その事業はうまくいったんですか?

今のところはうまくいっていないですね。まだ、全然です。

あ:でもすごいですよ。47都道府県行って、走り出しとは言うものの事業化して。それは正真正銘旅行好きって言ってもいいですよ。ちなみに街ブラもすきとおっしゃっていましたが、東京都内だとおすすめはどこですか?

東京だと上野周辺ですね。

あ:おお。なぜ上野が?

グルメ寄りの視点になるんですが、上野って美味しい店が多いんです。普通、大きな駅の商店街・アーケードってチェーン店ばかりになってくるんですよ。例えば、商店街で有名な武蔵小山とか、十条とか、大山とかもみんなチェーン店ばっかりですよね。

でも上野は、個人経営の60年70年の老舗の飲み屋があったり、名店と呼ばれるようなお店がたくさんあるんです。ちょっと行くとコリアンタウンなんかもあって、おいしい焼肉屋さんもたくさんあります。ターミナル駅でありながら大手の飲食店がそこまで強くなく、個人の店が多くて味のレパートリーがたくさんあるので上野が一番気に入ってます。

あ:なるほど。上野も、他の一般的なターミナル駅と同じような印象があったんですけどそんな特色があるんですね。その中でもお気に入りの店ってあるんですか?

肉の大山っていうお店です。コロッケとハンバーグのお店ですね。

コロッケが特に有名なんですが、立ち飲みコーナーでハイボール片手にコロッケを食べているサラリーマンの方がいらっしゃったり。そんな雰囲気もいいですね。

あ:最高ですね。今度上野行ったときには絶対行きます。

■社会人へ

あ:ところで、4月からは何をされるんですか?

4月からは新聞記者になります。

あ:おめでとうございます。知り合いで新聞記者はいないのでお近づきになれて嬉しいです。それにしても、学生時代取り組んでいた活動と、少し離れたところに行きましたね。

意外とそうでもないですよ。「地域活性」というキーワードと、もうひとつ「何でも良いからその分野の一番の企業」に行きたい、そんな就活軸をもっていました。

あ:では新聞業界だけではなく、この要素にマッチするところであれば幅広く見ていたんですか?

はい。大手からスタートアップまで見ていました。

あ:きっと素晴らしい社会人生活を送れると思います。偉くなったら僕にたくさん仕事を振ってください。

■座右の銘を教えてください。

あ:では最後の質問ですが、座右の銘を教えてくれますか。

「伝統 × 創造 = 継続」です。

あ:どんな意味でしょうか。

学生生活、さまざまな活動にトライしてきた中で、「伝統」を大切にしないと新しいことは生まれないと学びました。一方「創造」にこだわり過ぎると失敗するということも痛感しています。

「伝統」と「創造」を両立してこそ、その物事・事象の継続、発展に繋がると感じています。まだ大した経験はしていないですけど、今後もそんな思いを持ちながら生きていきたいです。


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